大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

訓練所と避難

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ユーリアの支離滅裂かつやたら慌てた話を簡単にまとめると、俺と階段ですれ違ったアンジェが向かった先はユーリアの部屋だったらしい。
で、何かよくわからんがドタバタを繰り広げた後、どうにか逃げおおせたらしい。ちなみにメッセージの開始はこの逃げる直前だか直後っぽい。今はどこにいるか知らんが、声の出し方からして、ついさっきどこかに隠れたらしいな。
「…んで?何で俺にメッセージを飛ばしたんだ?」
訓練所混んでるなー。やっぱり完全に出遅れてたな。こんだけ人いたら俺が剣振るスペースがない…どうするか。
『…二人の力で訓練所を貸切に出来ないか?』
「はぁっ?」
思わずすっとんきょうな声が出た。
周りの生徒の視線が俺に集まるが、メッセージをしているとアピールするように「で?もう一回言ってみろ」とやや大きめの声で言うと、すぐに理解してそれぞれの練習に戻っていく。
『二つ名持ち二人分の力で強引に訓練所を貸しきれないか?』
「正気か?お前。んな事出来るかどうか以前に、やるメリットが低すぎんだろ。どんだけの生徒を敵に回す気だ」
いくら二つ名持ちが一般生徒より力があるとは言え、理由もなくそんな事をすれば多くの生徒の反感を買う。そうなれば…先生に話が行くだろうことは容易に想像がつく。最悪二つ名持ちに相応しくないと、剥奪すら有り得るだろう……まぁ、そんな馬鹿、まずい無いのだが。
『…やはり駄目か?』
「するならルトに言え。あいつ、自分用の訓練所持ってたろ」
『何を言っている、ルト坊は今西学に行ってるぞ』
え?…あぁなるほど、アンジェと交換した学生ってのがルトだったのか。
「別にいいだろ。アイツの従者はこっちに残ってるだろ?そいつに貸してくれって言えば終わりだろ」
『いやいや今代の。所属する派閥の事を思い出せ』
んー?
と、俺が思いつく前にユーリアが答えた。
『レィア、私は《キャット・シー》で、ルトは《シェパード》だ。敵派閥にそうほいほい訓練所を貸すか?普通。私からは頼めないよ』
「あー…」
確かに、いくら仲がいいとは言えそうなると少し躊躇するだろう。最低限の体裁というものも必要だしな。
『……ん?そうだ、いいことを考えたぞ。レィア、ルトの訓練所を借りよう』
「いや、お前が今否定しただろ」
『大丈夫だ。レィアが頼み込んだことにする。そうすれば最低の見栄は保たれる。後はレィアが勝手に私を招き入れたことにすればいいだろう?』
「それなら出来ないこともない…のか?」
『かなりギリだが、出来んことは無いんじゃないか?と言うより、じゃなきゃお前訓練所借りれないだろ』
それも…そうか。
『よし、私は話を通してくる。レィアは先に行っててくれ!』
「あ、お前今隠れてんじゃ──」
『あっ、ちょっとま、こっちに来るな!!やめ(ブチッ)』
…大丈夫なのだろうか。
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