大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

二刀流と説明

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「二刀流と…連戦技アーツ・コネクト?」
「あぁ。もっとも、連戦技アーツ・コネクトに関しちゃ俺が今すぐ教えてどうこうなる可能性は低いから、二刀流の方に関して力を入れるがな」
「なのに教えるのか…」
「もちろん。二刀流は必須、連戦技アーツ・コネクトは出来るだけ頑張って、間に合うとラッキーぐらいだと思え。…だが、もしも習得できたなら、お前の力になる。確実にな」
そう言うと、何故かユーリアは顔を顰める。
「しかし…名前からして戦技アーツの亜種なのだろう?いつから争奪戦が始まるのかは知らないが、あまり時間はないはずだ。それに……二刀流は正直、現実味が薄いぞ」
まぁ、ユーリアがそういうのも分かる。
二刀流の使い手はほとんどいない。
特に、ユーリアが使うような長剣を使う二刀流はほぼほぼ皆無だろう。
理由としてまず、剣一本を扱うだけでも人はかなり手一杯なのだ。
仮に剣一本を持って相手と対峙する場合でも大雑把に分けていくとして……まずは攻め守りの二種類。さらにそこから斬るのか突くのか、あるいはフェイントなのか。斬るにしても縦なのか横なのか、速いのか遅いのか、相手の腕を狙って武器を落とさせる事が狙いなのか、それとも攻撃を相殺させるためなのか、はたまた致命的な一撃を入れるためなのか。
簡単に分けてみるだけでもこれだけあり、これが二本になった日には、大半の人はどうすればいいのか分からなくなる。
さらに二本同時に扱うということは、ただ振るだけではなく、更にそこと組み合わせが生まれてくる。
単純に手数が二倍になったから複雑さが二倍になる訳では無い。
手数が二倍になれば複雑さは数倍、あるいは数十倍にもなるだろう。
他にも二刀流には欠点…というか嫌煙されるような複雑な点が複数あるが、字数の関係でかつ愛させてもらう。
そんな剣技をごく短期間で習得。
そこまで思い当たってから俺はユーリアが顔を顰めるのも当然だと理解する。
「生憎、お前がこのまま二つ名持ちになる方が現実味が薄いんだよ。多少の無茶は当たり前だ」
ややキツい言い方となったが、それ程切羽詰まった状況なのだ。
ユーリアも今の一言で自分がどこまで追い詰められているのかが分かったらしい。
「別にお前の元々の剣を捨てろって話じゃない。木の枝を増やすんじゃなくて、苗木そのものをもう一本育てるって話だ。だからお前の剣には影響は少ないし──難易度は高いぜ」
「……わかった。やろう。時間がもったいない」
よし、話は決まった。
「ならまず服を脱いでくれ。出来たら下もな」
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