大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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1,933 / 2,022
本編

雷と白

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きぃきぃぎぃぎぃと、嫌な音が無数に俺の表面を走る。マキナが無ければ今頃、俺の身体は切り傷まみれでボロボロになっていただろう。
『思ったより威力は無いな。それこそ引っ掻き傷を作る程度か』
「普通だったら相当ヤバいんだけどな……っと!」
突如前方に現れたテラーゴーストを緊急回避しつつ、カーブを曲がる。
いくら威力が低いとはいえ、全く見えない上、一度に幾つも飛んでくる斬撃というのは充分過ぎるほど脅威だ。
仮にこれがマキナを装着していなければ、幾度も繰り返される斬撃で失血。そうでなくとも、傷があると言うだけでヒトはパフォーマンスを崩す。走る度に身体の傷が疼き、集中を乱す。
それに普通の鎧であっても、その隙間からこの斬撃が入り込むだろう。マキナは無形なので鎧に継ぎ目は無いし、フルフェイスでも本来ならある目のスリットも無い。それでも何の問題もなく見えるのは……何故だろう。そう言えば、こんな鎧なのに呼吸も全く苦しくないし、暑苦しかったりもしない。槌人種ドワーフの超技術の賜物だろうか。
唯一ある隙間は首の辺りの髪を出す箇所ぐらいだが、全て髪に阻まれている。俺の髪を切るのは、マキナを破壊するより余程難しいだろう。
『もうすぐだぞ!』
あとはこの階段を登った角に《雷光》の居る会議室が──
既に開かれていたドア。勢いそのまま駆け込んだ。
「アーネ!!《雷光》!!」
二人の名を呼びながら駆け込むと、既に部屋の中は痛いほどの緊張感に包まれていた。
本来なら机や椅子が所狭しと置かれ、戦闘を行うには決して向かないその部屋は、今だけは何も置いてない。
一振りの刀を携えた少女が一人と、赤を擬人化したような少女が一人。それしかない空間に、俺が飛び込み、さらに空気が張りつめた。
「来るぞッ!!」
直後、テラーゴーストが俺を追って会議室に乱入した。
「奥義──始動」
その言葉が発せられると同時に《雷光》の身体から魔力が
「《雷刹らせつ》」
動きも音も置き去りにし、ただ一撃の雷のみが尾を引いて振り抜かれる。
《雷光》が放った斬撃は、明らかに刀の範囲を超えてテラーゴーストに直撃。いとも容易く首を刎ね飛ばした。そしてその奥の壁に壮絶な斬痕を刻みつけ、ようやく止まる。アーネに「テラーゴーストが入って来たら、障壁でこの部屋を覆ってくれ」と頼んでいなければ、斬撃はこの壁をぶち抜いて、隣の部屋まで斬っていただろう。
《雷刹》と言う名の戦技アーツ
屋上で一度見た時は濃い魔力しか分からなかった。
だが、二度見てようやく何となくこの《雷刹》という戦技アーツが何なのかを薄ぼんやりと把握した。
「すげぇな、《雷光》」
滝のような汗を流し、やや震えながらも決して座りこもうとしない《雷光》に、なんの裏も無い純粋な賞賛の言葉をかける。
だが、《雷光》はそれに答える余裕も無いようで、焦点の合わない目でぼうっと俺を見ていた。
『なんてことは無い。自身の剣に雷の魔法を乗せて放つだけ。奥義っつっても種が割れたらしょっぱいモンだな』
シャルのその言葉に疑問を覚え、小さく「違くね?」と言おうとした瞬間、後方で障壁を張っていたアーネが声を上げた。
「後ろッ!!」
その言葉に反応して振り返ると、首の無いテラーゴーストが、ゆらりと起き上がり、こちらを向いた。
「っつ!?」
