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本編
鍵戦争と激突2
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腰を落とし跳躍。
今まさにアーネに斬りかからんとするルーシェとの間に割り込み、腰を落とした時に回収した銀剣を逆手に握ってルーシェの一撃をなんとか防ぐ。
『あー、危ねぇ危ねぇ。アーネがやられるかと思った』
「あ、ああ、危なかったですわ!」
『悪かったって。謝るからさ』
アーネにそう謝り、次にギリギリと鍔迫り合いになったまま、至近距離でルーシェと話す。
「上手くいったとぉ…思ったんだけどなぁ…」
『こっちも上手いこと行ったと思ったよ』
ユーリア達は恐らく俺を引き付け、一瞬の隙を突いてアーネを仕留めに来る。
そう予想したのはアーネだった。
だから引き付けた俺ごと魔法で焼いてしまおうという、強引にも程がある方法。
俺が引き付けた状態でアーネが火球を放つという今までのやり方よりも豪快な方法だったが、かなり上手くいった。
上手くいったが……
『まさかユーリアがやられた後でも、すぐにアーネを潰しに来ると思ってなかったよ』
「タッグを組んでてもぉ…パートナーってわけじゃぁない…からねぇ…」
『なんとも冷たいこと、でっ!?』
突如俺の左右に現れた二振りの巨大な剣。会話をしていたのはこれを創るための時間稼ぎだったか。
それが俺の胴をギロチンのように両断せんと迫る。
『ンにゃろっ!』
鍔迫り合いをしたままだったルーシェを蹴飛ばし、そのまま空中で身体を横に回転。
伸ばした腕の延長線上にある二振りの銀剣が片方の大剣を叩き落とし、もう片方の大剣をカチ上げた。
轟とうなりを上げて俺の顔スレスレを飛ぶ大剣。
なんとか回避した直後、ルーシェの姿を確認しようとすると──いない。
『マズっ──』
「《貫き通す唯一の一》」
声は浮いた俺の身体、その真下から。
その名前は超巨大な大剣を撃ち放つ戦技のもの。
『クッソ!!』
回転した身体をさらにもうひと捻り。
俺の身体のど真ん中、背中から胸と腹の間を貫くように放たれたらしい戦技を、身体を捻る事で鎧の上を無理矢理滑らせる。
出来る限り殺した戦技の威力だが、完全に殺すまでには至らなかった。
身体を捻った事で背中から胸へと位置がズレた戦技は、威力が流されたにも関わらず胸部を守っていたマキナを砕き、俺を空中へと打ち上げた。
『くっ…!!』
猛烈な衝撃のままクルクルと錐揉み回転しながら、高く高く打ち上げられた俺の視界に映ったのは、膨大な魔力を束ね上げたばかりのアーネ。
その照準先は──俺。
まさか。
『あいつ追いついてきてやがるぞ!!』
シャルの警告が俺の嫌な予感が合っていた事を伝える。
視界が回転し、ちょうど天井を見上げる形になった時、視界に入ってきたのは薄緑の頭をした少女。
どうやってこんな所まで来たのかは周りを見たらすぐに分かった。
『こいつ、自分で創った剣を空中で踏んで…!』
剣を浮かせて攻撃してくるのだ、ある程度はしっかりと浮かせられるだろう。
だが、それを踏み台にここまで追いかけてくるとは思っていなかった。
「《貫き通す唯一の一》!」
さらにもう一撃、同じ戦技が撃ち下ろされる。
回転に逆らうようにやや斜めに撃たれた戦技を同じ方法で回避するのは不可能。どうするか。
いや、逆だ。この回転を利用して──!!
