230 / 2,022
本編
話と聖女
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「そうですね…では、どこから話しましょうか…」
「面倒臭ぇ。全部ハナっから話しちまえ」
そもそも、俺の質問そのものが若干答えにくいものだからな。そういう意味では、すべて最初から話してしまった方がいいだろう。
「そうですね。それでは、オードラル先生がシィルさんの視線に気づいて、私にその事を報告したところから話しましょうか」
学校長もそれで決めたらしく、話が始まった。
「オードラル先生がシィルさんの視線に気付き、その事を私に報告した後、私はすぐに生徒と教師で貴方を捕縛するように命じました。メンバーは生徒三名と教師二名で、時間差をつけて第二陣を送りました。あまり大勢でかかり、多くの生徒の目に触れるのは好ましくなかったので…」
まぁ、それぐらいは俺も予測がついた。
「しかし、貴方達は突破、さらに偶然にもオードラル先生の懐に入っていた鍵を盗み、足を確保。さらに、魔法により幻覚を見せられていたオードラル先生は第二陣を単体で戦闘不能へと追いやりました。これにより、我が校からの追っ手はまず貴方達に追いつくことが出来なくなりました」
「けど、偶然教え子の英雄がいたから、それを使って俺達を引き戻そうとした」
その言葉に、学校長は静かにうなづく。
「しかし、彼はどうも聖女様によって説得されたみたいですね。それにより、こちらとしても、本格的に万策が尽きたわけです。こちらはその日の夜頃に職員会議を開き、結果として、貴方達も切り捨てる事が決まりました」
まぁ、それが妥当っちゃ妥当だわな。
欲を言えば、学校側としては大貴族のユーリアを保護したかったかもしれないが、だからといって結界の外へ大々的に出る事は出来ないし、出たところで間に合う可能性も正直微妙だ。
それに、万が一死んでも、学校側はなんとか隠蔽出来なくもないだろう。
こんな荒野の端っこの学校で何があってもおかしくないしな。
「しかし」
「どうしても俺達を助ける理由が出来た、だな?」
「…その通りです。職員会議が終わり、時計の針は一時をまわった頃、私の部屋に訪問者が二名来たのです」
訪問者?
「フィール・ハウナ様とフライナ・シグナリム様」
俺だけでなく、アーネも息を呑んだらしい。
「聖女様は王都へ戻る前にこの学校の私の部屋に来て、こう言いました『レィア・シィルは私の友人である』と。聖女様の友人を亡くせば、当然聖女様は悲しみになられるでしょう。そうなれば、聖女様との関係も悪くなってしまうでしょう」
そもそもこの学校は聖女サマを守る英雄のための学校だ。
つまり、その聖女サマの機嫌を損ねるような真似は絶対にできない。
恐らく、聖女サマとしては、アーネのスキルの事と魔族の魔法の事を明かせないからそう言ったんだろう。
そうすれば当然。
「当然、学校としても動かないわけには行きません」
なるほど、少しずつわかってきたぞ。
頭の中を整理しながら、俺は学校長の話を聞いていく。
「面倒臭ぇ。全部ハナっから話しちまえ」
そもそも、俺の質問そのものが若干答えにくいものだからな。そういう意味では、すべて最初から話してしまった方がいいだろう。
「そうですね。それでは、オードラル先生がシィルさんの視線に気づいて、私にその事を報告したところから話しましょうか」
学校長もそれで決めたらしく、話が始まった。
「オードラル先生がシィルさんの視線に気付き、その事を私に報告した後、私はすぐに生徒と教師で貴方を捕縛するように命じました。メンバーは生徒三名と教師二名で、時間差をつけて第二陣を送りました。あまり大勢でかかり、多くの生徒の目に触れるのは好ましくなかったので…」
まぁ、それぐらいは俺も予測がついた。
「しかし、貴方達は突破、さらに偶然にもオードラル先生の懐に入っていた鍵を盗み、足を確保。さらに、魔法により幻覚を見せられていたオードラル先生は第二陣を単体で戦闘不能へと追いやりました。これにより、我が校からの追っ手はまず貴方達に追いつくことが出来なくなりました」
「けど、偶然教え子の英雄がいたから、それを使って俺達を引き戻そうとした」
その言葉に、学校長は静かにうなづく。
「しかし、彼はどうも聖女様によって説得されたみたいですね。それにより、こちらとしても、本格的に万策が尽きたわけです。こちらはその日の夜頃に職員会議を開き、結果として、貴方達も切り捨てる事が決まりました」
まぁ、それが妥当っちゃ妥当だわな。
欲を言えば、学校側としては大貴族のユーリアを保護したかったかもしれないが、だからといって結界の外へ大々的に出る事は出来ないし、出たところで間に合う可能性も正直微妙だ。
それに、万が一死んでも、学校側はなんとか隠蔽出来なくもないだろう。
こんな荒野の端っこの学校で何があってもおかしくないしな。
「しかし」
「どうしても俺達を助ける理由が出来た、だな?」
「…その通りです。職員会議が終わり、時計の針は一時をまわった頃、私の部屋に訪問者が二名来たのです」
訪問者?
「フィール・ハウナ様とフライナ・シグナリム様」
俺だけでなく、アーネも息を呑んだらしい。
「聖女様は王都へ戻る前にこの学校の私の部屋に来て、こう言いました『レィア・シィルは私の友人である』と。聖女様の友人を亡くせば、当然聖女様は悲しみになられるでしょう。そうなれば、聖女様との関係も悪くなってしまうでしょう」
そもそもこの学校は聖女サマを守る英雄のための学校だ。
つまり、その聖女サマの機嫌を損ねるような真似は絶対にできない。
恐らく、聖女サマとしては、アーネのスキルの事と魔族の魔法の事を明かせないからそう言ったんだろう。
そうすれば当然。
「当然、学校としても動かないわけには行きません」
なるほど、少しずつわかってきたぞ。
頭の中を整理しながら、俺は学校長の話を聞いていく。
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