なぜ動ける。頭を飛ばしたのに。
この時、冷静に考えれば、当然の事に気づけただろう。
そもそも幽霊ゴーストなのだから、首が無くとも関係ない。
狙うは胴──いや、もっと根本的な事を言うなら、首や胴だけでは足りない。
全身滅多打ちにして、存在を斬り殺す必要があったのだと。
その思考までたどり着けなかった俺は、一瞬だけ止まってしまった。
その隙をテラーゴーストは見逃さない。いや、あるいはそもその眼中に無いのかもしれない。
今、奴は《雷光》ただ一人だけを狙っているのだから。
手を伸ばし、正確に、そして猛然と《雷光》へと襲いかかる。
「しまっ」
アーネは慣れない障壁の維持で精一杯。《雷光》は雷刹の反動で動けない。一手出遅れた俺に出来る事は多くない。
この場で唯一使い物にならないのは、既に役目を終えた俺だけ。
アーネに頼んだ「もしもの場合」。所謂次善の策は彼女達二人が必要になる。間違っても《雷光》を失う訳には行かない。
そう判断し、俺は思い切り《雷光》を突き飛ばす。
当然、《雷光》の代わりになるのは俺。
「今回は損な役回りばっかだな」
思わずそんな言葉が漏れ、視界いっぱいにテラーゴーストの白が広がった。

── ── ── ── ──

──其は何よりも疾く、何よりも広く、何よりも荒々しい。
──其は力の具現であり、畏怖の対象であり、ヒトの触れられぬ存在である。
初代のシデン・シラヌイはソレをそう評し、同時に求めた。
最強。それは言葉にすれば非常に単純。
速く、リーチが長く、範囲が広く、威力のある攻撃。
言うことは単純だが、全てを両立するのは至難。
だから形を求め、ソレに行き着いたのだ。
それ即ち《雷》。
瞬きの刹那で身体を撃ち、その速さ故にどれだけ遠くに逃げられようと、容易く敵を討つ。
形は不定。故に広くも使えるし絞って使えもする。威力も申し分無いし、仮に防ごうとしても、それは素で受けるのと大差ない。
そして、だからこそ理解したのだろう。
これをひとつに纏め、最強たらしめるのは不可能だと。
でなければ、いくら根幹の技は同じとはいえ、わざわざシラヌイの技を四つに分ける必要も無いのだから。
だが、初代のシオン・シラヌイの求めた物はやはり正しかったのだ。
四つの技を極めた存在が、当然のように最強に居座り、他の者を睥睨する。
この光景は、どうあっても変えられなかったのだから。
──んー、頑張るなぁ。シオンちゃん達。
既に何度転がされただろうか。
《勇者》である主と、名無しの刀である私がいくら挑もうと、痛烈な一撃と共に床に転がされる。
主はまだ数回。けれど私はもう既に十回以上は床に手をついている。
それでも立ってまた挑んで行けるのは、あの女がトドメに至るような攻撃はせず、辛うじて起き上がれるというラインをギリギリ見越して倒される。
一方でシデンの名を持つこの女は、膝を着くことすら一度もしていない。
刀、薙刀、斧、弓。四種一組。世界で唯一であり、父がこの女の為に作らせた槌人種ドワーフ謹製の《四天》という名のオリジン・ウェポン。本来なら、四本の武具が主を守るかのように周りに浮いているはずのそれは、たった二つしか使われていない。
その上で、刀と薙刀。たった二種類だけで、私達は圧倒されていた。
きっとこの女は遊んでいる。そして試しているのだ。
絶対に勝てない相手に対して、ギリギリ起き上がれるように痛ぶる。私が何度目の転倒でで諦めるのか。
転がったまま、後に引ければどれだけ良かったか。
転がされたまま、気を失ったフリが出来ればどれだけ楽だったか。
けれど今、その楽な道を選べば、私は二度と私に誇りを持てなくなる。
一年間の努力も、二年間の契約も、三年後の卒業も、何もかもが虚しくなる。
──なんで立つの?
