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本編
後悔と闖入者
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激しく後悔した。
なぜ俺はあの時、速攻で部屋に戻ったのだろうか。
寮にいくつかある会議室の一室が俺達、新一年クラスにあてがわれた部屋に俺が入った時、既に壁に書かれた文字を追っていくにつれて、顔色が青くなっていくのが俺でも分かった。
「…え、マジ?それもう確定?」
「え、えぇまぁ、多数決で決まっているんで…というかシィルさんはどこへ行ってたんですか?」
いつだったかに学級委員長に決まった眼鏡でお下げの女子がやや戸惑い気味にそう言った。
その肯定の言葉で、俺は膝から崩れ落ちた。
正しくポージングはorz。
「えーっと、この数に間違いは…」
「いえ、あってますよ。というか、シィルさんは主戦力ですから」
おぉう…。
キッ!とアーネを睨むが、こいつ「なんでもいいって言いましたわよね?」と顔で語ってやがる。
凄まじくイイ笑顔を浮かべて、勝ち誇ったようなオーラすら出してやがる。
ちなみに、よくよく見れば録音系の魔導具がこっそり右手に握られてた。言い逃れはもう出来ねぇ…。
『…ん?何事だ、今代の』
あぁシャル、お前は字が読めないんだっけか。
よーし、読んでやる。
喫茶店だと。
『…なんだ、別にいいじゃねぇか。この際、料理の一つでも憶えとけよ』
そこだけなら問題はないんだよ。
問題は、衣装ん所。
『あ?服?なんでもいいじゃねぇか』
おう、男子の所に俺の名前があって、女子の所に俺の名前が無けりゃな問題は無かったよな。
『………。』
「………。」
『………。』
「………。」
『今代の』
おうなんだ。
『すまなかった』
許す。
「俺って男だって言ってるよな?ほら、制服も男物だし」
「でもシィルさん、魔法陣の男女判定で女判定だったじゃないですか」
ぐぅの音も出ない。
『マジかよ!実話かよ!!』
実話で悪かったな、クソ亡霊。
『すまなかった』
次はない。
「そんなシィルさんが男子用の服着てた所で、お客さんには違和感しかありませんって。それぐらいなら、最初から女子と同じ服着ましょ?」
「すまん、それは超えちゃいけない一線な気がするんだ…」
男として。そう、男として。
過去に何度か村のおばちゃん達にスカートを穿かされた事があったが、あのときは心が折れかけた。
今思えば、アレは全てナナキの悪ふざけだったんだろうが…俺の心にザックリと大きな傷を残した事件だった。
「ともかく、俺には男子用の服を──」
「《緋眼騎士》!《緋眼騎士》はいますか!?」
ばーん!!と、とんでもない勢いで会議室の部屋が開け放たれた。
そこに居たのは…誰?多分二年の先輩。そう判断する理由は、二つ名争奪戦で殴った記憶があるから。
「…あー俺だが。何用?今ちょっとすんごい大事な話してるんだけど、それよりも大事な内容?」
「ヒッ!」
『おい、無意識に緋眼発動してるぞ』
おっと失礼。
「ゆ」
「湯?」
「《勇者》と《臨界点》と《雷光》、さらに《逆鱗》と《不動》と《荒野》が呼んでます!至急食堂まで来いとのこと!」
「…んぁ?」
《犬》と《猫》で糞みたいに仲が悪い奴らが、同じ部屋で俺を待ってる?
それも二つ名勢揃いで?
ンなモン、今すぐ戦争でもおかしくないって聞いた…ああもういつの間にか戻ってきてたラウクムくんの顔色でヤバいことが分かったわ。
嫌ぁ~な予感しかしないんだが。
なぜ俺はあの時、速攻で部屋に戻ったのだろうか。
寮にいくつかある会議室の一室が俺達、新一年クラスにあてがわれた部屋に俺が入った時、既に壁に書かれた文字を追っていくにつれて、顔色が青くなっていくのが俺でも分かった。
「…え、マジ?それもう確定?」
「え、えぇまぁ、多数決で決まっているんで…というかシィルさんはどこへ行ってたんですか?」
いつだったかに学級委員長に決まった眼鏡でお下げの女子がやや戸惑い気味にそう言った。
その肯定の言葉で、俺は膝から崩れ落ちた。
正しくポージングはorz。
「えーっと、この数に間違いは…」
「いえ、あってますよ。というか、シィルさんは主戦力ですから」
おぉう…。
キッ!とアーネを睨むが、こいつ「なんでもいいって言いましたわよね?」と顔で語ってやがる。
凄まじくイイ笑顔を浮かべて、勝ち誇ったようなオーラすら出してやがる。
ちなみに、よくよく見れば録音系の魔導具がこっそり右手に握られてた。言い逃れはもう出来ねぇ…。
『…ん?何事だ、今代の』
あぁシャル、お前は字が読めないんだっけか。
よーし、読んでやる。
喫茶店だと。
『…なんだ、別にいいじゃねぇか。この際、料理の一つでも憶えとけよ』
そこだけなら問題はないんだよ。
問題は、衣装ん所。
『あ?服?なんでもいいじゃねぇか』
おう、男子の所に俺の名前があって、女子の所に俺の名前が無けりゃな問題は無かったよな。
『………。』
「………。」
『………。』
「………。」
『今代の』
おうなんだ。
『すまなかった』
許す。
「俺って男だって言ってるよな?ほら、制服も男物だし」
「でもシィルさん、魔法陣の男女判定で女判定だったじゃないですか」
ぐぅの音も出ない。
『マジかよ!実話かよ!!』
実話で悪かったな、クソ亡霊。
『すまなかった』
次はない。
「そんなシィルさんが男子用の服着てた所で、お客さんには違和感しかありませんって。それぐらいなら、最初から女子と同じ服着ましょ?」
「すまん、それは超えちゃいけない一線な気がするんだ…」
男として。そう、男として。
過去に何度か村のおばちゃん達にスカートを穿かされた事があったが、あのときは心が折れかけた。
今思えば、アレは全てナナキの悪ふざけだったんだろうが…俺の心にザックリと大きな傷を残した事件だった。
「ともかく、俺には男子用の服を──」
「《緋眼騎士》!《緋眼騎士》はいますか!?」
ばーん!!と、とんでもない勢いで会議室の部屋が開け放たれた。
そこに居たのは…誰?多分二年の先輩。そう判断する理由は、二つ名争奪戦で殴った記憶があるから。
「…あー俺だが。何用?今ちょっとすんごい大事な話してるんだけど、それよりも大事な内容?」
「ヒッ!」
『おい、無意識に緋眼発動してるぞ』
おっと失礼。
「ゆ」
「湯?」
「《勇者》と《臨界点》と《雷光》、さらに《逆鱗》と《不動》と《荒野》が呼んでます!至急食堂まで来いとのこと!」
「…んぁ?」
《犬》と《猫》で糞みたいに仲が悪い奴らが、同じ部屋で俺を待ってる?
それも二つ名勢揃いで?
ンなモン、今すぐ戦争でもおかしくないって聞いた…ああもういつの間にか戻ってきてたラウクムくんの顔色でヤバいことが分かったわ。
嫌ぁ~な予感しかしないんだが。
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