大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

入浴と思案

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さて、一人きりになれたので、風呂ん中で先程こっそり手渡しで貰った紙を開いてみる。
「んー?」
書いてあったのは数字が二つ。二十二と三十。
「……………あー?」
しばらく考えて、時間だと当たりをつける。つまりは午後の十時半か。
が、それだけしか分からない。ひっくり返しても、緋眼で見ても変わらない。
「これをどうしろと?」
髪を伸ばして脱衣場に置いてあったマキナを回収し、起動して心当たりがないか聞いてみる。
『申し訳・ありません。該当する・事柄はありません』
「そうか…」
鎚形態のマキナが申し訳なさそうに言う。
あのちっちゃい白衣の女は何を考えてこれを俺に寄越したのだろうか。もうちょいヒントか何かあってもよかったろうに。
『!』
「どうした」
珍しく、マキナが驚いたように震えた。
『不明魔力波形が・登録されて・います』
「……あー、不明…なんだって?」
『不明魔力波形が・登録されて・います』
いや、繰り返されてもわかんねぇんだって。
「…つまり?」
『知らないうちに・何者かの・魔力波形が・登録されています。機能停止中に・何者かが・登録した可能性が・高いです』
ふーむ?結局よく分からんが、マキナが魔力切れで止まってる時に誰かが魔力波形とやらをマキナに入れたと?つーか魔力波形って何だよ。魔法やら魔力に疎い俺にも分かるように言ってくれ
「………で?それがあるから何か不都合があるってのか?」
『特に・ありません』
「ならいいじゃん。つか、魔力波形とやらを覚えたところでなんか意味あんの?」
『特定の相手に・メッセージを・飛ばすことが・可能になります』
「それを先に言え」
つまり十時半になったらそこに向かってメッセージをしろと?
となると、マキナに登録されていたのは例の小さい白衣のあいつの物だろう。
………なんで?
素直に疑問が湧いてくる。
あいつの目的もわからない。そもそも目的があるなら、向こうからメッセージを飛ばす方が確実だし、隠れてやるのならマキナに手を加えるというリスクも避けれただろうに。
それに、あの少女が言いたいことの予測が全くつかん。基本的に研究所の奴らはこっちに不干渉じゃないのか?それとも俺がそう思い込んでいただけ?
………わからんな。
考えていたら、そもそもこの数字も別の意味があるんじゃないかとか、時間じゃなくて何らかの場所なんじゃないかとか、これ本当にメッセージした方がいいのか、見て見ぬふりしてスルーの方がいいんじゃないかとか、色々と出ては消えてを繰り返していく。
「………わからん。俺の頭が悪いせいか?」
どう思うよ?と視線をマキナに向けるが、マキナも黙る。
「ま、とりあえず手ぇ出してみるのが俺らしいか。あ、そういやマキナ、一回自分のボディをチェックしとけよ。あいつらに何されたかわかんねぇし。魔力は足りそうか?」
『問題・ありません』
「そうか」
飛ばすなら多分今日だよなぁ…この部屋だとアーネもいるし、どこか静かで誰にも気づかれない場所……どこかあったっけな。
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