大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

強制参加と景品

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クードラル先生に、前回以上にこってり絞られた後、やはり強制的に午後の訓練に参加させられた。
…先生、前回も思ったんだが、飯も食わさず防具も取ってこさせずに訓練とか…おかしくないですかね?
『別にいいじゃねぇか。どうせ攻撃は受けないだろうし、一食抜いた程度じゃ戦闘に支障はねぇだろ?』
まぁ、間違っちゃいない。
確かに一切のダメージなしに勝つ自信程度はあるし、一食抜いても問題は無いだろう。
だがな!シャル!!一個だけ文句言わさせろ!!
『お、おう?』
一食抜いたら身長の伸びに悪影響が出るだろ!!健康に悪いんだよ!!
『…………すまん』
分かれば宜しい。
さて。
「先生、今日は何をやらさせられるんだ?」
「…シィルさん、あなたは学校のカリキュラムを一体何だと思ってるんですか?」
アンサー、なんとも思ってませんとも。えぇ。
いや、口には出さないが?出したら再び先生が切れるのは間違いないだろうし。
これでも切れるか切れないかのギリギリを敢えて踏んでるんだぜ?
「私達教師はあなた達生徒を立派で一人前の──」
「お?なんかみんな武装してるけど…」
「…聞いてませんね?」
聞くと耳が腐りそうだしな。
真面目な話は聞いてて飽きるしもう飽きた。説教は既に聞いたし。
「今日は景品かつ標的になってもらいます」
「あん?」
ちょっと待て。今なんかスゲェ悪寒が背筋をゾワゾワっと──。
「つまりですね」
グルリ、と周りのみんなを見渡す。
「本日の訓練内容は《緋眼騎士》、レィア・シィルさんから一本取ることです!ルールはシィルさん一人に対して、一人以上、ひと班以下で戦うこと!致命的な一撃が入ったと私に看做されれば、その者はフィールドから退場、ただし回復役ヒーラーがいる場合に限っては多少大目に見ます!制限時間は一試合十五分まで!勝利条件はシィルさんの降参、シィルさんへの致命的な一撃です!何か質問は!?」
「おぉう」
先生、俺が真横にいる所で急に大声を出さないで。鼓膜がやられたかと思った。
……ってか。
「おい、クードラル先生?俺聞いてないんだけど?」
「はい。言ってませんから」
いけしゃあしゃあと言ってのけるクードラル先生。
クソ…腹立つな…!
「先生!景品とは何ですか?」
誰かがそう質問する。
「景品は、明日一日シィルさんと一緒に過ごしても構いません!」
しーん。訓練場が静まり返る。
まぁ、そりゃそうだわな。俺と一日一緒に過ごすだけなんて景品、一体誰が──。
『『『『ウオオオオオオオオオオオ!!』』』』
「えっ!?何なに!?何事!?」
何でこんなに雄叫びが!?地面が割れそうなんですが!?
「おや、シィルさんは知らなかったんですか?」
「何がだクソ教師!?てか、勝手に人の時間を売るんじゃねぇ!!」
俺の抗議を綺麗にスルーして、クードラル先生はそのまま続ける。
「シィルさんは男女共に人気があるんですよ。今は確か、ファンクラブもありましたよ?」
『……今代?おい、今代の?おーい、レィア?』
…危ねぇ、気が軽く飛びかけた。
が、俺に拒否権はない訳で。
となると、勝ち続けるしかない。
…そういや、うちのクラスメイトとは戦ったことなかったっけなぁ、なんて現実逃避しながら、フィールドに入った。
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