大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

文字の大きさ
上 下
349 / 2,022
本編

探索と被害

しおりを挟む
「………………。」
二人の話を聞いて、まず俺が黙り。
「………………。」
「………………。」
ついで主犯二人組が黙り。
『………………。』
途中から話を聞いていたシャルすら黙った。
話の内容を纏めて確認しよう。ってかしたい。させてくれ馬鹿野郎。
「アーネ、ニケ、お前達はまず、目撃情報の多かった、牧場に出向いたんだな?んで、そこには何も無かった、と」
頷く二人。
「で、次はひとまず一番近かった麦畑に行った、ここにも特に何もなく、次はどうしようかと考え、もう一度牧場に戻ってみた、と」
まぁ、少し早めに行ってた訳だし、とりあえず確認のためもう一回行ったのは充分わかる。
結果。
「結果、見事その噂と鉢合わせたんだよな?」
再び頷く二人。
「そこはいいんだけど、その次。何?何か言ったり確認する前にニケが突っ込んだんだっけ?」
ここがまぁ度し難い。
『せめてその立場を利用して「警備隊だ!そこで何をしている!」ぐらい言えればよかっただろうに』
ホントにシャルの言う通り。マジで。流石馬鹿というかなんと言うか…。
「違います!アーネさんが先に魔法を編み始めて…!」
「私は万が一戦闘になった時、即座に魔法を撃てるようにですわね!」
「やかましい!実際はお前ら、話聞く限りはニケが突っ込んで逃げられたらしいじゃねぇか!挙句の果てに──!」
じゃっ、とカーテンを勢いよく開け、その窓の先を指さす。
麦畑と比べて面積が狭く、ここから非常に遠い牧場は、遠近法の関係で非常に小さく見える。
が。
本来、牧場ってのは間違っても土がモロに露出だとかしてるモンじゃなくて、草が地面を覆ってるはずだよな?
『うっわぁ…』
「地面抉ってんじゃねぇか!あれ、完全にニケの戦技アーツだろ!」
「違いますよ!僕の戦技アーツの後、アーネさんの用意した魔法が炸裂したから半々です!」
「どちらにしろ結果は同じじゃボケェ!!」
小さく見える牧場の、その地面。
面積にして約七割から…下手したら八割ぐらい。それだけの面積がごっそりと、広範囲に渡って茶色い地面の色になっていた。
「申し訳ありません!戦技アーツを撃ってまで逃がすとは!一生の不覚です!」
「……前、俺がこの都市に来た時、お前の戦技アーツは調整が難しい上に範囲が馬鹿広いから使うな、って言ったよね?都市内で使ったら大概ああなるよね?なんで使ったんだよ!そして謝る相手が違ぇよ!お前ら、とっとと牧場主んトコ行ってきて謝ってこい!」
「はい!…あ、その前にそろそろ朝食が…」
「後だボケナスが!許し得るまで茶色い土にデコ擦り付けてこい!」
「了解です!!」
ニケにアーネを抱えさせ、宿から蹴り出した。
『おい、今代の。お前の報告は…しなくていいのか?』
アァン?そんなモン後からだ後!
…あの牧場、前回は俺も少しばかり迷惑かけたからなぁ…。
しおりを挟む

処理中です...