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本編
説教と体調
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先生を起こすと、怒涛の勢いで説教された。
曰く、俺が無理矢理介入したから、魔法が半分ほど壊れてしまっていたのに、なぜ続けていたのか。
曰く、もし血液型が合っていなかったらどうするつもりだったのか。
曰く、なぜあそこで口付けだったのか、等々…。
かなり長いこと言われてたが、まだ続くかな、とか思っていたら、昨日の英雄、ファルナがこの騒ぎを巡回中に聞きつけ、なんとか終わった。
「食事をお持ちいたしますので、アーネ・ケイナズはしばらく待っていてください」
そう言うと、サッサとテントから出ていった。
余談だが、ラウクムくんは『食事』ではなく、『食糧』。生で食ってたもんな。
「さて、シィルさん、一旦出ましょうか。ケイナズさんが回復するまでしばらくかかるでしょうし」
「あ、先生、この人はここに残していって下さいませ。個人的に話がありますので」
アーネが先生にそう言うと、先生は何か言いたげな顔をしつつも出ていってくれた。
ちょっと嫌な予感しかしねぇんだけど…。
「さて、体調はどうだ?」
「最ッ高に最悪の気分ですわ」
おう、何とも俺が好きな切り返しだな。
「深い眠りから起こすのは王子様の役目だろう?ほら、女子の大好きな甘い甘い夢の主人公になれた気分はどうだ?」
「深い眠りから起こすのは王子様の役目ですが、私はそんな夢、見たこともありませんし、起きれば貴女の顔が至近距離にありますし、挙句の果てに初めてのキスも取られました。えぇえぇ、最ッ高に最悪の悪夢でしたわ」
…なんか切り返しが鏡に映したみたいなんだが。
「で、本題ですわ。今は」
「今はまだ魔族と戦って一日明けたところ。時間は大体朝七時頃、重傷者は俺、ラウクム、お前。死者は四人、魔族は瀕死で逃げ、今は聖女サマと英雄二人が増えて学校に帰ってる途中。明日には着くらしいぞ。他に他に何か?」
アーネが驚き目を見開き、再び口を開く。
「聞きたかった事のほとんどを聞かせていただきました。…死者とはどなたがお亡くなりに?」
少し言葉に詰まる。が、そのうち知る事だ。言うか。
「死んだのは四班のパナフ・クアルナとジーナー・ゼナフ…だったかな?あとはうちの班のナタリと…ナナキ」
ナナキの所だけどうしたってやっぱり声が沈んだ。まぁ、明るくする話でもないんだが。
「貴女は彼女達の死に様を知っていまして?」
「他の三人は知らねぇな。ただ、ナナキだけは昨日まで息はしてた。してたけど、昨日の夜中に死んだ。俺が看取ったから少しだけわかる。全身殴られたような傷だった。多分、魔族にいたぶられ」
ぺちん、と力なくアーネの手のひらが自分の頬を叩いた。
空腹か寝てたからかわからないが、多分、叩いたんだと思う。
「貴女です」
「あ?何が」
「貴女がナナキさんを殺しました」
アーネが何を言っているのかわからない。
まるで、脳味噌がその意味をわかりたくないと言っているように。
曰く、俺が無理矢理介入したから、魔法が半分ほど壊れてしまっていたのに、なぜ続けていたのか。
曰く、もし血液型が合っていなかったらどうするつもりだったのか。
曰く、なぜあそこで口付けだったのか、等々…。
かなり長いこと言われてたが、まだ続くかな、とか思っていたら、昨日の英雄、ファルナがこの騒ぎを巡回中に聞きつけ、なんとか終わった。
「食事をお持ちいたしますので、アーネ・ケイナズはしばらく待っていてください」
そう言うと、サッサとテントから出ていった。
余談だが、ラウクムくんは『食事』ではなく、『食糧』。生で食ってたもんな。
「さて、シィルさん、一旦出ましょうか。ケイナズさんが回復するまでしばらくかかるでしょうし」
「あ、先生、この人はここに残していって下さいませ。個人的に話がありますので」
アーネが先生にそう言うと、先生は何か言いたげな顔をしつつも出ていってくれた。
ちょっと嫌な予感しかしねぇんだけど…。
「さて、体調はどうだ?」
「最ッ高に最悪の気分ですわ」
おう、何とも俺が好きな切り返しだな。
「深い眠りから起こすのは王子様の役目だろう?ほら、女子の大好きな甘い甘い夢の主人公になれた気分はどうだ?」
「深い眠りから起こすのは王子様の役目ですが、私はそんな夢、見たこともありませんし、起きれば貴女の顔が至近距離にありますし、挙句の果てに初めてのキスも取られました。えぇえぇ、最ッ高に最悪の悪夢でしたわ」
…なんか切り返しが鏡に映したみたいなんだが。
「で、本題ですわ。今は」
「今はまだ魔族と戦って一日明けたところ。時間は大体朝七時頃、重傷者は俺、ラウクム、お前。死者は四人、魔族は瀕死で逃げ、今は聖女サマと英雄二人が増えて学校に帰ってる途中。明日には着くらしいぞ。他に他に何か?」
アーネが驚き目を見開き、再び口を開く。
「聞きたかった事のほとんどを聞かせていただきました。…死者とはどなたがお亡くなりに?」
少し言葉に詰まる。が、そのうち知る事だ。言うか。
「死んだのは四班のパナフ・クアルナとジーナー・ゼナフ…だったかな?あとはうちの班のナタリと…ナナキ」
ナナキの所だけどうしたってやっぱり声が沈んだ。まぁ、明るくする話でもないんだが。
「貴女は彼女達の死に様を知っていまして?」
「他の三人は知らねぇな。ただ、ナナキだけは昨日まで息はしてた。してたけど、昨日の夜中に死んだ。俺が看取ったから少しだけわかる。全身殴られたような傷だった。多分、魔族にいたぶられ」
ぺちん、と力なくアーネの手のひらが自分の頬を叩いた。
空腹か寝てたからかわからないが、多分、叩いたんだと思う。
「貴女です」
「あ?何が」
「貴女がナナキさんを殺しました」
アーネが何を言っているのかわからない。
まるで、脳味噌がその意味をわかりたくないと言っているように。
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