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よしっ、起床だ。
夜明け前・・・
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「隊長、時間です。」
「おお、そうか。」「よし、点呼だ。」
歩哨も役目を終わり、列へ並ぶ。
今野少尉が、お立ち台は無いが・・・整列した隊員らの前へ・・・
「諸君、我が戦車隊の諸君、いよいよだ。」
「この先のハルピンで、敵が待っている。」
「もう、なにも言うことは無い。」「諸君らは十分な訓練と練度があるのだ。」
「無線機の点検の後、出撃だ。」
軍曹が、「敬礼。」と・・・答礼する今野少尉だ。
「わかれ、乗車。」と、軍曹が掛け声だ。
各戦車へ乗り込む。(必ず、靴のドロを落とすのは・・・機甲学校からの癖だ。)
やがて、各戦車のエンジンが始動する。
今の季節は冬季ではない。 しかし、夜明け前だ。
一番、低温なときでもある。
暖気運転は必要なのである。
やがて、元馬賊の案内人が・・・「やつらに、動きはないアルヨ。」と、伝えにきた。
案内人へ給金を渡す少尉だ。
案内人へは、その日払いなのだ。(帰ってこれないかも・・・しれないからだ。)
「よし、進軍開始。」と、今野隊長が腕をハルピン方面へ・・・(無線で伝えている、が雰囲気も大事だ。)
今野隊長を先頭に・・・15両の八九式改中戦車が進軍を開始したのである。
「ガ、ガ、ガ、ガ、ガ、ガ。」と、荒れ地を突き進む無限軌道・・・
ジーゼルエンジンへ載せ替えられてから、徐々にジーゼルエンジンへ慣れてきた操縦手だ。
ガソリンエンジンのときはトルク不足が感じられたが・・・いまは、無い。
加藤戦車隊の経験が生きているのである。
ハルピンのソ連軍が布陣している地点まで、10キロも無いのだ。
八九式改は巡行速度が30キロ前後である。(最高速度は40キロ、荒れ地で20キロ毎時だ。)
20分あまりで、ソ連軍と衝突するのだ。
幸い、風は進行方向に向かい風だ。
エンジン音が聞こえつらいのだ。(平原では反射しない、音は風に乗るのだ。)
それに、ダブルマフラーでジーゼルエンジンの音は抑えられている。
だんだん、東の空が白んできた・・・夜明けが近い・・・
「そろそろ、だな。」「鋭角へ隊列変更だ。」と、無線で連絡する少尉だ。
加藤戦車隊でも無線機はあったが・・・いまほど、使い勝手が良くなかったのだ。
現地でアンテナを調整したり、マイクとイヤフォンを改良したり・・・水晶発振子まで改造した結果だ。
戦車どうしは、連絡が無線でないと・・・無線が故障したら・・・旗か夜間は信号灯だ。
今野戦車隊から無線機を外したら・・・連携が取れないだろう。
操縦手も無線を当然に聞いている。
やがて、隊列は隊長戦車を先頭に・・・鋭角三角形に・・・パンツァーカイルの体勢だ。
「よし、このまま、敵陣へ殴り込みだ。」と、無線でおもわず叫ぶ今野少尉だ。
砲手が、「そろそろ、砲塔内へ。」と、「いや、敵を肉眼で確認したい。」と、今野少尉だ。
こちらは、日本軍がなかなかやってこないので・・・半分寝ぼけ眼(まなこ)のソ連軍陣地だ。
「ん、ん。」「どうした、セルゲイノフ。」
「いや、なんかエンジン音が聞こえたような。」「オレは、なんも聞こえないが。」
「しずかに・・・」と、さえぎるセルゲイノフだ。
「聞こえるぞ、エンジン音だ。」「黄色い猿だ、きやがったぞ。」
「隊長に知らせるんだ。」「オレは、全員を起こすぞ。」
「おい、ヤツラが来たぞ。」「なんだ、オナゴなら・・・ババアはイラネー。」
