大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

聖女と仲

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その後、いくつかやり取りをしたら学校長とラピュセ達はすぐに部屋から出ていった。まぁ忙しいんだろう。特に後処理とか。
「で、なんでアンタは残ってんだ?」
部屋から出ていく三人を俺の横で手をヒラヒラとさせながら一緒に見送る英雄殿。アーネは食器を洗いに再び台所へ。
「いやな?ちょっと俺、まだ君に興味あってな?」
「悪いがそういう趣味はないんだ。帰ってくれ」
「アホ、俺やってそんな趣味ないわ。んでな、単刀直入に聞きたいんやけど、君、ウチの嬢様とどんな関係なんや?」
「あ?聖女サマとどんなって…」
…どう答えりゃいいんだ。
友達って訳でもないし知り合いって程浅くもない。いくつか仕事を言われたりしたが、そんなに言えるような事でもないし。
とはいえ何度か頼られてはいるから…んー…
「…まぁ、色々あって簡単にゃ言えねぇが…端的に言うなら先輩と後輩…みたいなモン…?」
「どういうことやねん」
「説明出来ねぇんだって。色々あって」
ただまぁ、《勇者先輩》と《聖女後輩》ってのはまぁ間違いじゃないだろ。俺が本物の勇者かどうかはさておいて。
「とりあえず、聖女サマと敵対する気はねぇよ。俺はあいつの味方だ」
「いや、そうやなくてな。俺の予想やと、嬢が思いを寄せてる相手が君やと思ってたんやけど。違うん?」
「は?なんでそんな話になる」
そもそもロクに会わないし、大したこともしてないのに。
「たまーにな、嬢の機嫌が良くなる時あるんやって。翁とかにも聞いたら、そういう時、大体君が近くにおったらしくてな。部屋に大層大事そうに仕舞われてるナイフとかも君が送ってんろ?」
「いや知らんが。あ、スマン、ナイフは一本やったが」
つーかなんで仕舞ってあんだよ。常に持っとかなきゃ意味ねぇだろが。けどぶっちゃけ、使う場面になったら持ってても意味ねぇだろうがな。
「翁も『心配は要らんよ』ちゅーてたし、そんなら危険な奴や無いんやろし、そもそも滅多に会わんやろし、なら別にええかと思ってたんやけど、会ってみたら女侍らせてるやん?」
「はべっ…!?」
台所の方から変な声が聞こえた気がするが、多分気の所為だろう。
「君、もしかしてタラシなん?」
「タラシ…?ともかくアーネは俺の恋人だ。最近妙にスキンシップが激しいが、そんぐらいだな」
「いやいや、普通はあんな見せつけんよ?それより、アーネちゃんと君が恋仲って事を嬢は知ってんの?」
「知らねぇんじゃねぇかな。色々話したのも割と最近だし」
「話?付き合うんになんや決め事でもあったん?」
「いや、そういうんじゃなくて…いや、そういうのか?ともかく、アーネん家の家族会議で話し合った」
「家族会議!?え、何、もう両親と話したん?」
「あぁ。あとアーネの兄もいたな」
そう言うと、英雄は頭を抱えてテーブルに突っ伏した。
やがて顔を上げ、なんとも言えない悩んだ顔をこちらに向けながらこう言った。
「一応言うとな、ウチの嬢様が俺をここに残すって制約組んだ時、周りに滅茶苦茶反対されてたかんな?」
「へぇ。でもまぁこっちの被害も大きかったし、アンタも王都の方じゃ全力出せないし、もしもう一回狙われたらって事考えると、適材適所って奴じゃないか?」
「おうそうやな。嬢様は聖学の被害を全部把握した上でここに俺を残したんや。あと話変わるけどな、もし君が今日起きんで身体調べて、それでもダメやったら嬢がここに来る予定やったんやで。これも教会のジジィ共に滅茶苦茶な理屈叩きつけて、強引にスケジュール詰めてたわ」
「王都からわざわざ?なら早めに起きれて良かった。流石にこれ以上負担掛けさせるわけにゃいかんからな」
そう言うと、英雄はハァ、とため息をついた。
「君、人の心を分かってないとかってよォ言われんか?」
「あぁ言われる。今それを教えて貰ってる所だ」
だが、今の話とどう関係があるんだ?
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