大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

怒蟻と戦闘3

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戦技アーツを使い、剣を振る。
こっちはこっちでそろそろ十五匹ぐらい叩き潰したか?
剣と身体はアンガーアントの体液でベトベト。
向こうも頑張っているようで、やっと互いの姿が見えた。
残りの数は…十七匹!
「アーネ!まだか!」
「今撃ちだしますのッ!《ブレイズ・ジョウ》!」
つい先日俺に向かって撃った魔法と同じ魔法同じ大きさ。しかし、その密度は以前の数倍にもなり、赤く燃える炎はその密度ゆえに白く輝いている。
大きく開いた白炎のあぎとは残りのアンガーアント全てを飲み込み、閉じ込め、焼いていく。
『『『ーーーーーーーーーッツ!?』』』
アンガーアント達の、声にならない叫びが上がり、辺りに響き渡る。
…が。
「おいアーネ。あの魔法、どこが一番火力が高い?」
急いでほかのメンバーの所に駆け寄り、アーネに訊く。
「はい?淵のあたり…炎がある所ですわね。その中は蒸し焼きですわ。ただ、ゆっくりと上顎が降りてくるので、どこも大差ありませんが」
まだアーネの魔法は目の前で燃え続けている。
ふぅん…ゆっくり、、、、ね…。
「全員、武器構えて。まだ来る可能性があるから」
もし、もしもの話だが。
あの燃える炎の顎、その中で仲間が次々死んでいく怒蟻アンガーアント
その中心で、僅かながら生き延びたアンガーアントがさらに大きく、強靱になったら?
「まさか、そんな訳がありませ」
アーネの声が途切れた理由は単純。
そのまさか、もしもの話が『もしも』じゃなくなったから。
体高…そう、体長ではなく体高。
体高が二メートル弱もあるアンガーアントが炎を突き破り、出てくる。
身体からはちろちろと炎が漏れ、つい今さっきまで燃え上がっていたのがわかる。
しかし、それすら超えたアンガーアントが、今まさに生まれたと言わんばかりの声を…産声を上げる。
「…あとから反省会だな」
「レィアさん、《煌覇こうは》で倒せないの!?」
「あー、多分、避けられるな。《煌覇こうは》って初速は大したことないし」
「いや、そんなことは無いけど…」
つまり。
「…俺が金剣と銀剣使って足止めするから、ラウクムとリーザが一発キツイのぶち込んでやってくれ」
「わ、わかった!アーネさんとクアイさんは?」
凄まじい勢いで突っ込んできたアンガーアントを、銀剣で下からカチ上げる。
当然、相手はノーダメージ。
「二人共、俺の後ろ一メートルの所にいろ。魔法は使わなくていいから」
銀剣で真上からアンガーアントを殴り、一言叫ぶ。
「行け!」
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