大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

タッグと緊急変更

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この戦闘が始まるまでの五分間の猶予。
その時、俺とユーリアが話していた内容はざっくり分けて二つ。
一つは互いの知りうる限りでメンバーのスキルを開示すること。と言っても、そもそもスキルなんか大っぴらに誰かに言うものでもないし、互いにそこまでの数は無いのだが、少数でも知っているということその物が重要な時もある。
そしてもうひとつが、互いにどう言う動きをするかという相談。
「とりあえず別々にやってみるか。そっちの方が実力出せるだろ?」
「そうだな。だが師匠、正直な所、私はそこまで上手くないのだが。十五対二だぞ?無理があると思うんだが」
「師匠はやめろ。そうなりゃお前だって魔法なり何なり対処出来るだろ。その剣、特殊な金属で出来てるから杖代わりの媒体にもなるんだろ?切り替えはいらないはずだし、そのまま魔法を撃ちながら剣で斬りゃいいだろ」
「一対一なら私も問題は無い。だが複数人となると…」
「あー、分かった分かった。正直俺も武器に一部不安があるからこうしよう。最初はバラでやって、無理だったらすぐにタッグだ。それならいいだろ?」
「…譲歩されただけマシか。わかった。それで行こう」
「ヤバくなったら合流だ。あとは流れで」
──と言う話があった訳だが。
包み隠さず言おう。相手の実力は、俺の予想をずっと上回ったものだった。
あれヤベェ。気ぃ抜いたら一瞬で捲られる。そんでそのまま流れるように持っていかれる。二対一になっただけなのにこれは正直不味い。
銀剣の小回りが効かず、上手いこと扱えないのが致命的すぎる。
過去の俺なら流れるような連撃と、それに見合わない異常に重い攻撃で相手を圧倒出来た。入学初日にフィールドをぶち抜いた事でそれなりに有名だった煌覇という戦技アーツもある程度攻め手を警戒させる抑止力になっていた。
だが、今の俺はそれらが無い。まるで、双剣の形にまるで似合わない煌覇という戦技アーツの破壊力のみをねじ込んだような雑な作りの新銀剣はなるほど、確かに破壊力は増した。
しかし、それによって相手を翻弄する技も、俺に選ばせる選択肢も、もとよりあった戦技アーツも何もかも捨て去る結果となった。
故に、駆け引きが出来ない。ただただ強力な攻撃を連続して放つだけ。
確かに脅威ではあるが、逆に言えばその程度。まして、複数人でかかれば受けるのも尚更楽になる。
当然、その程度は対処出来なければ進級すら出来ないのがこの学校だ。
今の二人組は何とか撃破出来たが、時間が経てば経つほど俺は加速度的に不利になるだろう。
つまり、長々と喋ったが、俺が今何を言いたいかと言うと──
──俺の方が先に不味いと判断した。
「ユーリアぁぁぁぁ!」
と、そこまで遠くにいた訳では無いが、ユーリアが俺と同じように二対一で戦っていた所へ乱入し、流れるように一人分のネックレスを千切り取る。
「あっ!?嘘!?」
「え、レィア!?」
「やるぞユーリア!」
そう言うと、ユーリアはただ、微妙な顔でこちらを見ながら「………どうした?」と言う。ユーリアへの説明?そんな余裕もないし、弱点を晒す訳にもいかん。
現状の俺は、複数人の対人においてかなり弱くなっている。と言えば、即座に十五人が俺をいっせいに狙うだろう。
「ユーリア、背中を預ける」
「??…何があったかよく分からんが、要するに今から共闘の流れだな?わかった。預けられよう」
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