大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

文字の大きさ
上 下
368 / 2,022
本編

朝と睡魔

しおりを挟む
…眠い。
そりゃもう。
『一応、なんとか形になった程度だが、まぁ及第点だな。お疲れさん。どんな気分だ?世界が変わって見えるだろ?』
おう、最ッ悪の気分だよ。世界が明るくなってきた頃にゃ最早寝るのを諦めたからな。
『しかし…あんな基本的な事がなんで全く出来ないんだ?生物として呼吸するレベルで勇者として緋眼を使うのは使えるはずなのに…初めて使った時に変な使い方したのか?いずれにしろ、あんな形で成功させるなんて前代未聞だぞ』
やかましい。てかそれ、俺死なねぇ?
さて、ニケとアーネの二人組を起こし、朝飯を半分寝ながら腹にねじ込んで、報告しなきゃならんが頭フワフワしてて纏まらねぇな、そういや朝とは聞いたが何時頃行けばいいんだろうか?まぁいいかと思って馬に乗って―――。
「ちょっと貴女!さっきからずっと、フラフラじゃないですの!何があったんですの!?」
「ん?別にぃ?ちょっとばかし特訓を」
強制でな。
「そんな状態で乗馬すれ──」
────。
────。
────。
「話を聞きなさいなぁぁぁぁ!!」
お、危ねぇ危ねぇ。寝てた。
徹夜か…そういや、魔獣相手に夜通し戦ったことはザラにあったが、毎回倒した後、俺もぶっ倒れるように寝てたな。
つまり、二十四時間突破して起きてるのは初めてか…。
ヤバ、視界がボヤけてアーネが二人に見えるぞ。
「しかしどうするよ?馬車はここに置いていかなきゃならんだろうし」
実はプクナイム、中心に近づけば近づく程に道路が狭くなっている。理由は知らんが。
で、そのうち馬車が一つギリギリ通れる程度になってしまうため、俺達が無駄に馬車を引くのは止めておこうと思っているのだが。
「なら、二人乗りしますわよ!私の背中に貴女の身体を巻き付けて下さいまし!そうすれば多少なりとも寝られるでしょう!?」
「んじゃお言葉に甘えて」
「へ?」
いいと言われたのでさっさと縛る。
俺の髪で縛っているが、俺が寝ても縛るだけなら、多分大丈夫。多分。
形としては俺がアーネにおんぶされるような絵面だ。
「ちょ、貴女!くっつきすぎですわよ!もっと離れて下さいまし!」
「馬鹿か。離れれば落ちるだろうが」
「息!息が首筋に!くすぐったいですわ!」
「寝てようと起きてようと呼吸はするぞ。我慢しろ」
「手がっ…!手が腰に!」
「んじゃどこに回せってんだよ。首だと絞めちまうぞ」
ぎゃーぎゃーやかましい。
これじゃ寝られやしない…。
あぁ、今更だが、ニケは今日いない。飯食ったらすぐに出てった。
なんかよく覚えてないけど、警備隊のどうしても外せない集会か何かがある…んだっけか?まぁいずれにせよ、ニケはおらず、俺とアーネだけ。あとから来れたらくるみたいな事言ってたけど…。
あぁダメだ。そろそろ本当に限界…。
俺の意識は、ゆっくりと沈んで行った。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...