大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

火傷と足

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どうも、天井やら床が妙に綺麗だったのが不味かったらしい。
綺麗過ぎたというか、整いすぎていたというか。
ともかく、それに気づいたアーネが夜空を赤く照らした火焔の魔法──俺が空へ向かってぶっぱなしたアレ──と関連付け、もしかして怪我をしているのではないかと予想を付けたらしい。
まぁ、ドンピシャ正解なんだが。
「それにしても、今回も大怪我ですわね…」
「したくてしてる訳じゃねぇよ。これでも軽いぐらいだ」
どこにどのぐらいの怪我をしたのか確認するため、俺は一度服をすべて脱ぎ、下着一枚となった。
俺の怪我を確認したアーネは、その途端サッと血相を変え、ラウクムくんとクアイちゃんにその事を伝えると軽く騒ぎに。
防衛を二人に任せ、カウンターの奥に新しく出来た控え室の中へとアーネに引き込まれて治療を受けている。
「もしも望んでしているのなら、治しませんわよ………切りますわよ」
「おう」
ズッ──と薄いナイフの様なものが俺の足の親指と人差し指、その間を潜る。
高熱で熱された身体は予想以上に酷い事になっており、足の指が高熱でくっついていた。
気づかなかった俺も俺だが、痛覚を切っているんだ。仕方ないだろう?
身体の火傷もひどかったが、足の方が酷いので、先にそちらを優先する事となった。
ともかく、切り離して別々に回復魔法をかけていく。
「……ッ」
「痛いのは我慢してくださいまし。…まさか麻酔が必要になるとは思ってませんでしたわ」
「いや、痛覚切ってるから痛くはないんだがな…」
それでも自分の身体を切られる感覚はしっかりと身に刻み込まれている。
ついでに言うと、自分の足が切られて血がだくだくと出ているのはあまり気分のいいものでは無い。
「『この身の力はあなたと共に。あなたの力はその身を癒す』」
「…ん?」
なんか今、いつもの呪文と違ったような…。
アーネに聞く前に魔法が発動する。
俺の足を包み込むアーネの両手が優しい緑色の輝きに包まれ、癒しの光がその手から漏れる。
なんとなくひんやりとした感覚を足に感じた途端、俺の指が治り始める。
それも、いつもより格段に早く。
「おおっ!?お、おっ!?なんじゃこりゃ!?」
やや不格好に切り離された指の傷が塞がり、素早く整形され、元の形へと戻る。
輝きが収まった頃には、俺の右足は数時間前と寸分違わぬ形に戻っていた。
「……今のってまさか…」
「…治癒魔法ですわ。聖女様から直々に教えていただきましたの」
気のせいか、アーネの顔に疲労が浮かんでいる。
いや、回復魔法と違って、治癒魔法は術者からも回復力を持っていく。
当然、アーネに溜まる疲労は回復魔法と比べて桁違いに増えるか…。
「悪いな」
ふと漏れたセリフに返ってきた言葉は「そんなことを言うなら、怪我しないでくださいましッ!!」という、結構キツめの一言だった。
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