大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

剣と鎧

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「…は?」
「あれ?聞こえなかった?オリジン・ウェポンを作ってほしいって言ったんだけど…」
武器に関して俺より詳しいハズの槌人種ドワーフが俺の言ってる意味が分からんはずが無い…あ、アーネは頭上に「?」を大量に飛ばしてる。
「お、オリジン・ウェポンと言いますと、名のある方々が携える一級品かつ一点物の武具…という意味でしょうか?」
「おう、それそれ。別にそんな大層なもんが欲しい訳じゃなかったんだが、俺に合うような武器やら防具…主に防具がねぇんだよ」
それがこの鍛冶屋に来た理由。
ここに来るまでにザッと他の武器屋、防具屋を見てきたのだが……。
「武器は金剣と銀剣があるし、重いプレートタイプの防具じゃ重すぎる、軽い軽鎧や革鎧じゃ防御力に難があるし、盾は…銀盾があるしなぁ…」
「…キンケン?ギンケン?ギンジュン?」
…あぁそうか、言っても分からんか。
「ほれ、コレだ」
キン、と音を鳴らして金剣と銀剣が続けて具現化する。
室内の明かりを反射して、金剣と銀剣が光を放つ。その表面に刻んである細かな文字、見事な柄は誰もが一度は目を奪われ、職人なら同時に目を疑うような剣。
「へ?な、え、これって」
もちろんそれは、目の前の少女にも該当した。
「あーそっか。槌人種ドワーフなら知っててもおかしくはないか。多分察しはついてるだろうけど、間違っても答えは言っちゃいかんぞ。盗んだ訳でもないし、俺はドがつく一族でもエがつく一族でもない。…一応、許可は取ってあるから大丈夫だ」
「は?う?ん?え?はぁ?はぁ…」
混乱してらっしゃるようで。けどまぁ、それが世間一般の反応なんだろうなぁ…。
金剣銀剣は、今も両方耳長種エルフ龍人種ドラゴニアンの家にあるはずなんだから。
「さて、そんな訳で俺は武器に不自由してねぇんだ。けど、防御面がちょいと不安がな…」
ピクリとアーネが反応する。
「あぁいや、そういう意味じゃねぇから」
一応アーネそう言っといてやる。
「俺のバトルスタイルは、基本的に相手の攻撃を受けない、受けざるを得ない時は剣で防ぐ…ってのがまぁ基本なんだが…つい最近、それじゃどうしようもない状況になって大怪我をしたんだ」
「攻撃を受けないスタイルなら、軽鎧などでもよろしいのでは?」
「軽鎧じゃ防御力に不安があるんだよ。魔……獣の角や牙、爪が俺を襲うんだ。軽鎧じゃ多分、引き裂かれてお終いだろ」
あっぶね。魔族って言いかけた。
「…では、どんな防具をお使いになっていたのですか?」
あ、苛立ってきてんな。けど、生存率を一パーセントでも上げるため、ここで引き下がるわけにはいかない。
「これかな。材質はキマイラの骨とアンガーアントの外殻、あとは──」
話し合いは長くなりそうだ。
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