大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

傷と容態

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今更だが、馬車の並びを言うのを忘れてたわ。
えーっと、先頭が英雄二人のいる馬車、そのすぐ後ろにアーネ、ラウクムくん、先生達の馬車、ナナキ、自分の馬車が続いた後、最後に聖女様の馬車がくるらしい。
この国というかこのヒト種の守りの要が一番後ろ、自分のすぐ後ろにいるというのは、非常に心強い反面、アンタもし狙われでもしたら大丈夫なのかよと言いたくもなるが、多分英雄達はそのあたりもしっかり考えてるんだろうと思う。多分。きっと。
んでまぁ、俺が外に出たところで俺のところの見舞いを最初に行こうとした先生と鉢合わせた訳だ。
「ふむ、結構しっかりしているようですね。安心しました」
ラウクムくんのところへ行く途中でそんな話をしながら馬車を渡っていく。
「まぁ、実質的に身体中筋肉痛なのと、身体中軽傷なだけだからな。個人的には戦技アーツを習得したいぐらいなんだけどな」
まぁ、習得したいから二、三時間やれば戦技アーツが習得出来るかどうかって言ったら絶対無理なんだがな。そもそも馬車ン中だし。
「…一応、じっとしていてくださいね?あと、シィルさんの班のマナックさん、彼女はかなり危険な状況です」
「あん?クアイは大した怪我はなかったんだろ?何が」
「一番仲のよかった友人が無残に殺されたのです。精神的にかなりギリギリです」
そういうことか。
自分もナナキが死んだから、その気持ちはわかる。そういうのはほっといた方がいい気がするからなぁ…。
この場合に限っては、人を救うのは時間だと思う。
「了解了解。よっと、で、ラウクムの容態ってどうなの?結構よくなってる?」
馬車を飛び移りながら訊いてみる。
「ナーバーヤさんは今…食事をしています」
はぁ?いや、確かにそりゃ重要だろうけどさ。何?わざわざ言うことか?それ。
「昨日だけで約十キロ、今日は一体どれ程食べるのでしょうか…」
うん、わざわざ言うことだったわ。
先生が遠い目をしている。
…ラウクムくん、ホントにお前なにしてんだよ。
そんだけ食ったら、逆に気持ち悪くなったりして、身体に悪そうなんだが。
「ってことは何?ラウクムって、昨日はずっと飯食い続けてたの?」
「いえ、そういう訳ではないようです。一気に食い溜めした後、しばらく眠り、起きたらまた食べる…という事を繰り返したようです」
食い続けてんじゃねぇか。
むしろ食っちゃ寝のほうがダメな気がするんだが。
何?力士でも目指してんの?一日で一気に太ってたりしてないよね?
「ほら、つきましたよ。今は…起きているようですね。行きましょうか」
頼むからビッグ・ラウクムとかになっててくれるなよ…!
そう思いながらそっと部屋に入った。
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