シデンが聞く。私が答える。
──主が折れていないのに、私が折れる訳には行くまい。
その言葉を聞いたシデンは、片手間に《勇者》の猛攻を流しつつ、鬱陶しそうに目を細める。
──アホくさ。ほんなら《勇者》くんが立てんなったらやめるんか?
そう言った瞬間、シデンの身体から魔力が消える。
その挙動の意味はシラヌイの者にしか分からない。
《雷法》から枝分かれした四流派。それぞれの奥義には共通する予兆がある。
それは魔力の消失。厳密には魔力が消失したと錯覚する程魔力を武器に詰め込んでいるのだが。
──持ち主おらんだら、シオンちゃんは寝んねできとれるんやな。
そう言って、シデンは薙刀を手放し、自身の周りに浮いている四つの武器から一つ、黒い大斧を右手で握る。
──ならいっそ、ってもええかも知らんな。
左手の刀で《勇者》の一撃を逸らし、体勢を立て直そうとする所に、鋭い蹴りが防御を掻い潜って鳩尾に突き刺さる。
──ッッッ!?
主の身体が一瞬浮き、苦しそうにくの字に折れ曲がる。
速く、防御不可で、絶大な威力の一撃。雷斧の奥義。
──《極雷きょくらい
あんな物を食らえば、ヒトなど一発でチリになる。
主を助けなければ。けどどうやって?
幸いな事に、この距離なら私のスキルで問題無く主の所まで行ける。
問題は、行ってどうするのか。
スキルが発動した状態で《勇者》に触れれば、雷に撃たれるのと同じ。かと言って生身に戻っていれば、その隙に自身の身体が真っ二つになる。私は構わないが、主は優しい。きっと剣が一本折れただけでも、酷く心を痛めてしまうだろう。
だがそれでも構わない。主が武器を残して死ぬぐらいなら、この身を砕いて主を助ける。
それが一振りの刀剣として──シラヌイの者としての本懐。
例えこの身が真っ二つに折れようと、主をお守りする。
迷いはない。
即座にスキルを使用し、金色に輝く斧と主の間に身体を滑り込ませる。
如何に《極雷》が早くとも、雷の中なら斧系統の技は比較的遅い。速さだけなら斧の雷より、私のスキルの方が速い。
──失礼っ!
そう言って彼を突き飛ばしながら、左の手でせめてもと刀を盾に割り込む。
これで良かった。辛うじて視認できる速度の雷を薄ぼんやりと眺めながら、私はどこか安堵した心持ちだった。
ようやくだ。ようやくシラヌイの者として生き、そして死ねる。姉に勝てなかったのは心残りではあるが、主を見つけ、そのために死ねる。本望だ。
《極雷》が私の身体に触れ、肉を潰し、血を沸かせ、骨を断ち、命を食い破ろうとする。
きっと痛いだろう。いや、間違いなくそれでは済まない。
だが、覚悟はとうの昔に済ませた。
死の間際、引き伸ばされた時間でそう考える傍ら、視界の右端に何かが割り込んで来たのが見えた。
それが何か、確認するより早くそいつは私の肩を掴み、思い切り引っ張られた。
想定していた方向とは真逆の方向からの行動に、私はあえなく体勢を崩し、あっさりと引っ張られて転倒する。
何が起きたかはすぐに理解出来た。だからこそありえない。
何者かが、雷速のやり取りに介入し、私を助けたのだ。
誰が?どうやって?
一人だけ有り得るかもしれない。そういう人物に心当たりはあるが、だからこそ有り得ないと否定した。
いや、否定したかった。
転倒から即座に顔を上げ、事実を視認して、目を見開いた。
──何故、ですかッ……!?
