大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

午後と挑戦者

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結局、先輩達は派閥やら何やらについてはその後全く触れず、ほかの皆とぺちゃくちゃと喋って、最後に『じゃあね!』『応援してるよ!『《姫騎士》さん!!』』と、地味に俺の心にクリティカルダメージを叩き込んでから帰っていった…というか、単に午後の訓練の用意をしに行ったんだろうが。
ちなみにラウクムくんに聞いても、派閥の事はほとんどわからないらしい。
それはさておき。
「なんか…少し減った?」
何の話?ってか?単に挑戦者の話。
今さっき訓練が終わったのだが、俺に勝負を挑む人がグッと減ったのだ。
「そうですわね…午後で何人ですの?」
部屋へと戻る途中、独り言に近い呟きを拾って、会話に繋げてくれる。
「んーと…二人、だな。ちなみにどっちも旧一年クラスの人」
もちろん勝たせてもらいました。
…ラウクムくんから聞いた話だと、挑戦者は授業中に先生に一言言えば、(このあたりもまた、《良識の何とか》ってのがクリアされてるんだろうな…)比較的簡単に授業を抜けて、二つ名候補者の所へ行けるらしい。ので、訓練中だから減る、とかって話はあまり関係なかったりする。
「あー…けど、なんか見物人は増えてたかもしれないな」
「見物人?そんなのいましたっけ?」
「多分。訓練中に戦いながらだったから全部数えたりは出来てなかったと思うけど、五、六人ぐらいはいたと思うな」
「結構、上の学年も暇してるんじゃありませんの?」
「暇だから俺の戦い見に来てるってのか?俺は高々一年生だぞ」
技術とかは先輩達に遠く及ばない。それが午前中にはっきりわかったからな。
俺が《不動》とかの格上の先輩とかに勝ててるのは正直、武器(もしくは本人)が重くなったり軽くなったりする特殊能力のお陰だとか、スキルと噛み合った結果、人の数倍の数がある多彩な戦技アーツ、あとはナナキやその前の前の前の…と遡っていける勇者達の膨大な記憶による簡単な先読みなど、完全に外側から貼り付けた力だ。
血のにじむような努力の積み重ねをしてきた先輩達や、更にその上に才能もある他の二つ名持ち………いやまぁ、《不動荒野》しか知らないわけだが………には恐らく、本来歯が立たないのだろう。
それでもまぁ、巻き込まれたからには勝ち続けるし、ナナキとの約束、不敗絶対負けないと誓ったからな。
「けど…」
「あら?どうしましたの?」
一つ問題が。
「二つ名の《姫騎士》、その代わりの二つ名、どうしようか…」
これが、目下一番の悩みである。
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