『オオッ!!』
打ち上げられても決して離さなかった銀剣を、戦技で現れた超剣の横っ面に全力で叩き込む。
ゴガァン!!と凄まじい音が響き、俺の身体を横へとすっ飛ばし、超剣の向きを僅かに横へ逸らす。
僅かと言っても超剣のサイズにしたらというだけで、実際はかなり動いた。
具体的に言うのなら。
剣が動き、その影に隠れていたルーシェが見えるようになったぐらいか。
これで射線上に邪魔なものは無くなり、アイツが憂いなく全力を出せる。
『ブチ抜けアーネ!!』
直後、空中で大爆発が起きた。
予想以上の威力だったが、あれだけあればフィールドは簡単に砕け、ルーシェは戦闘不能になるだろう。
どうやらなんとか鍵を死守出来たらしい。少しばかりホッとして、アーネの元へと向かう。
『痛っ』
その時、砕けた鎧の下、胸のあたりに鋭い痛みが走った。
きっと、ルーシェの戦技が威力を流した上に鎧で守られていた胸部を、フィールドすら貫通してダメージを与えたのだろう。
そう思った瞬間、X字型に胸が斬られた。
今まさにアーネに斬りかからんとするルーシェとの間に割り込み、腰を落とした時に回収した銀剣を逆手に握ってルーシェの一撃をなんとか防ぐ。
『あー、危ねぇ危ねぇ。アーネがやられるかと思った』
「あ、ああ、危なかったですわ!」
『悪かったって。謝るからさ』
アーネにそう謝り、次にギリギリと鍔迫り合いになったまま、至近距離でルーシェと話す。
「上手くいったとぉ…思ったんだけどなぁ…」
『こっちも上手いこと行ったと思ったよ』
ユーリア達は恐らく俺を引き付け、一瞬の隙を突いてアーネを仕留めに来る。
そう予想したのはアーネだった。
だから引き付けた俺ごと魔法で焼いてしまおうという、強引にも程がある方法。
俺が引き付けた状態でアーネが火球を放つという今までのやり方よりも豪快な方法だったが、かなり上手くいった。
上手くいったが……
『まさかユーリアがやられた後でも、すぐにアーネを潰しに来ると思ってなかったよ』
「タッグを組んでてもぉ…パートナーってわけじゃぁない…からねぇ…」
『なんとも冷たいこと、でっ!?』
突如俺の左右に現れた二振りの巨大な剣。会話をしていたのはこれを創るための時間稼ぎだったか。
それが俺の胴をギロチンのように両断せんと迫る。
『ンにゃろっ!』
鍔迫り合いをしたままだったルーシェを蹴飛ばし、そのまま空中で身体を横に回転。
伸ばした腕の延長線上にある二振りの銀剣が片方の大剣を叩き落とし、もう片方の大剣をカチ上げた。
轟とうなりを上げて俺の顔スレスレを飛ぶ大剣。
なんとか回避した直後、ルーシェの姿を確認しようとすると──いない。
『マズっ──』
「《貫き通す唯一の一》」
声は浮いた俺の身体、その真下から。
その名前は超巨大な大剣を撃ち放つ戦技のもの。
『クッソ!!』
回転した身体をさらにもうひと捻り。
俺の身体のど真ん中、背中から胸と腹の間を貫くように放たれたらしい戦技を、身体を捻る事で鎧の上を無理矢理滑らせる。
出来る限り殺した戦技の威力だが、完全に殺すまでには至らなかった。
身体を捻った事で背中から胸へと位置がズレた戦技は、威力が流されたにも関わらず胸部を守っていたマキナを砕き、俺を空中へと打ち上げた。
『くっ…!!』
猛烈な衝撃のままクルクルと錐揉み回転しながら、高く高く打ち上げられた俺の視界に映ったのは、膨大な魔力を束ね上げたばかりのアーネ。
その照準先は──俺。
まさか。
『あいつ追いついてきてやがるぞ!!』
シャルの警告が俺の嫌な予感が合っていた事を伝える。
視界が回転し、ちょうど天井を見上げる形になった時、視界に入ってきたのは薄緑の頭をした少女。
どうやってこんな所まで来たのかは周りを見たらすぐに分かった。
『こいつ、自分で創った剣を空中で踏んで…!』
剣を浮かせて攻撃してくるのだ、ある程度はしっかりと浮かせられるだろう。
だが、それを踏み台にここまで追いかけてくるとは思っていなかった。
「《貫き通す唯一の一》!」
さらにもう一撃、同じ戦技が撃ち下ろされる。
回転に逆らうようにやや斜めに撃たれた戦技を同じ方法で回避するのは不可能。どうするか。
いや、逆だ。この回転を利用して──!!
『オオッ!!』
打ち上げられても決して離さなかった銀剣を、戦技で現れた超剣の横っ面に全力で叩き込む。
ゴガァン!!と凄まじい音が響き、俺の身体を横へとすっ飛ばし、超剣の向きを僅かに横へ逸らす。
僅かと言っても超剣のサイズにしたらというだけで、実際はかなり動いた。
具体的に言うのなら。
剣が動き、その影に隠れていたルーシェが見えるようになったぐらいか。
これで射線上に邪魔なものは無くなり、アイツが憂いなく全力を出せる。
『ブチ抜けアーネ!!』
直後、空中で大爆発が起きた。
予想以上の威力だったが、あれだけあればフィールドは簡単に砕け、ルーシェは戦闘不能になるだろう。
どうやらなんとか鍵を死守出来たらしい。少しばかりホッとして、アーネの元へと向かう。
『痛っ』
その時、砕けた鎧の下、胸のあたりに鋭い痛みが走った。
きっと、ルーシェの戦技が威力を流した上に鎧で守られていた胸部を、フィールドすら貫通してダメージを与えたのだろう。
そう思った瞬間、X字型に胸が斬られた。
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