大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

見送りと顛末

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帰ってからは…まぁ、特に言うこと無ぇな。
俺も疲れてたし眠かったから寝たし、起きてみりゃ昼過ぎで、もうアゼロスが帰る直前だったし。
アーネはアーネで逆に少し興奮していたが、それも俺がシャワーを浴びて出る頃には落ち着いて寝てたし。
あぁ一応、見送りには少しだけ顔を出しはした。
と言うか、言伝を彼に頼みに行った。
「あ、レィアさん、さっきはすみませんでした」
「あの件についちゃもういい。ついでに、お前があの時見た物は全部見なかったことにしとけ。いいな?」
「?、はい」
「それと、お前の姉にレィアが『悪かった』って──いや、違うか」
少しだけ言葉を探した。あのバカに伝わるように、けど、もしかしたら勘違いを起こさせるのも面白いかもと思いつつ。
まぁ結局、あの手のバカは勘違いを起こす方が面倒だと諦めたのだが。
「よし、お前の姉にこう伝えといてくれ。『次は背中を預ける』ってな」
「背中…ですか?」
言っておいて何だが、これでも伝わるかどうか少し不安だ。だってあいつバカだし。
でも俺は悪い事した訳じゃないし、謝るのもなんか負けを認めるみたいで嫌だし、ここら辺が落とし所か。
それだけ伝えると、アゼロスは「あ、じゃあもう行きますね!それでは!」と寮を出て行った。
ちなみに、アゼロスはユーリアにこってり絞られたついでに何だかんだあって和解したらしく、いい顔で寮から去って行ったし、ユーリアも彼と特別わだかまりを残した感じではなかった。
あぁそれと、これより少し後の話になるのだが、ユーリアに父親からの長距離メッセージが遅れて届いたらしい。
内容を軽く要約すると、「お前に今結婚する意思がない事はよく分かったから、お前が何年かした頃にいい男になっていそうな者を送った」と言う内容だったらしい。
つまり、別に今すぐ婚約云々と言う訳ではなく、ユーリアの父親は何年か後の話の婚約者を、軽い顔見せのつもりでアゼロスを送った訳だ。
成程、今思えば確かに彼はまだ若すぎた。そもそもあの歳で…いや、正確な歳は知らんのだが、見た感じシエルと大差ないか少し大きいぐらいの子が結婚や婚約ができるのかどうかすら怪しかった。
「なんだ、父親もちゃんと分かってたんじゃねぇか」
「うむ……なんと言うか、凄く、恥ずかしい気持ちで一杯だ」
珍しくテーブルに突っ伏して言ったユーリアは、僅かに見える尖った耳が真っ赤になっていた。
にしてもユーリアの親父殿よ、ユーリアと相手の歳の差については考えなかったのだろうか。いやまぁ、ユーリアなら気にしないような気がしないでもないが。
まぁ、今回の一件は、ハナからケツまでユーリアの空回りだったと言うオチが着いたという事を一応言っておこう。
どうもユーリアは色恋の話というか、男女のそう言う話になると非常に弱いらしいと言うのが今回の顛末を見ての感想だ。
………。
さて。
ちょうどユーリアのゴタゴタが片付いたので、そろそろシャルから色々と聞き出そうか。
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