私の代わりに斧の雷を受け止めたのは、たった今突き飛ばしたはずの主。
およそヒトとは軽々しく呼べない程の凶悪な顔つき。それでも即座に主だと気づけたのは、こんな所に割り込める者がいるとすれば、《勇者》の名を冠する、彼しかいない。
──へぇ、身体能力強化系のスキル?ここまでの性能のモンはウチも見た事ないわ。よぉやるねぇ。まさか《極雷》受けても生きとる……どころか、受け止めるなんて。
彼女が言うように、主の肉体は、その雷に耐え、さらに超質量の斧自体も受け止めていた。一言で言うなら有り得ない。雷と同じ速度で振り抜かれた斧を受け止めるなど、どういう強度と受け方ををしても不可能だろう。
だが不可能それを、《勇者》は可能にした。
しかし代償は大きい。
斧は《勇者》の左腕を切り飛ばし、胴体の三分の一の位置で止まった。これで生きていると言われても信じられないが、シデンが間違えるわけがない。この状態でも、主は生きているのだ。
だが。
──けどま、無理やわな。
斧を引っこ抜き、主の身体から滝のように流れる血。それと同時に彼も膝をつく。
──お疲れさん。イイもん見せてもらったし、もう休みや。
斧に付着した血を振り払い、シデンがこちらを向く。
──で、どうするん?シオンちゃん。持ち主もう瀕死やけど。
降伏。選択肢はそれしかないだろう。
勝ち目はない。二人で勝てなかったのだ。一人で勝てるわけが無い。
主の傷も酷い。あと二三分も放置すれば、今辛うじて生きている彼も直ぐに死ぬだろう。私が降伏しなければ救護班も間に入れない。
速やかに両手を上げて降参。もとより勝ち目の薄い戦いだったが、最早完全に勝ち目のない戦いとなった。それに何より、生きている主の為を思って。
──こう……
──痛っ!?なんや!?
私が降参だと言おうとしたタイミングで、ちょうど言葉が被った。
女の視線は自身のつま先の方。
その先には、屈強な腕ががっしりとシデンの足を捕まえていた。
──ぼく、は、まだ、まけ…て……
──往生際悪いな、寝とり。
空気を震わせる程の大きな落雷。それが主の身体を強く撃ち、遂に《勇者》の手が床に落ちた。
──これでも死なんのか。不死身とちゃうやろな?……で、決心ついたん?
──……。
あの場でも主は引こうとはしなかった。何故か。
意地?まさか。勝算があった?どこにだ。全く分からない。
だが、主はどうも勝利を望んでいるらしい。
それは主の生命よりも優先される事か?否。間違いなく主を助ける方が優先されるだろう。もう猶予は一分程度。それも時間が経てば経つほど彼が万全になれる可能性は低くなる。
しかし。
──降参、しない。
──ええん?あと一分ぐらいで死ぬで。そいつ。
──
私の答えに、彼女は予想外の物を見たと言わんばかりに目を見開く。
──主、見捨てるんか?
