大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

翌日と足

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…結果、と言うかなんと言うか。
一応、二つ名云々はなんとか死守出来たっぽい。
なんで曖昧なのかと言うと、単純に気を失ったから。原因は…ほぼ間違いなく、失血と脳への過負荷だろうなぁ…。
剣を振り抜いたと同時に気を失い、そのまま部屋へ担ぎ込まれたらしく、そのままぐっすりと寝たようで、部屋の外からは太陽がもう一度登ってきたのが窓から見えた。
その後にアーネから事情を聞くと、なんとか勝負には勝ったけど、今日の七時五十五分までは一応二つ名争奪戦は終わってないから気をつけろって話と、昨日の鱗の人にやられた怪我は治しておいたけど、ほぼ見た目だけで、無理するとすぐに皮膚が破けるから注意しろ、との事。
ちなみに剣は全て《不動》が必死こいて持ってきてくれたらしく、いつぞやの様にベッドの横に立てかけてあった。
「にしても、よくもまぁ勝てましたわね」
「相手、遊んでた感じがあったからな」
剣が全く使えないのに、挑発としてか知らんが俺の黒剣を使おうとしたりだとか、俺の意識が浮いたり沈んだりしている間にトドメ刺さなかったりだとかな。
「そういや、そのライナの方は大丈夫なのか?怪我とか」
殺傷が普通に出来る、金剣の《破断》を真っ正面から受けてたんだ。
熊とかの魔獣が同じ条件で受けたら、そこから真っ二つになる。
「貴女と大差ない容態でしたわ。ただ、あちらは回復魔法を複数名で施していたので、全快してるでしょうし、術者の疲労も大した事はないでしょうが」
「その点は本気で感謝する」
お前ぐらいしか俺に回復魔法かけられる奴がいないんだよな…。
「…何でしょう…最近、貴女のその体質が強まった気が…」
「き、気の所為だろ、多分」
そりゃ多分あれだ。勇者であることを自覚してからだと思う。
特に第一血界の《血鎖》を使ったから、尚のこと《魔法返し》が強まったのだろうか。
そのあたりの記録は勇者達の記憶にはない。
というか、勇者って基本的に一人なんだよな。
国軍に昔いたナナキがかなり例外で、俺に至っては軽く論外みたいな。
まぁ、記録を見る限り、歴代勇者達は物心つく頃には勇者の記憶が芽生えてたらしいしな。小さい頃から誰か知らない記憶があるなんて、軽く気が狂いそうだが、大概の勇者は、そんなのに折り合いをつけて単身で武器を片手に魔族と戦ってたし。
で、誰とも知らずに魔族を減らして、誰とも知らずに散って行った。
そんな孤独な戦士達、か。
勇ましい者達というか、悼ましい者達って感じに思うのは俺だけだろうか…いや、誰も知らないから何も思わないのか。
「それより貴女」
「あん?なんだ?…あぁそうか、もうそろそろ飯食って学校行かなきゃ…」
いつも通りに出れば、八時頃にはつくだろう。
「じゃなくてですわね」
「…?あぁ、挑戦者が来るかもしれないってことか?ほとんど倒したから多分大丈…」
「名前」
…うん?
「このままだと二つ名…《姫騎士》で決まってしまいますけど、それでいいんですの?」
………。
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