大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

起床と具合

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んでまぁ、一晩明けて朝。
俺はひとまず、寝てる(気絶してるとも言う)アーネを髪で揺すって起こしてやった。
一応、寝る前に流石に邪魔だったので、一人用にしちゃ広すぎるベッドにいつも通り二人仲良く寝た。
ただ、一箇所だけいつも通りじゃなかった事と言えば、アーネが握りこんだ手が離せなかったってことぐらいか。
身体が何故か知らんがとにかく重かったし、アーネも中々の力で握っていて離せなかったので、別に寝てても不都合じゃないだろうからいいか、と結論づけて寝たのだ。
……まぁ、起きたアーネがそれを見て昨日の再現になりかけた事をここに記しておく。
そんなアーネから、何とか俺が気絶した後の話を聞いていく。
「こ、こほん」
「そんなに慌てる事か?タカが手ぇ握りこんで寝てた程度で」
「それより!貴女が眠り込んでいた間に何が起きたのか、でしたわね!?」
「お、おう」
なんか気迫が…。
誤魔化そうとしてる雰囲気が…。
「えっと、私とユーリアさんが貴女を探して寮や学校を探し回って、発見した時から順を追って話していきますけど、別に構いませんの?」
「まぁ、お前がそれで喋りやすいならそれで」
「ではそれで」
アーネは一息つくと、再び口を開く。
「私とユーリアさんが何とか第四訓練所に辿り着いた時、宙から落下する貴女と、凄まじい勢いで竜から人へと変化していく《逆鱗》でしたわ」
おう、そこは何となく覚えてる。
多分、最後に見えた赤と紫の髪がその二人。
俺が聞きたいのはその先。
「咄嗟に落ちていく貴女をユーリアさんがお姫様抱っこで救出、すぐに大怪我をしているのがわかったので、私が回復魔法をかけましたわ」
………そうかー、お姫様抱っこで救出されちゃったかー…。しかも、女子に。
なんと言うかさ、プライド的なものに結構大きなヒビが入った音が聞こえた。
「そりゃ有難いんだが、まだ完治してないのはどうしてだ?」
すると、アーネにキッ!と睨まれた。
「貴女の体質と怪我の度合い!それで全て答えがつきますわ!!」
えーっと…《魔法返し》と肋とか?
恐る恐る聞いてみる。
「……具体的に?」
ごっ、とアーネの背後に炎が見える。
「肋骨五本骨折!うち三本は粉砕されてましたわ!!さらに肺と腸、胃袋がかなり攪拌かくはんされて、位置がズレてましたの!さらにさらに食道と胃袋、肺に傷が入ってましたの!!その上大量出血で血が足りていない!こんな大怪我、骨折でも苦労する回復量しかない貴女が即座に治せると思いまして!?」
……俺、よく生きてたな。
素直にそう思った。
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