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本編
緋眼騎士と貴刃
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「おぉ、誰もいねぇ」
まぁ当たり前なんだが。
一夜明け、指定された時間になったので訓練所に行ってみると、誰もおらずにガランとした訓練所が俺を待っていた。
一応アーネにシエルの面倒を見ていてもらうように言ってから完全武装…と言っても、いつもと変わらない服装でここに来たのだが、少し早めに着いたらしい。
ウィルの見舞いが思った以上に早く切り上げたからってのが大きい理由か。
本人は想像していた以上にピンピンしてたが、それを過保護なぐらいに世話する《雷光》に追い払われたってのが実情なのは秘密な。
訓練所の中へと歩いて行き、そのド真ん中で立ちながらユーリアを待つ。
あと、どうやら判定役のような者もいるらしいので、それの到着もついでに待ってやる。
まぁ、そいつらはどうも隠れるのが上手いらしいから、既にここにいる可能性も捨てられないのだがな。
そういや明るい時にこんな静かな訓練所、見たことねぇな。
だからと言ってどうと言うことは無いのだが、何となく新鮮な気がする。
『今代の、今のうちに装備済ませとけよ』
「それもそうだな」
シャルの一言に頷き、腰に装着している鎚を軽く叩いて「装備」と一声掛ける。
それだけでマキナが俺の意図を読み取り、手足から俺の身体を覆い、銀の鎧を形成していく。
『よし、完了』
一応手を握ったり軽く身体を動かしてみるが、やはり問題は無い。流石俺。
そう言えば、聖学祭でマキナが目覚めて以来、マキナが鎧を作り上げる時は、俺が適当に考えたデザインより恰好良くなっていた。
まぁ、実際俺は見れないからなんとも言えないんだが、周りの評判が良くなったんだよな。今回はどんなデザインなのやら。
と、ちょうど装備し終わったところで訓練所の大きな扉が開いていく。
その向こうにいたのは──当然と言うべきか、ユーリア。
「……レィアか?」
『もちろんそうだが?逆にお前には何に見える?』
「…騎士…だろうか?誰もが一度は憧れるような…白くて気高い、どこかのお姫様を守護するような…そんな騎士だと思うんだが…違うのか?」
『知らねぇよ。俺から自分の姿は見えねぇからな。けどそうか…騎士か…』
なら足りないのは…あとは緋眼か。
無意識でもよく発動しているらしい《緋眼》を意識して発動、鎧の上から胸元に掛けられた銀剣を取り出し、軽く担いでから準備完了。
『さぁ、これでお待ちかね《緋眼騎士》の登場だ。剣を取れ、ユーリア。合格ラインは俺も詳しくは知らねぇけど、俺を倒しゃ確実だ…まぁ、やられる気はサラサラない。一撃でも当てられたら褒めてやるよ────かかってこい』
「あぁ。それでも悪いが────勝たせてもらおう」
まぁ当たり前なんだが。
一夜明け、指定された時間になったので訓練所に行ってみると、誰もおらずにガランとした訓練所が俺を待っていた。
一応アーネにシエルの面倒を見ていてもらうように言ってから完全武装…と言っても、いつもと変わらない服装でここに来たのだが、少し早めに着いたらしい。
ウィルの見舞いが思った以上に早く切り上げたからってのが大きい理由か。
本人は想像していた以上にピンピンしてたが、それを過保護なぐらいに世話する《雷光》に追い払われたってのが実情なのは秘密な。
訓練所の中へと歩いて行き、そのド真ん中で立ちながらユーリアを待つ。
あと、どうやら判定役のような者もいるらしいので、それの到着もついでに待ってやる。
まぁ、そいつらはどうも隠れるのが上手いらしいから、既にここにいる可能性も捨てられないのだがな。
そういや明るい時にこんな静かな訓練所、見たことねぇな。
だからと言ってどうと言うことは無いのだが、何となく新鮮な気がする。
『今代の、今のうちに装備済ませとけよ』
「それもそうだな」
シャルの一言に頷き、腰に装着している鎚を軽く叩いて「装備」と一声掛ける。
それだけでマキナが俺の意図を読み取り、手足から俺の身体を覆い、銀の鎧を形成していく。
『よし、完了』
一応手を握ったり軽く身体を動かしてみるが、やはり問題は無い。流石俺。
そう言えば、聖学祭でマキナが目覚めて以来、マキナが鎧を作り上げる時は、俺が適当に考えたデザインより恰好良くなっていた。
まぁ、実際俺は見れないからなんとも言えないんだが、周りの評判が良くなったんだよな。今回はどんなデザインなのやら。
と、ちょうど装備し終わったところで訓練所の大きな扉が開いていく。
その向こうにいたのは──当然と言うべきか、ユーリア。
「……レィアか?」
『もちろんそうだが?逆にお前には何に見える?』
「…騎士…だろうか?誰もが一度は憧れるような…白くて気高い、どこかのお姫様を守護するような…そんな騎士だと思うんだが…違うのか?」
『知らねぇよ。俺から自分の姿は見えねぇからな。けどそうか…騎士か…』
なら足りないのは…あとは緋眼か。
無意識でもよく発動しているらしい《緋眼》を意識して発動、鎧の上から胸元に掛けられた銀剣を取り出し、軽く担いでから準備完了。
『さぁ、これでお待ちかね《緋眼騎士》の登場だ。剣を取れ、ユーリア。合格ラインは俺も詳しくは知らねぇけど、俺を倒しゃ確実だ…まぁ、やられる気はサラサラない。一撃でも当てられたら褒めてやるよ────かかってこい』
「あぁ。それでも悪いが────勝たせてもらおう」
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