大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

リスタートと訓練

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結局、一晩あけてもあの声が一体何だったのかは分からず、ついでに言うならアーネの機嫌もそれなりに悪いままだった。
同室の同じベッドでずっと不機嫌な顔されてても困るだけなんだがな…。
嫌いな俺から離れていた二週間が、そんなに惜しかったか?
それはさておき、非常に気持ちよかったベッドから降りると同時にアーネとシエルを起こし、自分の支度を始める。
シエルはともかく、アーネはやはり朝に弱いらしく、まだ何か言っているが無視。
俺の支度が終わる頃にアーネがようやく用意を始める。
この辺りは前と変わってなくて、何となくホッとする。
…はて、俺は今、何にホッとしたのだろうか。
まぁいい。
そして久しぶりの食堂で、オバチャンの作る朝食をしっかり腹に収め、学校へ。
なんかこのサイクルの中にいて、ようやく学校に戻ってきたと認識した。
午前は適当に聞き流しつつ、それなりにやっているフリをして、午後の戦闘訓練へ。
…だって午前の授業、一応教えてもらったけどほとんど意味わかんねぇし。
寝なかっただけまだマシと言える。
で、午後の戦闘訓練なんだが──。
「え?俺見学?」
アップと慣らしを兼ねて銀剣を振っていると、クードラル先生が後ろから呼び止めた。
「はい、いつもの『二つ名持ち用の魔獣』ならいるのですが、『一般生徒用の魔獣』の数が足りなくてですね…復帰したてのシィルさんの分を補充し忘れていました。すみません」
やっぱり二つ名持ち俺達って全体的に難易度上がってたのな。道理で色々とおかしいと思ってた。
…まぁ、普通はほかの班より五割増しでデカい魔獣とタイマンしたりすれば、何となく察するか。
俺は気にもとめなかったが。
「…ん?なんで足りないことになってるんだ?」
足りてんじゃん。
「はい?」
「いや、なんで俺がその『一般生徒用』の方と戦うこと前提なんだ?」
「…まさか、いつも通り戦うつもりですか?」
驚いた顔のクードラル先生。何でそんなに驚くかねー?
「当たり前。弱いの持ってきてもらっても困るしな」
敵がわざわざ弱くなって来てくれるなんて事はまず有り得ない。
なら、出来るだけ強い敵と戦っておき、備えるのが正しい訓練…じゃないのか?
俺は先生じゃないから詳しく知らんが。
「ま、そういう訳でよろしく。変に気を使わなくていいから」
「わ、わかりました…しかし、危険と判断したら、すぐに逃げてくださいね?」
「あーうん、はいはい、了解了解」
そうは言ったものの。
フィールドの中じゃあ逃げるも何もないだろうに。
またぶち破っていいって言う許可かな?
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