大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

帰還と嫌悪

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「ようラウクムーおかえりー。他のみんなもお疲れ様。怪我とか大丈夫?」
「…レィアさん、それ…どうしたの?」
「あ?何?どれよ?」
「いやだから…その…えっと…言ったら怒らない?」
「………はっはっは、ラウクムぅ…その言い方がアウトだとは思わないのか?」
そう言うと、ラウクムくんは、引きつった笑みを浮かべながら、しかし周りのクラスメイトの表情から自分が聞かざるをえないことを悟り、意を決して聞いてくる。
「この店一杯に敷きつめられたみたいにしてある、この大量の薔薇の花は一体何?」
「…知りたい?」
「そりゃ…まぁ」
溜息が口から漏れた。
まーたこの手の話をせにゃならんのか。
自分の頭から思い出したくもない記憶をほじくり返して、自分の口からそれを伝えなきゃならんとは、なんとも嫌な話だ。
あの大男、今度見つけたら記憶が消滅するまで殴ってやる。
「ラウクムが出てってから一人、せっかちなが来たの、覚えてる?」
「え?うん。僕が出てってから、すぐに凄い音がしてたね」
…そんなデカイ音、してたっ──な。
多分、俺の破断と大男の斧がぶつかった時の音だな。
「それは少し手間取ったけど、まぁ簡単に片付いたんだよ。で、それが俺に告ってきた」
「へぇ、流石レィアさん。西学の生徒相手でもやっぱり簡単に──へ?」
あぁもう、その顔やめろ。
頭をバリバリと引っ掻きながら、もう少しわかりやすく伝わるように言い直す。
「こういや分かるか?告白。もちろん罪の方じゃなくて愛の方。いや、罪の方だったら何億倍良かったか…」
なんで俺は男に好かれるんだ。
あーいや、言わんでいい。知ってる。顔のせいだとか、身長のせいだとか、その辺りは星の数より聞いた。
花買って来るぐらいなら、壊れた椅子やら机買ってこい。
「ぶっ……!!」
「おら、そこの赤い頭の巨女。テメェは後で鉄拳制裁だ」
「わ、私は笑ってませんわ!!」
「俺は笑った奴に文句を言った訳じゃなかったんだが、そうかそうか、笑ってたのか。…倍な」
「ハメられましたの!?」
ハメられた方が悪い。つーか笑った方が悪い。
「もちろん、こんなもん気色悪いだけだし、捨ててもらって結構!というか邪魔で邪魔で仕方ないからな。かなりの数を捨てたんだが、お前らが帰ってくる前に片付けきれなかった。すまん」
あぁうん、実はまだあったんだよ。これ以上に。
そんな微妙な顔すんな。
「それより、そっちはどうだった?」
具体的に襲撃の事だが。
ちなみに、ラウクムが「あと三十分程度で着く」みたいな事を言っていたが、実際は一時間程かかっている。
何か…あったのかね。
「あぁ…うん、その話は後から、ね。それよりまず、この床を片付けることから始めよう?」
「え?あぁ、わかった」
…何かあったのか。
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