大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

問題と相談

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出るとしようか、と言いはしたものの。
『いや出れなくね?お前』
とシャルに言われてから出れないことに気づいた。
いや、多分出ることそのものは出来る。同じ壁を三度素早く叩けばいいだけなんだろう。
けどそれじゃあ今さっき戻って行った盲目の女にすぐ勘づかれてしまう。
たとえば、自室に鍵をかけて出かけたとしよう。
そして部屋に戻ってきた時、鍵が開いていたとしたら、誰だって鍵を別のものに交換しようと思うだろう。いや、かけ忘れを疑うとかそう言うのはいいから。
まぁつまり、そういう事を危惧しているのだ。
『どういう事だよ』
…つまりだな、俺がこのまま帰って盲目女がパスを変更した場合、それを知らないルーシェが後で事情を聞いたら十中八九俺だと勘づかれるだろ?
ルーシェが何を企んで俺にこの部屋の存在を教えたのか知らんが、警戒するに越した事は無い。
『じゃあ何だ?音もなくここから出たいのか?』
まぁそうなる。要は誰にも気付かれずにここから出られりゃいいんだよ。
つっても今俺が取れる行動ってのもロクな選択肢が無い訳だが。
『一、音なんか関係なく壁を三度叩いて帰る、二、ここで誰かが壁を開くまで待機する、三、女が戻って行った道を進んでみる』
まぁその辺かな。ところでレイヴァーはどうしたんだ?
『あ?あいつが何かあったのか?』
いや、大先輩だったらどうするか聞いてみようかと。
『今代の。賭けてもいい、参考にならねぇよ。絶対。だってアイツ一番最初の《勇者》だぞ?』
『うん?全員殺して爆破して終わりだぜ?』
『うわ、噂をすればだ』
なんの前触れもなくレイヴァーの声が会話に交じる。
つか過激だな。
『そうか?結構いいと思うけどなぁ。
目撃者を全滅させれば特に悩まなくて済むし、痕跡も全部消し飛ばせば誰がやったかわからなくなるだろう?
お誂え向きにここは比較的狭い部屋だし、地下にあるんだっけ?それも隠すようにして。だったらさっきの隠し扉の向こうにも部屋が幾つかある程度だろうし…問題は奥にもう一つ出入り口…というか脱出口だな。それがあった場合は少し面倒になるかな。
まぁ、レィア君は俺と違って多彩な血界が使えるから余裕で捕まえられるでしょ』
殲滅して爆破して脱出する事を前提に話すな。そんなつもりはサラサラ無いから。
『じゃ、結局どうすんだ今代の』
『そーだそーだ。一はそもそも開くかどうかわかんないし、二だって待つだけじゃどうしようもない。三に至ってはバレずに出たいのか何したいのかよくわかんないぞー』
クソ、いや確かにそうなんだが……………………………………………じゃあ仕方ない。
『お?』
『ん?』
レイヴァーの案を半分だけ採用しようか。
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