大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

迎えと自己紹介

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「いやはや、申し訳ない!つい気が昂ってしまって!」
きっかり五分後、襲撃者…もとい出迎えに来た奴は戻ってきた。
どうやってかって?そりゃ走って。
ひょいとそのまま御者台に飛び乗り、第一声が先の一言。
「よぉ、二ヶ月ぶりぐらいか?元気そうだな、前より。もう会わねぇ事を祈ってたよ、ニケ」
薄く白色がかかる青の目と同じ色をした癖のある髪を後ろで縛り、元気そうな…と言うよりもやんちゃそうな顔。
俺より小柄でありながら、俺より重そうな装備に身を包んだ彼女にそう声をかける。
彼女がつけている装備というのは、つまり銀と青を基調とされた、なめらかで美しい鎧。
プクナイムの警備兵、それを纏める隊長格が着る鎧だ。
ちなみに重さは見た目より少し軽いが…充分重い。
「レィアさんもお元気そうで!なんだか前に会ったときと比べて雰囲気変わってますが、何かありました?」
「ん?まぁ色々な。それより、状況を飲み込めてない奴がいるから、自己紹介してやれ」
口をパクパクさせて呆然としているアーネ。
そりゃそうだよな…驚いた馬がさっき以上の速度で走ってたのに追いついたんだもん。しかも息切れ一つ無しで。
「それは失礼しました!僕は第三都市プクナイムの第一警備隊隊長、ニラルケ・バレットと言います!この度、レィアさんと少しでも面識のある僕が選ばれました!光栄です!!」
「ちなみに渾名はニケ。名前が複雑だから皆そう呼んでる」
あぁ、第◯都市ってのが何かってーと、あと幾つ都市を超えれば王都ですよー、って言う表記。
妖精種フェアリーの領土だと、王都のすぐ隣の都市だと第一都市、そこから東に進んでいき第二、第三って言う風に増えてく。
「え、あ、はい。私は」
「アーネ・ケイナズさんですね!お話しは伺っております!」
…あん?
「誰からだ?」
「あ、はい!そちらの学校の学校長様から朝早くに矢文が再びありました!内容は、『アーネ・ケイナズという女子が増えた』との事でした!ちなみにその手紙を読んで紙を結び直すと矢は勝手に空を飛んで帰っていきました!」
なるほど、そういう事か。
「つーか、前も言ったがやかましい。もう少し静かに出来んのか」
こう、毎度毎度語尾に『!』がついてんのがわかりやすい。
「申し訳ありません!性分ですので!」
「…知ってるよ」
直そうとしない事もな…。
「あの、お知り合い…ですのよね?」
「残念ながら」「もちろんです!」
………。
「前、プクナイムに行った時にまぁ、少し世話になったヤツだ。出禁食らったからまず会えないと思ってたんだが…今回、なんか知らんが出禁が解除されたんで入れる……んだよな?」
「え、あ、はい!出禁というか指名手配でしたが、つい一週間ほど前に解除されました!」
「ん?一週間前?」
なんだか時間がおかしい気がするが…まぁ、指名手配出禁が解除されたのはいいことだ。
互いの自己紹介をしながら馬車を走らせ、やっと都市の入口に立つ。
「それでは!ようこそプクナイムへ!」
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