大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

回復と三人目

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さて、そんな訳で残るは三年の先輩。名前は…なんて言ったっけか…。
『リザ。リザ・クロヴェールだったはずだ』
おぉ、シャルナイス。
んじゃ早速そのリザとか言う先輩を探しに──。
「ちょっと貴方!彼女に何があったんですの!?説明なさい!!」
俺を呼び止めたのはアーネ。
「あ?本人に聞けよ」
「ぐっすり眠ってますわよ」
…ありゃ。ホントだ。生まれたての赤ん坊みたいにぐっすり寝てやがる。
「よくこんな所で寝られるな、オイ」
こんな所というのは訓練所。ちなみに、ユーリアが倒れた地点から一歩も動いていない。
俺がマキナにメッセージを飛ばさせた相手はもちろんアーネ。予想していた通り、アーネとシエルは他の女子の部屋に遊びに行っていたらしいが、メッセージの内容を聞いた瞬間、ブツリとメッセージを強引に切り、一分としないうちにシエルと一緒にこっちに来た。
んで、アーネが治癒魔法をユーリアにかけたのを見てこっそり逃げようとしたら──捕まった訳だ。
ちなみにシエルはアーネが作ったブロックを空中に放り投げ、それを切り崩して遊んでいる。かなり前に教えた訓練方法だが、彼女にとってはもはや完全にお遊びとなっている。
「回復魔法や治癒魔法は対象から生命力を使用しますので、あまり多用すると眠くなるんですのよ」
「そうか?あんま眠くなんねぇと思うけど」
「あなたは受け過ぎて免疫がついてるんですのよ…」
アーネが呆れた声音で言う。
免疫とかあんのか。
それはさておき。
「ユーリアが決闘ですんげぇイイの貰ってただけだよ。ルト先輩がぶん回すようなサイズの超剣の刺突をモロに受けてた」
「超剣ってなんですのよ…?」
「要はクソでかい剣だよ」
超大型の剣、略して超剣だ。
「で、それを受けてダウン、合計六箇所の骨折と八箇所のヒビという訳ですわね?」
「大怪我じゃねぇかコイツ」
よく平気な顔して俺と喋ってたな。
「ま、あとはユーリアに聞いてくれ。そんじゃ、俺は急いでるんでまた後で」
そう言ってそそくさと訓練所を後にする。
「…マキナ、《逆鱗》に──いや、《不動荒野》に繋いでくれ」
《逆鱗》ことルト先輩に繋ごうかと思ったが、何となく止めた。それより《不動荒野》の方が話しやすいしな。
『了解しました・今すぐにですか?』
「あぁ、今すぐに──いや、いいや」
もう少しすれば夕飯の時間。
食堂で《不動荒野》を見つけて話しかけりゃ事足りるだろ。人を聞くだけならそこまで問題じゃあるまい。
ここ最近は特に冷えてくるようになったから、今日は何か温かいものがいいな。
完全に落ちた日の中、薄らと見える白い息を見ながらそう思った。
「ちょっと貴方!置いていかないで下さいまし!!」
…うるせぇなぁ…。
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