──いいや。どうせ一太刀で決まるんだから、一分どころか三十秒も要らないしな。
──ええな。良い顔んなっとる。
そう言って、シデンが遂に構えた。
──来ぃや。全力で相手したる。
私は自身の刀の柄に手をやり、息を深く吸って魔力を強く意識する。
勝負の行方は雷の如く。
数瞬の交差の後、轟音が響く。

── ── ── ── ──

テラーゴーストの白に触れた瞬間、見たことの無い所に連れてこられた。
「っかしーな。前来た時は真っ暗な暗闇の中だったんだけど」
『薄暗くはあるが……真っ暗って訳じゃ無いな』
シャルもいるか。俺の頭の中にいるんだから当たり前といえば当たり前だが。
「どこだここ」
『森……か?』
「おいマキナ、応えろ。マキナー?」
返事がない。マキナはダメ、と。
シャルに森と言われて気づく。
「あぁこれ、もしかして紅の森……か?」
疑問形となったのは、俺が知っている紅の森とは少しだけ様子が違ったから。
誰が見ても同じに感じるだろうが、長年あそこで暮らした俺には見覚えがない木々の配置と地形。それでも紅の森だと思ったのは、要所要所では俺の知っている森だったからだ。
ヒトの顔に見える木目の木に、真っ白で大きな腰掛岩。そして昔来て撤去を諦めたロック鳥の巣。どれも紅の森にある物だが、それぞれ本来は遠くにあるモノだ。間違っても首を右から左に振るだけで全部視界に入るなどということはありえない。
「っつー事は幻覚か」
本来なら見えるはず無いのだが、テラーゴーストを恐れているせいで見えてしまっているのだろうか。呑まれた時点でもう詰み、みたいな。
『で、どうすんだ』
「どうすっか。現状、特に怖いことも無いし、この辺で座ってりゃ一晩明かせ──」
と言って、溜息と共に歩き始める。
『お、どうした?』
「いや、後ろから何かが来る音がした。考えてみりゃ、ここは奴の腹の中だしな。何が起こってもおかしくはない」
背筋がゾワゾワとするような非常に嫌な感覚。これは気配などではなく、今までの膨大な戦闘経験からくる直感。
あそこにいると不味い。
仕方なく俺はやたらと歩きやすく整備された森道を歩く。
『誘導されてんぞ』
「でも行くしかねぇだろ」
そう言っていると、すぐに開けた場所に出た。そこだけ木々が生えておらず、ぽっかりと空洞ができている。
「今からなにか来ますよ、って感じだな」
と言った瞬間、木々の隙間から何者かが突如襲いかかる。
黒い外套に身を包み、風貌どころか性別すら分からないヒト。顔も全く見えないそいつが、殺意を剥き出しにして、剣を片手に吶喊してくる。
『前、一人ー』
「おうよ」
首に下げていた銀剣を取り出──そうとしてないことに気づく。面倒な。
仕方なく無手で挑むが、相手もかなり強い。というか向こうが剣持ってんのズルいな。
だが、それを利用させてもらう。
「よっ」
あっさり剣を奪い、そのまま踏み込んで心臓に剣を突き立てる。
外套の下に鎧のようなものは無かったようで、ずぶりと剣が相手に刺さる。
が。
「なんだこの剣」
滅茶苦茶切れ味が悪い。その癖全然折れる様子もないし、元からこういう剣なのかもしれない。
まぁいい。素手で首を折ったりするよりこっちの方がまだ幾分マシか。
そう判断して、馬乗りになって剣を無理矢理相手の胸に押し込んでいく。
突いた感触からして女だろうか。にしてもこれ中々刺さんねぇな。
そんなことを思いながら、傷口を無理矢理広げるようにして剣をねじ込み、骨を圧し折りながら切っ先を相手の胸に埋めていく。
押し込む度に血が溢れ、心臓の脈動に合わせて筋肉が収縮し、その度に剣が止まるが、強引に押し込む。相手も抵抗しようとするが、俺の髪で身体を縛り付け、身動きが全く取れない。身体を小刻みに震わせながら、ずぶずぶと沈む剣の冷たさと痛さに耐えるしかない。
この辺か。身体の厚さと体格から、心臓の位置を割り出し、強く押し込む。
相手がより一層強く抵抗するが、縛った所から血が出るほど髪を強くして動きを止める。
そして、ついにズドン、と。
剣が一気に貫通して、地面に突き刺さる。
相手も息絶え、既に抵抗はしていない。
俺は拘束を解き、剣の血を拭って死体を見下ろす。
黒い外套で恐らく女。勢いはなくとも、まだ血を流し続けるこの死体の顔が、ふと気になった。
「ふむ」
気になってしまったら見るしかない。
俺は何の気なしにフードを捲り、顔を見る。
そこにあったのは、栗毛色の髪をした、幼い顔つきの少女の顔。
ナナキが虚ろな目で空を見ながら、死んでいた。
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