大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

名と経過

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さて、翌日からの流れを手早くざっくりまとめよう。
まず一つ目、アーネの二つ名について。
結構悩んだようだが、彼女の名は《緋焔》ではなく《緋翼ひよく》にしたらしい。
「結局緋の字が被ってるけどいいのか?」
「えぇ。貴方とお揃いですわね」
との事。由来とか理由を聞いてみたが、恥ずかしいのかはぐらかされた。
個人的には緋色の翼と言えば所謂不死鳥フェニックスのイメージ。そう言えば彼女が聖学祭で使っていたトンデモ火力の魔法もその名前を借りてたっけか。
ちなみに余談だが──
「ところであの…昨晩なんですけれど」
「ん?」
「もしかして私、何か変なことしましたの?」
「………。」
「………。」
「…いや何も?」
「本当ですの?」
うっすらと記憶はあるらしい。子供見たいに抱き抱えられたのは個人的に結構恥ずかしいので、アーネが覚えていないなら黙っておくことにする。
少々長くなったが次。
《勇者》の扱いについてだ。
急にやってきた《勇者》に、学校側は即座に対応。具体的には部屋を用意し、聖学の事を理解している者を傍に置き、かつ万が一何かあっても対応出来る者を用意した。
まぁそれ全部、今聖学にいる英雄がやってるのだが。
「疲労と心労でハゲそうなんやが。俺の家系ハゲの血筋や無いんやけどどうしてくれるん?」
「知るか。仕事の一環って割り切れ」
元聖学生徒という事と、過去に結構やらかしていたらしいオーリアン。学校長には頭が上がらないらしく、やれと言われたら断れないようだ。
「正直はよ行ってくれって感じやわマジで。で、いつなん?行くの」
「三日後。もうちょいこらえててくれ」
「っかー!あと三日もか!一日でも嫌ねんけど」
という話を英雄としたのが昨日。
そんな訳で三つ目。ようやく準備が整ったので結界の外に行く話が具体的に決まった。
向こうから二つ名持ち三人、こちらは名指しで俺一人は必須、あと二人までなら許容範囲といった話だった。
当然これに乗っかるのはアーネ。他の二つ名は首を横に振ったので二人だけ。
《雷光》は「短期決戦型で潜入も苦手なので辞退する」と言い、《剣姫》は「行きたくない」と言って拒否。《臨界点》は当然のようにその場にいないし、ユーリアこと《貴刃》は先日の森の件で謹慎処分を食らって来れない。
まぁ、恐らく《剣姫》は研究所からあまり離れたくないのだろう。《臨界点》はもういつも通りなので最早何も言うことは無い。
結果として、ほぼ消去法じみた理由で俺とアーネ、それに加えて《勇者》が一緒に行くことになった。
ちなみに英雄から聞いた話だが、アーネがついてくると聞いて《勇者》は相当嫌な顔をしたらしい。まぁ目撃者は少ない方がいいもんな。アーネに関してはバラしてあるから大丈夫だと今度会ったら伝えておこう。
さらに余談だが、基本的に《勇者》は英雄の部屋から出ないようにキツく言われているので全く出てこない。そのため俺達と日常的に会うことも無い。
…話としては大体こんなモンかね。あぁ、セラの腕の破片は何とか見つけた。何か知らんが、来た翌日に《勇者》が拾ってきて「探し物はこれか?」と持ってきた。
なんで知ってんのか心底気持ち悪かったが、渋々礼を言って受け取った。
その顔を見て、尚のこと嬉しそうにニタリと笑う《勇者》。
俺のこの顔を見るためだけに、わざわざあの広い荒野を探し回って拾ってきたのだとすると、相当イイ性格をしていると言わざるを得ない。
つってもまぁ、パッと思いつくような話すことってのはこんぐらいか。また何か思い出したら言うが。
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