大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

緋眼騎士と雷光 終

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俺の一言に反応し、西学の生徒が各々武器を持つ。
全く、現金な奴らだ。こっちは今にも倒れそうな怪我人二人だってのに。
遠慮って物を知ってんのかね?
あぁでも。
『数二十二、近接十五に遠距離七』
シャルが冷静に敵の戦力をカウントする。
「貴様《緋眼騎士》っ!何を馬鹿な事を!!」
誰かと一緒に戦えるってのはいつぶりだったか。
悪いが負ける気がしない。
元より負ける気はないが。
『うははははっ!こんな絶望的な状況、久しぶりだな!!』
「笑ってる場合か!」
憤慨する《雷光》にゆっくりと顔を向け、見えないマスクの下、最高の笑みを貼り付けながら銀盾を起動させる。
『いいじゃねぇか。どうせこのままだったらジリ貧だったんだ。なら、さっさとやっちまおうぜ。アンタも手伝ってくれるんだろ?』
「それは…まぁ、私の戦いだからな…」
『いい返事だ。あぁそれと──』
ありったけの武装を引っ掴み、足をたわめ、敵の中へ突撃する直前になって《雷光》にこう言う。
『運がよけりゃ、後から《逆鱗》の援軍があるぞ』
「何っ?おいまて、それなら私達が頑張る必要は──」
『じゃあな!!』
《雷光》のセリフを最後まで聞くことはなく、俺は地面を強く蹴った。
「来たぞ!囲め!」
誰かがそう号令をかける。
即座に囲いこまれ、ロクに身動きも取れないような中、四方八方から攻撃が飛んでくる。
しかし──。
『爆ぜろっ!!』
俺の声に呼応して《千変》が砕け、飛散する。
手足のパーツを全て飛ばし、顔と胴だけを覆う形となった《千変》を纏った俺は、飛んだ破片を三つの塊にして飛ばす。
──………ー、……ター。
一瞬、ノイズが走るが気にしない。
それぞれを飛ばし、破片で囲いを強引にこじ開け、少しだけ隙間を作る。
そしてそこへ目掛けて──。
稲妻が駆ける。
「遅いぞ《緋眼騎士》!危うくぶつかる所だった!!」
『テメェが早いんだよクソが!!』
「だが──」
『あ?』
「いい仕事だ」
そりゃどうも。
二人の背中がピタリとくっつく程の至近距離で僅かにそう言い合うと、即座に行動を起こす。
僅かな隙間へ駆け込んだ《雷光》が軽くその場で跳躍。
それを見た俺は金剣を地面に突き刺し、白剣も同じようにし、髪で腕の筋力を底上げして地面と水平になる。
「《雷刀──」
そして、上から落ちてくる《雷光》に合わせて思いっきり──
『せいっ!!』
──蹴り飛ばす!
「──天落あまおとし》!!」
俺の蹴りは《雷光》の両の足裏を蹴り飛ばし、《雷光》はその蹴りのエネルギーに乗って地面と水平に飛ぶ。
バチバチと刀をスパークさせながら飛ぶ《雷光》は、そのまま包囲網を強引に食い破り、四方に飛ぶ余波で他の生徒を戦闘不能に陥れた。
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