306 / 2,022
本編
竜と銀剣3
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シャルの命令に従って、即座に横に跳ねる。
と同時に。
「────────!!」
空気をつんざき、青すぎるほど蒼いブレスが走る。
『おい、大丈夫か!?』
あっぶねぇ…。
「おいおい、か弱くて可愛い後輩を殺す気かよ…」
蒼いブレスが地面を舐めた跡。
そこは、融解していた。
ドロリと融けた地面と壁。
見れば見るほど寒気がする、人一人を殺すのには大きすぎる力。
『こんなの食らったらひとたまりも無いな』
距離は大体五メートルほど。
走れば一秒とかからないだろうが──。
「悪い、シャル」
『アン?』
剣を地面に突き立て、寄りかかる俺。
肩で息をし、ロクに剣も握れずに剣にもたれ掛かるその姿は、どうしたって雄々しく戦える様には見えないだろう。
「身体が限界だ」
『…』
最初の一撃。
化物剣が繰り出した横薙ぎの一撃は、俺の身体の中をしっちゃかめっちゃかに掻き乱し、立っているのもやっとで、本来なら即座にベッドに縛られていただろう。
具体的に、両脇の肋の骨折、肺と肝臓、胃袋に傷がある。
そんな中、ブレスを避けるために全力で横に跳ねた。身体に大きな負担がかかった。
今も。
「──プッ」
俺が吐き出したのは、血の塊。
口の中にずっと溜まっていた。
けど。
「シャル」
『どうした?』
「やり方を教えてくれ」
あの竜種に一撃入れる方法を。
殺り方を。
「多分…次が最初で最後の一撃だ。それでアイツを仕留める」
ルトは今、余裕を持ってこちらを見下している。そりゃそうだ。俺はほっといても倒れかねない。無理に何かをする必要はもうない。
『…レィア』
シャルが俺のことを名前で呼んだ。
『血界をもう一段階進める』
「わかった」
シャルの一言と共に、第二血界が頭の中に流れ込んでくる。
チャンスは一度。
俺の体力的にも、相手が余裕ぶっこいている、今という好機的にも。
「『この身は揺るがぬ壁となりて』」
血が喉にへばりつき不快感が走る。
「『この手が握るはその誓い』」
それでも俺は詠う。
「『望むは誓いの姿なり』」
そう言えば、彼女が金剣のロックを外す時は、こんなこと、してなかったな。
「『その姿は彼の者を護る、唯一にして絶対の守護者である』」
金剣がロック解除に反応して、勢いよく剣の腹が開き、中から白剣が飛び出し、即座に俺の手に飛んでくる。
それを掴もうとして──掴み損ねた。
『……』
「ははっ、ほら、な?」
大きな音を立てて転がる白剣を、俺は必死になって拾う。
力が入らない。
だけど。
『負けられない、んだよな?』
「あぁ」
シャルの質問に、俺は即座に返した。
『わかった、やれ。ただし…死んだら承知しねぇからな』
亡霊のどこか悲痛そうな声を聞きながら。
俺は。
「第二血界《血呪》起動」
ずっ、と。
俺の血が、身体の中から一気に干上がった。
と同時に。
「────────!!」
空気をつんざき、青すぎるほど蒼いブレスが走る。
『おい、大丈夫か!?』
あっぶねぇ…。
「おいおい、か弱くて可愛い後輩を殺す気かよ…」
蒼いブレスが地面を舐めた跡。
そこは、融解していた。
ドロリと融けた地面と壁。
見れば見るほど寒気がする、人一人を殺すのには大きすぎる力。
『こんなの食らったらひとたまりも無いな』
距離は大体五メートルほど。
走れば一秒とかからないだろうが──。
「悪い、シャル」
『アン?』
剣を地面に突き立て、寄りかかる俺。
肩で息をし、ロクに剣も握れずに剣にもたれ掛かるその姿は、どうしたって雄々しく戦える様には見えないだろう。
「身体が限界だ」
『…』
最初の一撃。
化物剣が繰り出した横薙ぎの一撃は、俺の身体の中をしっちゃかめっちゃかに掻き乱し、立っているのもやっとで、本来なら即座にベッドに縛られていただろう。
具体的に、両脇の肋の骨折、肺と肝臓、胃袋に傷がある。
そんな中、ブレスを避けるために全力で横に跳ねた。身体に大きな負担がかかった。
今も。
「──プッ」
俺が吐き出したのは、血の塊。
口の中にずっと溜まっていた。
けど。
「シャル」
『どうした?』
「やり方を教えてくれ」
あの竜種に一撃入れる方法を。
殺り方を。
「多分…次が最初で最後の一撃だ。それでアイツを仕留める」
ルトは今、余裕を持ってこちらを見下している。そりゃそうだ。俺はほっといても倒れかねない。無理に何かをする必要はもうない。
『…レィア』
シャルが俺のことを名前で呼んだ。
『血界をもう一段階進める』
「わかった」
シャルの一言と共に、第二血界が頭の中に流れ込んでくる。
チャンスは一度。
俺の体力的にも、相手が余裕ぶっこいている、今という好機的にも。
「『この身は揺るがぬ壁となりて』」
血が喉にへばりつき不快感が走る。
「『この手が握るはその誓い』」
それでも俺は詠う。
「『望むは誓いの姿なり』」
そう言えば、彼女が金剣のロックを外す時は、こんなこと、してなかったな。
「『その姿は彼の者を護る、唯一にして絶対の守護者である』」
金剣がロック解除に反応して、勢いよく剣の腹が開き、中から白剣が飛び出し、即座に俺の手に飛んでくる。
それを掴もうとして──掴み損ねた。
『……』
「ははっ、ほら、な?」
大きな音を立てて転がる白剣を、俺は必死になって拾う。
力が入らない。
だけど。
『負けられない、んだよな?』
「あぁ」
シャルの質問に、俺は即座に返した。
『わかった、やれ。ただし…死んだら承知しねぇからな』
亡霊のどこか悲痛そうな声を聞きながら。
俺は。
「第二血界《血呪》起動」
ずっ、と。
俺の血が、身体の中から一気に干上がった。
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