大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

第一都市と出店

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「あー…まだ地面が揺れてる気がする」
長時間馬車に揺られ、時折爆発に揺られながらもひとまず南の第四都市を通過し、日が大分傾いてきた所で適当に宿を取る。
現在地は南の第一都市、アークリーム。
大通りには色んな所に店が出ており、日がもう少しで沈むと言った時間なのに、この辺りだけはまるで昼間のように明るい。そこら辺の適当な出店にふらりと立ち寄り、中を覗く。
やはり東のプクナイムなどと比べると、物価が若干…訂正、結構高い。あとはやっぱり人が多いなぁ…それに騒がしい。日も沈みかけているのに、どうしてこんなに賑やかなんだか…俺が感じたのはそれぐらい?
俺の隣にはアーネが並び、シエルは俺の背中の上。
何故こんなことになったのかというと、御者の人が、
「アーネ様とご学友様はどうぞ外を見回って来てください。私めは宿を探し、見つけしだい場所と部屋の番号を《メッセージ》でアーネ様にお伝え致します」
とか何とか言ってくれたお陰で街を見て回ってる真っ最中。
ちなみにシエルは初めての慣れない馬車で疲れてしまったらしく、すこし歩き回ったらおぶってくれと言い出し、すぐに寝息をたて始めた。
「ちょっとあなた!これはどうですの!?」
「あん?」
騒ぐアーネの方を見ると、何やら耳飾りらしいものを出店の前で持っていた。
大きさは一つ一センチ以上二センチ未満程度の小さなもの。赤い宝石──っぽい赤い石だろうな。ありゃ──を縁取る金に輝く細工が非常に細かく、美しい。
「何がだ?」
一応そう聞いとく。
「わ、私に似合いますの?」
何故か顔を上気させながらアーネが聞いてくる。
「別に、」
『今代の。「別にいいんじゃねぇの?」は禁句だ』
シャルに止められた。
仕方ねぇじゃん。この質問、何回目だよ。
あちこちの出店まわってアクセサリーっぽいものを探してはイヤリングだのネックレスだのを見せて「どう?」って…お前がつけるんだから「どう?」もクソもねぇだろに…。
『それでも彼女はそれが楽しいんだよ。きっと。投げやりにならないで、一つ一つ丁寧に答えてやってくれ』
…なんか引っかかるが、まぁいいだろう。
「似合ってるよ。お前の目の色そっくりで綺麗だ」
そう答えてやると、アーネは何やら満足したらしく、出店のオヤジと値段交渉に入ったらしい。
…こういうところ見るとやっぱり商人(?)の娘なんだなぁと関心。
『…レィアが初めていい反応をみせたね』
あん?そうか?
『他のは全部「装飾が派手」「そのリング付けたら耳千切れねぇ?」「その腕輪、手錠みたいだよな」とか言ってたじゃん』
そうか?俺としちゃ、どれも本心から言ってる事なんだがな。
『……だから彼女も余計に嬉しいんだと思うよ』
シャルがそう言った意味を聞こうとした所で、アーネが戻ってきた。
すこしずり落ちてきたシエルを左腕と髪でおぶり直しつつ、アーネに引っ張られるまま次の店へ。
さて、次はどこの出店に行かにゃならんのかね。
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