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本編
作戦と疲労
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「レィアさん、お疲れ様」
ウィルがそう言って、俺に手を出してくる。
ずっと座っていた俺は、その手を握ってこう返す。
「おう、疲れた。おぶってくれ」
「……ははは…」
残念ながら、ウィルは笑うだけで頷かず、手を引っ張って俺を立たせるだけだっが。
「レィア!!大丈夫か!?」
「あー、ルト先輩?大丈夫大丈夫。傷一つないから。ただ疲れただけ」
「何!?それはいかんな!!疲労は全てのパフォーマンスを低下させ、あらゆるミスの原因となりうる!!今すぐ休め!私が責任もって介抱しよう!!」
「あ、うん、大丈夫だわ。全体的に。全面的に」
馬鹿なことを言いながら、しかし疲れているのは嘘ではないので、軽くウィルに寄りかかりながら引き返し始める。
あー…。
『大丈夫か?今代の』
大丈夫か大丈夫じゃないかって言うと、大丈夫じゃない。
今すぐ部屋に帰ってフカフカのベッドに飛び込んで…いや、あのベッドは寮か。
とにかく寝たい。
頭を酷使しすぎた。
身体が本調子じゃないのに調子に乗った。
不自由な戦い方で身体が変に疲れた。
要因を挙げていけばキリがないね。
「《緋眼騎士》、大丈夫だったか?」
「大丈夫だ」
『…おい』
生憎、見栄っ張りなもんで。
《雷光》にそう聞かれれば、意地でもそう答える。
身体もかなり限界だったが、そこは便利なスキルを使って、何事もないように立つ。
「うん、元気そうだね、よかった。ルトがあんな作戦を切り出した時はどうしようかと思ったけど…無事で本当に良かった」
切り出した時って…アンタら喋って無かっただろ。
ホントは仲いいんじゃねぇの?そう勘繰りたくなったが、それならあんな喧嘩と言うのも生温いようなことにはならないか。
「いくら怒り狂い、さらに油断していたとは言え、竜種の私を倒した強者が、やられる訳がないと思ったのだ。実際、そうだったろう?」
「何とかなりはしたが、二度とゴメンだね。次やる時はルト先輩が自分でやればいい」
顔を思いっきり顰めてそう言うと、先輩は「次があれば、な」と軽く答えた。
…まぁ、この人なら難なくやりそうだが。
今回やったのは、非常にシンプルな事。
俺が囮になり、その間に他の二つ名持ち達が、敵の後衛を叩くという物。
今回の戦いで一番厄介だったのは前衛の連携ではなく、いつなん時来るか分からない、可変の魔弾。
隙間を縫い、致命傷を狙うそれは、俺以外の誰かであれば、高確率で怪我を負う。
実際俺も、実は何発か《千変》で弾き損ね、避けきることも出来ていなかった。
…まぁ、結局は体質の関係でダメージは無かったのだが。
当然、いくらルト先輩やウィルが卓越した技術を持っていても、それは充分脅威足り得る。
だから後衛を潰したかったのだが…ここで前衛の連携が邪魔になった。
生徒一人ひとりが盾となり、生徒達が壁となった。
どうしようか。
そうだ。
壁を崩す必要は無い。
壁を一箇所に集めればいいのだから。
そうすれば、二つ名持ちが通れる。
そんな訳で俺が囮になり、ルト先輩達が後衛を潰してから俺の所に戻り、援護が無くなった前衛を潰した訳だ。
「ともかく──どうなるか。《緋眼騎士》、体力は充分あるか?」
「それなりに。が、本音を言えば帰って寝たい」
あぁうん、今すぐにでも。
ウィルがそう言って、俺に手を出してくる。
ずっと座っていた俺は、その手を握ってこう返す。
「おう、疲れた。おぶってくれ」
「……ははは…」
残念ながら、ウィルは笑うだけで頷かず、手を引っ張って俺を立たせるだけだっが。
「レィア!!大丈夫か!?」
「あー、ルト先輩?大丈夫大丈夫。傷一つないから。ただ疲れただけ」
「何!?それはいかんな!!疲労は全てのパフォーマンスを低下させ、あらゆるミスの原因となりうる!!今すぐ休め!私が責任もって介抱しよう!!」
「あ、うん、大丈夫だわ。全体的に。全面的に」
馬鹿なことを言いながら、しかし疲れているのは嘘ではないので、軽くウィルに寄りかかりながら引き返し始める。
あー…。
『大丈夫か?今代の』
大丈夫か大丈夫じゃないかって言うと、大丈夫じゃない。
今すぐ部屋に帰ってフカフカのベッドに飛び込んで…いや、あのベッドは寮か。
とにかく寝たい。
頭を酷使しすぎた。
身体が本調子じゃないのに調子に乗った。
不自由な戦い方で身体が変に疲れた。
要因を挙げていけばキリがないね。
「《緋眼騎士》、大丈夫だったか?」
「大丈夫だ」
『…おい』
生憎、見栄っ張りなもんで。
《雷光》にそう聞かれれば、意地でもそう答える。
身体もかなり限界だったが、そこは便利なスキルを使って、何事もないように立つ。
「うん、元気そうだね、よかった。ルトがあんな作戦を切り出した時はどうしようかと思ったけど…無事で本当に良かった」
切り出した時って…アンタら喋って無かっただろ。
ホントは仲いいんじゃねぇの?そう勘繰りたくなったが、それならあんな喧嘩と言うのも生温いようなことにはならないか。
「いくら怒り狂い、さらに油断していたとは言え、竜種の私を倒した強者が、やられる訳がないと思ったのだ。実際、そうだったろう?」
「何とかなりはしたが、二度とゴメンだね。次やる時はルト先輩が自分でやればいい」
顔を思いっきり顰めてそう言うと、先輩は「次があれば、な」と軽く答えた。
…まぁ、この人なら難なくやりそうだが。
今回やったのは、非常にシンプルな事。
俺が囮になり、その間に他の二つ名持ち達が、敵の後衛を叩くという物。
今回の戦いで一番厄介だったのは前衛の連携ではなく、いつなん時来るか分からない、可変の魔弾。
隙間を縫い、致命傷を狙うそれは、俺以外の誰かであれば、高確率で怪我を負う。
実際俺も、実は何発か《千変》で弾き損ね、避けきることも出来ていなかった。
…まぁ、結局は体質の関係でダメージは無かったのだが。
当然、いくらルト先輩やウィルが卓越した技術を持っていても、それは充分脅威足り得る。
だから後衛を潰したかったのだが…ここで前衛の連携が邪魔になった。
生徒一人ひとりが盾となり、生徒達が壁となった。
どうしようか。
そうだ。
壁を崩す必要は無い。
壁を一箇所に集めればいいのだから。
そうすれば、二つ名持ちが通れる。
そんな訳で俺が囮になり、ルト先輩達が後衛を潰してから俺の所に戻り、援護が無くなった前衛を潰した訳だ。
「ともかく──どうなるか。《緋眼騎士》、体力は充分あるか?」
「それなりに。が、本音を言えば帰って寝たい」
あぁうん、今すぐにでも。
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