大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

審査員と檻

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さて二日目。
たしかこの日は実技…つまり俺達で言うところのクードラル先生が受け持ってる、魔獣との戦闘訓練をテストするとか言ってた。
どんなものか、正直いつもと変わらない気しかしなかったのだが、ラウクムくんに聞いてみると、ちょっと違うらしい。
「審査員がつくんだよ」
「審査員?あぁ、俺達がしっかり対処出来てるかどうかみたいなのを見るのか」
「うーん、それもそうなんだけどね…」
「?」
「まぁ、レィアさんはいつも通りやってればいいと思うよ」
「そうか。ならいっか」
実際には、怪我の関係でいつも通りの動きは出来ないんだがな…。
ちなみにこの怪我、隠し通す気でいる。
たしか、王都の方には腕のいい義肢職人がいるはずなので、切り落とすことになった場合、そこで本物と遜色ないものを作ってもらう予定だ。
まぁ、無理だったらナナキの記憶から義手の作り方を引っ張り出して自作するさ。スキルがなくともそれなりのものは出来るはず。
あぁそうそう、少し実験を重ねてみた所、自分の意思で手をどうにかしようとすると激痛が走るが、外部から何かされても何も感じないという事が分かった。
つまり、手を握ろうとすると滅茶苦茶痛いが、ドアとかに手を挟んでも何も感じないという事。訳分からん。
一方で、足やら左肘は常にそれなりに痛い。普通に怪我とかしたら多分こんな感じ。が、まぁ無茶をしなけりゃなんとかなる程度。
走ったりすると少し痛むけどな。
そんな訳で不安度マックスな俺がいつもの訓練場に入ると──。
「ぅお」
『こりゃまたすげぇな…』
複数張られたフィールドの中には、いつも通り、謎の檻が一つと、足首を鎖で繋がれた人が一人ずつ入っていた。
鎖は大体長さ二メートルぐらいで、フィールドの中心に杭が打ち込まれているため、それ以上は動けないようになっている。
で、その目の前に縦横四メートルぐらいの巨大な檻が鎮座してる。
ちなみに、今回のフィールドは直径約十メートルのそれなりに巨大なものなので、数もあるため、訓練場めいいっぱいに広げられている。
「あぁ、審査員ってそういう事…」
中にいる人、あれを護りながら戦えと?
冗談キツイなぁ…。
『出来ないのか?』
なわけ。
三つ頭の番犬ケルベロスクラスの化け物とかが来たら流石にキツイだろうけど、そんな化け物が試験で放たれるわけが無いだろうし、何とかなるだろ。
檻の大きさからして…うーん、単眼巨人サイクロプス
大鬼オーガじゃないのか?』
んー…オーガだと、暗闇の中で暴れるんだよ。あの檻、完全に光をシャットダウンしてるのに大して揺れてねぇだろ?けど、サイクロプスだと逆に静かになる。力量的にも、それぐらいがベストじゃね?
それにオーガは多少知恵が回るけど、サイクロプスは馬鹿だし。だからその辺りかなー。
「おや、シィルさんも来ましたね。あとは…大丈夫ですね。…では、ルールを説明します」
クードラル先生が俺を見つけると、そう言って説明を始めた。
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