大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

剣と新技

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学校長に「ちょっといいか?」とメッセージを入れて話す事五分少々。
『わかりました。こちらに大きなデメリットは無いですし、構いませんよ』
「オーケー、じゃあそういう事で」
さっさとメッセージを切り上げると、一言マキナの名前を呼ぶ。
『はい』
「俺の金剣と銀剣の仔細なデータと例の件も添えてベルにメッセージ。文面は…分かるだろ?」
『了解しました』
よし。じゃあ任せようか。下手に俺が書くよりマキナの方が分かりやすくて細かい文になる。
多分これで剣に関しては大丈夫…と、祈る他ない。
もしダメだったら、ルールにあった貸し出し用の剣を何本かまとめて借りるしかない。別に貸し出の剣を折ったらダメってルールは無かったはずだし、そうなっても多少は戦える…はず…
さて、そんな訳で昼間は仕方なく一人で時間を潰し、夜になって一人でこっそりと第二訓練所へと行く。
「とりあえず、今の俺に必要なものが分かった」
『魔導具じゃない剣か?』
「いやまぁ、それも必須なんだが、そっちじゃなくて。単純に技術の話だ…いや技術の話か?まぁいい、要は技の話だ」
と言って、マキナも纏わずおもむろに銀剣を抜く。
「今俺が使える戦技アーツは、大剣と双刃が四つずつに双剣が十二、移動が二の二十二種類。もっとも、大剣で使えるつっても《煌覇》はもう使えないし実質三種類、元々はもっとあった双剣の戦技アーツの半分近くはまだ使えない。挙句にゃ《終々》はロストしたから双剣も十一種類ぐらいか」
『よくもまぁそんだけ編み出したな。大剣で二つだけ教えたのは覚えてるが、後は全部自作か俺のを見てパクったんだろ?』
「まぁそうだな。けど一年ちょい戦って来て、どんな状況下でも戦技アーツを放てる、っていう事より、どんな状況下でもこの戦技アーツさえ決まれば勝てる、って戦技アーツの方が欲しくなってきてな」
特にあの《雷光》の《雷霆一閃》を見て強く思った。恐らくあの一撃は、限りなく俺の《音狩り》と近い立ち位置にいる戦技アーツ。ただただ純粋に早くて鋭い一撃を極めただけのそれは、きっと雷など関係なく雷速に到れる。
『要は必殺技か、贅沢な望みだな。で?何をしようってんだ?』
戦技アーツをそれぞれ一種類ぐらいに絞る…いや、一度習得した戦技アーツは身体に馴染むから、使えなくなる訳じゃないんだが…ともかく、今ある《音狩り》すら捨てて、その先へ。《終々》さえも届かなかった境地に手を伸ばしてみようかなって」
『さらりととんでもない事言うなお前。今の概念を押し付ける戦技アーツってのでも無茶苦茶なんだが』
「つっても、戦技アーツとして見れば同じだぜ。ただし、もっと気軽に、そして構えも予備動作も無いような」
ここからが新しい発想となる。
今までの《終々》や《音狩り》は「双剣」で「早く振れるように軽い」必要があった。
さらにきちんと足を止めて、しっかりと構えるた上で相手がどうなるかイメージを完璧にする必要があった。
それを「無駄」として、型に決まっていたそれらを全て取っ払う。
究極的には、同じ戦技アーツで別の武器種でも使えるような、さらに戦技アーツの軌跡が違っても同じ結果が出るような物を目指す。
『…それって戦技アーツって言えんのか?つか、そんなこと出来んの?』
「さぁ…どうだろうな。結果や概念だけを押し付けて、その過程を全て決めずに自由とする、無形の戦技アーツか…さしずめ無戦技ゼロ・アーツって所かね」
何千、何万、何十万と繰り返した動きが世界に記録され、そしてまた世界の力によって再現されることで発現する戦技アーツ
それが動作を細かく設定せずとも、構えや狙いと言った、特定の条件をクリアすれば「斬る」のような結果だけを持ってくることも出来るようになっているのなら。
理屈の上では、「戦っている」という状態…いや、もっと言えば、「剣を持っている」という状態さえクリアしていれば相手を「斬る」という結果を持ってこれるはず。
そのためには。
「ま、ひたすらに剣を身体に馴染ませる…剣を振るしか無いな」
『なるほどね。ところで血界の練習はどうすんだ?』
「聖学祭が終わってから考えるさ」
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