大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

爆発と被害

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シャルが守りを固めろと言った直後、光と爆音が響いた。ついにデーモンが自爆したのだろう。
だが、俺のいる場所はデーモンからそれほど離れていない。デーモンの爆発が想定よりも早かったのが一番の原因だろう。
光を認識した瞬間、俺の身体は直感的に動いた。
胸元の銀剣を取り出し、即座に顕現。さらにマキナを俺が操作して大剣形態へと移行。
その切っ先を地面へ突き立て、盾の代わりにしてさらに踏ん張る。
すると、俺の動きを見てマキナも行動を起こした。
足の装甲を全て剥がし、大銀剣をベースにしてカプセル型の壁へと変形。縦長のカプセルは非常に狭いが、その分厚さはかなりあるらしい。
これなら耐えれるか?
そう思った直後、地面が揺れ、何かがカプセルへと押寄せ、ぶつかって行く音。
が、カプセルが壊れたりする気配はない。大方、そこらに落ちている石や砂が当たっているのだろう。
もちろん、言うまでもないが生身で受ければ非常に不味い。しかしマキナの守りを突破するには少々弱すぎる。
「外、どうなってる」
マキナにはヒトと同じ眼はないが、視覚はある。
『周辺一帯が・吹き飛びました』
「出ても大丈夫なのか?」
『一部・周囲に溶岩が・ありますが・脅威度は低いと・判断します』
「そうか」
流石に今の爆発で敵影が近くにいるということはあるまい。いても吹き飛ばされるか消し飛ばされるか。少なくとも無事ではないだろう。
「よし、出よう」
『了解・しました。脚装は』
「今つけたら足が燃えるだろうが」
『了解・しました。それでは・解除します』
パシュッと軽い音がし、マキナが鎚の形態へと戻る。俺も銀剣を片付け、ほっと一息。
「…さーて行くか」
辺りを見回すと、軽く地形が変わったのではないかという有様。爆発の範囲も、シャル達が予想していたよりもずっと広かった。あれなら二キロ先ぐらいまで結構酷いことになってるっぽいな。
『なんか途中で魔力跳ね上がったんだよねぇ…そのせいで色々狂っちゃった』
明るく言われてもリアクションに困る。
『でもあの上がり方はおかしいよなぁ。こう、ただ増えたんじゃなくて、二倍になったって言うか…』
はぁん?まぁ、言い訳はなんでもいいや。早く帰ろう。アーネがしたのは応急処置。先生がいるテントでも、そこまでいい治療がされるかどうかは分からないが、ひとまずそこで治療する手段があると信じたい。
結局急がなくては。そう思って駆け出そうとした瞬間だった。
背中を走る悪寒を感じとったのは。
バッと振り返れば、視界の果てには赤い溶岩の池が映っていた。
そこは恐らく、先程までデーモンがいた場所。爆心地だったそこにある池から、どうしても目が離せない。
『…今代の?』
くる。
そう思った瞬間、溶岩の池から手が伸びた。
『うおおお!?』
『生きてた?いや、まさか』
一回り小柄に見えるそれは、牡牛の如き立派な角を生やしたデーモン。それが溶岩で出来た池からゆっくり、ゆっくりと起き上がってくる。
『…まさかあのデーモン、死ぬ時に新しいデーモンを産んだのか?』
デーモンがどういう習性なのか一切知らないが、シャル達の証言からそう考えてもおかしくはないだろう。
『殺しておくか?』
馬鹿言え、今回は魔獣の討伐じゃない。それに金剣も柄しかない。接近する手立てそのものがほぼないし、気づかれていない今のうちに逃げるさ。
じゃあな、デーモン。
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