大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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「待て待て!意味が分からんぞ!」
え?待て。何?抹殺?なんで?
「何?理由?あなた、彼女の素性、知らないのぉ?」
『どうする今代。お前が何も知らんってこと、向こうにバラすか?』
…そうするしかねぇだろ。知ったかカマしてもメリットはねぇよ。
「……生憎、こっちが持ってる情報はほぼ皆無でな。ウチの糞みてぇな学校長がどんなネットワークを使ったか知らんが、お前達西校がなんかヤバげな生徒を確保しようとしてるから、それを阻止してこっちの聖学に引き入れろって話だけだな。しかも期限日が短くてな。明日帰ってこいと来てる」
「ふぅん…その程度なの」
そう言うと、彼女は手から槍を消した。
俺達みたいなアクセサリーにするとか、そういうレベルじゃなく。文字通り、掻き消えた。
…一体、どうなってるんだか。
「ならいいわぁ。今回、あなた達に譲ってあげる」
「…いいのか?」
「それどころか、明日の朝にでも私が案内してあげましょうか?」
正直、そこまで言われるのは想定外だ。
「…俺達からしたらありがたいことこの上ないんだが、お前達のメリットは何だ?」
「あら、簡単よ。上手く行けばこの一件から手を引けるわぁ。逆に失敗しても、聖学の奴らが何人か死ぬだけで、私達にはデメリットは無いもの。私達もあの《問題児》には手を焼いているのよぉ?」
「なるほどな」
それならまぁ、分からんでもないか。
「けど本当にいいのか?俺達に目標を寄越すって話だろ?」
俺達聖学豹達西校はライバルみたいなもんだ。
そのライバルに戦力を与えるチャンスをわざわざ提供している訳だが…。
「……正直、私達もかなり消耗してるのよぉ」
「……そうは見えんのだが」
「本当よぉ?既にこの都市に宿泊して一週間は過ぎたけど、説得だとか力ずくでこちらに引き込むのは初日に諦めたわぁ。それからずっと殺そうと、色んな手を使っているのだけど、どうしても仕留められないのよぉ。…それに何だか、戦う度に強くなっている気がするのよねぇ」
「ふーん。…って何?お前、初日から《問題児》と遭遇出来たのか?」
「あらぁ?本当に知らないみたいね。彼女、ずっと囚われているのよ。私達は学校長のコネとかで都市長にすぐに話を通してもらって、そのまま彼女に会わせてもらったわぁ」
「囚われている?誰に?」
「誰に、って…都市長によ。都市長の家の地下なんだから。まぁ、もっと言えば」
そこで彼女は一度言葉を切る。
「もっと言えば、彼女のお爺様から、ね」
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