大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

二つ名と呼び出し

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むぅ…なんだか微妙な気分…。
「あら、どうかしましたの?」
「いや…別に、何でもない」
流石に気づかれたか。そりゃ、向かいの席で微妙な顔してりゃ、誰でも気づくわな。
午前の部がようやく終わり、今は昼飯時。
二つ名をアーネの機転(?)でなんとか《姫騎士》からは脱却したものの、それでもまだ若干の不満は残る。
「《緋眼騎士ひめきし》って…なんかゴッテゴテな…」
しかも、俺の目って普通に緋色じゃねぇから。
俺の目、黒色だから。普通に朝、顔を洗った時もいつも通りの黒い目だったし。
「なんでコレ、受理されたんだよ」
学校長も何ら不思議がらずに『仕方ありませんね…』とか言ってたし。いや、前の《姫騎士》も性別ガッツリ間違えてるからおかしいんだけどね?
「あら?貴女気づいてないので?」
「あん?」
何がか言わねぇとなんとも言えねぇぞ。
「貴女、昨日の連戦の最後の方、目が真っ赤になってましたわよ?なんであんな事を?」
「はぁ?」
待て、そんなの、聞いたこともないんだが。
「それっていつからだ?最初に見たのは?」
「あら、本当に知らなかったのですわね」
そんなのいいから早く。
「とは言っても…昨日のライナさんの一つ手前ぐらいの試合でなってましたわね。私が見たのもそれが最初ですわ」
三年生との試合中に目が赤くなった?
そんな記憶、一切ない……ことも無いか?
そういや、足の皮を剥がされた時、視界が真っ赤に染まったけど…いやいや、まさかそれとは関係ないだろうし…。
とはいえ、学校長もアーネも納得する程度には色んな人に見られてる訳だから、アーネの見間違いって訳でもなさそうだし。
ちなみに、学校長がどうやって俺の目を見ていたかは気にしない。大方、例の黒い先生が見ていたか、生徒に紛れて見てたんだろ。
「しかしなぁ…《緋眼騎士》か…」
なんだかなぁ…。
「そんなに不満ですの!?何度も言うほどに!?」
「あぁいや、そうじゃなくてだな…」
うーん、なんと言うか…。
「基本的に俺、《緋眼》でもなけりゃ、《騎士》でもないしな…」
まぁ、《姫騎士》もなんだが。
「それを言うなら、他の二つ名持ちもそうだよ」
ひょいと声のする方…後ろを見ると、ラウクムくんがこっちへと歩いてきていた。
「レィアさん、二つ名獲得おめでとう」
「よおラウクム、あんがとな。で、今から飯か?」
まぁ、見たところ既に終わってから来たって感じだけど。
案の定、飯は終わっていたらしい。
「いいや、僕は終わったんだけど…レィアさんが呼び出し貰ってるよ」
あん?俺ぇ?
そんな顔を見たラウクムくんが一つ溜息をつき、親指でラウクムの背後をクイッ、と示す。
「《不動》と《荒野》のお呼び出し。覚えてる?」
…何の要件だっけか。
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