日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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T34を殲滅せよ!

魔改造は伊達ではないのだ。

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 日本の技師は改造が好きだ。
新規に創造するのではないが・・・道具や機械を改良して、自身に合うように改造してしまうのだ。
 国民性といってもいいほどなのである。
なぜって、使っていて思うからだ。
 これなら、こうすればいいんじゃねぇ・・・と
どうして、魔改造戦車の後部へ傾斜装置がついたのか・・・
 それは、砲塔内部への砲身の遊底の所為なのであった・・・
「これが、魔改造戦車の主砲だぞ。」と、長砲身の砲身を見せる。
 「なんと、遊底が長いんだ。」
「これでは、砲身が上下角が取れないぞ。」
 「どうしょう。」「他に砲身は無いんかい。」「これが、一番の威力なんだよ。」
「いままでの、35ミリ砲(短砲身)では、ソ連軍の戦車の装甲は抜けないからな。」
 「どうするんだ。」
「左右は砲塔を廻せばいいんだが、上下が・・・」
 「なら、車台ごと傾ければいいんじゃないか。」
と、無理やりの理由からである。
 
 そこで、技師連中で問題となったのは、傾きをどうするかであった。
上を狙うのか・・・下狙いでいくのかだ。
 八九式戦車の頃には戦車は歩兵支援が目的だった。
そう、榴弾を撃って・・・爆発の破片で歩兵を倒すのである。
 ところが、ソ連軍の戦車が湧いて出てきたのだ。
榴弾では、戦車は破壊できない。
 なぜなら、装甲で榴弾の破片が防がれるからだ。
そうなのだ、戦車対戦車の戦いへ・・・時代は変化するのである。
 歩兵にとり、戦車は強敵だ。
カンタンには破壊できない。(まだ、バズーカなどの対戦車兵器は開発前である。)
 そこで、徹甲弾の開発である。
敵戦車の装甲を抜ける砲弾だ。
 そのための砲身は射速を上げるために長砲身となる。
そして、砲撃の衝撃を逃がすために遊底が後部へ長くなるのだ。
 それで、砲塔内部で上下角が取れなくなったのである。
そこが、改造戦車の欠点なのである。
 基本体形を替えることができないからだ。

 対戦車としての戦車砲なら・・・上を狙うことが少ない。
歩兵用の榴弾を山なりに上を向けて撃つことがないからだ。
 もっぱら、対戦車としての水平撃ちが多いのである。
そして、空とぶ戦闘機を主砲では・・・1発必中なんて・・・現在のパソコン照準でも困難だろう・・・
 戦闘機は対空機銃が望ましいのだ。(数、撃って当てるのだ。)
そして、車台を、どうやって傾けるか・・・
 難問なのだ。
当時、まだ油圧サスペンションなんて、夢のまた夢なのである。
 「まてよ、精密砲撃するとき、大砲は後ろに緩衝装置を付けるじゃないか。」
「あ、あ、あの開く振り止めか。」
 「うむ、それだ。」
「その緩衝装置を使って、車台を持ち上げるんだよ。」
 「でも、20トン以上あるぞ。」
「だから、ジーゼルエンジン動力を使うんだよ。」
 すべてが、ソ連製の戦車を無理くりに改造しようとした結果なのである。
そうして、全く別物も戦車が出来上がったのである。
 もはや、原型がソ連のT26Bとは、ソ連兵も気が付かないレベルなのである。

 そして、ここは行軍してきた袋小路の丘である。
「まだ、熊公は来てないな。」と、軍曹が吠える。
 とうとう、露スケから熊公へジョブチェンジしたようだ。
馬賊が1騎、駆け寄る・・・
 「隊長サン、モウジキ、来ルアルヨ。」と、北方向をしめす。
「おお、砂の煙が・・・」「もうじきだ。」
 「各車、位置へつけ。」と、今野少尉が無線機で伝える。
事前に、各車の配置は指示してあるのは、当然なのだ。
 袋小路の丘は日本陸軍が勝手に名付けた丘だ。
ハルピン方向からくると、丘におより道が狭くなるのだ。
 道といっても、凹凸が無いところだ。
街道の整備なんて、してあるわけではない。
 満州国は、インフラがそこまで進んでないのである。
満州平原といっても、まっ平ではないのだ。
 それなりの凹凸の岩が散在しているのは、どこも同じだ。
わざわざ、行軍速度が遅くなる、岩場をソ連軍は進んでこないのだ。
 そこは、日本陸軍も同じだ。
山での猟師がケモノ道を使うのと同じである。

 「各車、用意いいか?」「全車、配置完了です。」
「うむ、いいか合図まで、撃つなよ。」「了解です。」
 ソ連軍が溜まるまで、待たねばならないからだ。
砲撃は、全車が一斉にやらないと効果が出ないからだ。
 それに、岩場からギリで狙うのはチャンスは1回キリなのだ。
後部緩衝装置で、戦車の車台が安定するから正確な射撃ができるから・・・外すわけにはいかないのである。
 「いいか、絶対に1発必中で、いくぞ。」「おう。」
装填手は次弾をもって待機する。
 砲手は、光学照準器へ張り付きだ。
操縦手は、後部回転緩衝装置のレバーを握り・・・いつでも、車台を戻せるように・・・
 なぜなら、砲撃したら、戻して退避しなければならない可能性があるからだ。
それは、作戦が失敗したときである。
 常に、万が1に備えるのが、戦死回避の方策なのだ。

 「来たぞ。」と、無線だ。
続々と・・・20両ほどのソ連軍の新型T34戦車が・・・丘の溜まりへ入ってくる。
 ソ連軍の新型T34を今野少尉以下・・・戦車隊全員が初めて見るのだ。
「あれが、T34かっ。」「マジで、ミッキーマウスだな。」砲塔のハッチを2枚とも開けてる戦車もあるようだ。
 「いいか、砲撃用意・・・」
「いまだ、テーーーーッ。」
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