大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

文字の大きさ
上 下
74 / 2,022
本編

物置と生い立ち

しおりを挟む
さて、自分は物置に行って防具を回収しに行かねば。
さっさと探しに行く。
ちなみにこの家…というか、この村の家はどれも同じ間取りで、二階建てプラス物置としての地下室が一つで、一階にはキッチンと応接間、あとはトイレぐらいか。
二階には部屋が四つもあり、二階はみんな好き勝手使ってる。
ちなみに自分達の場合は自分とナナキが半分こしてる感じだな。
で、今回足を運んだ物置はというと。
「…そーいや、何でもかんでも放り込んでたからなぁ…」
軽くゴミ屋敷でございます。
ちょっと援軍呼んでくるか。
「ナナキー、ナナキー?どこいったー?」
「ナナキさんなら今さっきクードラル先生と一緒に何処かへ行きましたわ」
ナナキを呼んだら、何故か知らんがナナキにボロカスにやられてからずっと黙ってたアーネが答えてくれた。
「ありゃ、そうなのか…防具発掘するの手伝ってもらおうと思ったんだがな…お前、手伝ってくれねぇ?」
まぁ、拒否されそうだがな。
「構いませんわよ?」
「…ふぇ?」
「構いませんわよ?」
言ってみるもんだな。
入学当初(といっても数日前)の頃だと絶対に拒否されてただろうな…。
「そうか、ならこっちだ」
こいこいと手招きして再び地下室へ。
「…なんですの、この惨状は…」
「十数年間、親がいない子が二人住んでいると、いらないけど残したいものだとか、本当に必要なものとかを適当に放り込んでいく。するとこうなるんだ。よかったな、また一つ賢くなったぞ」
「ちょっとまってくださいまし。貴女、ナナキさんと同棲してますの?」
あれ、言ってなかったか?
「そうだぞ?というか、さっきこの家の二階から勝手に降りてきただろう」
「不法侵入ではなかったんですのね…」
まぁ、この村では法なんてあって無いようなもんだけどな。
さぁさぁ、そろそろ探していくか。
「貴女は…貴女方は親がいなくて、ずっと二人きりでしたの?」
作業が始まってしばらくして、アーネが沈黙に耐えられなくなったように口を開いた。
「あぁ、自分は赤ん坊の状態で門の前に。ナナキは三歳ぐらいのときにこの村に来たらしい」
「ナナキさんは一体、どうやってこの村へ?貴女の方は誰かが捨てたのでしょうが」
「さぁ?ナナキも村のみんなも口を開かねぇんだ。だから自分も知らねぇ。あとな、ここは当時人形がいなかったとはいえ、元々魔獣がかなりの頻度で出てくる森だぞ?そんなところに入って赤ん坊を捨てるとか、どんな親だよ」
まぁ、知りたくはないのだがな。
「…そういえばそうですわね。あら?貴女、歳は幾つで?」
「あぁ?自分は十六だと思う。ちなみにナナキは…あれ、そういや幾つだっけ?」
こんな森の奥にいると、年なんか関係なくなってくるしな。
あと、日付がわからん。四季さえわかれば、最悪なんとかなるしな。
「あら、なら貴女、もしかせずとも私より年下ですの?」
しんみりしてたアーネの口が一気に裂けるようにして耳元まで伸びたのがなんとなくわかる。
「でしたら、私のことを敬いなさい!ひれ伏しなさい!神として崇め、奉りなさい!」
なぜ歳が少し違うだけでそこまでせねばならないのか。
「てことはお前は十七か?十八か?どっち道、お前は年下にボロカスにやられたんだぞー」
適当にそう返すと、どこからか「おだまりなさいな!」とか聞こえた。
…作業開始からそろそろ一時間、いい加減、腹が減ってきたんだがな…。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...