「なに、寝ぼけとる、敵だ。」「なんだと、本当か。」
あわてて、眼を覚ます・・・ソ連軍の戦車隊員らである。
連日の待ち伏せで・・・半分は・・・疲労が・・・溜まっているのである。
それが、士気を低下させるのである。
シベリア基地へ左遷された兵たちである・・・ヤル気なぞ、半分は・・・
しかし、まだ死にたくは無い・・・それで、体が動くのである。
「おい、エンジンを掛けろ。」「まてよ、なかなか掛からないんだ。」「まだ、冷えてるからな。」
そうなのだ、ヒトと同じで冷えたエンジンは、なかなか始動しないのだ。
やがて、「ブル、ブル。」「ストン。」と、掛ったが、止まってしまう。
「なんや、敵が来るぞ、はやくしろ。」と、車長が叫ぶ。
操縦手は、うるせい野郎だ・・・と、何度もクランクするが・・・急ぐほど、掛らないモノである。
日本軍の戦車隊のエンジン音が・・・はっきりと聞こえる・・・・
やがて、半分ほどのソ連軍の戦車のエンジンが廻りだした。
「暖気運転は?」「そんな暇あるかっ、敵は目の前だ。」と、急がせる車長だ。
操縦手が・・・アクセルを・・・「ガ、ガ、ガ、ストン。」と、エンストだ。(ストンはエンストした・・)
「なにやっとるか、おまえは死にたいのか。」と、わめく車長だ。
「・・・・」くそっ、言いたいこと言いやがって、今に見てろ・・・と、内心思う操縦手だ。
「いかん、敵はパンツァーカイルで来るぞ。」と、急報が・・・
ソ連軍はドイツ軍のパンツァーカイルを喰らって、欧州で全滅した・・・話が・・・
無線機で連携したドイツ軍は無敵のティーガーを先頭に・・・ソ連軍へ・・・突撃だ。
その情報は日英同盟で、英国から暗号短波通信で入っていたのである。
そのことからの、今野戦車隊のパンツァーカイル作戦なのだ。
敵がパンツァーカイルをかます・・・なんで、日本軍が・・・知ってるの・・・
トラウマが・・・の、ソ連軍だ。
「おお、そうか。」「よし、点呼だ。」
歩哨も役目を終わり、列へ並ぶ。
今野少尉が、お立ち台は無いが・・・整列した隊員らの前へ・・・
「諸君、我が戦車隊の諸君、いよいよだ。」
「この先のハルピンで、敵が待っている。」
「もう、なにも言うことは無い。」「諸君らは十分な訓練と練度があるのだ。」
「無線機の点検の後、出撃だ。」
軍曹が、「敬礼。」と・・・答礼する今野少尉だ。
「わかれ、乗車。」と、軍曹が掛け声だ。
各戦車へ乗り込む。(必ず、靴のドロを落とすのは・・・機甲学校からの癖だ。)
やがて、各戦車のエンジンが始動する。
今の季節は冬季ではない。 しかし、夜明け前だ。
一番、低温なときでもある。
暖気運転は必要なのである。
やがて、元馬賊の案内人が・・・「やつらに、動きはないアルヨ。」と、伝えにきた。
案内人へ給金を渡す少尉だ。
案内人へは、その日払いなのだ。(帰ってこれないかも・・・しれないからだ。)
「よし、進軍開始。」と、今野隊長が腕をハルピン方面へ・・・(無線で伝えている、が雰囲気も大事だ。)
今野隊長を先頭に・・・15両の八九式改中戦車が進軍を開始したのである。
「ガ、ガ、ガ、ガ、ガ、ガ。」と、荒れ地を突き進む無限軌道・・・
ジーゼルエンジンへ載せ替えられてから、徐々にジーゼルエンジンへ慣れてきた操縦手だ。
ガソリンエンジンのときはトルク不足が感じられたが・・・いまは、無い。
加藤戦車隊の経験が生きているのである。
ハルピンのソ連軍が布陣している地点まで、10キロも無いのだ。
八九式改は巡行速度が30キロ前後である。(最高速度は40キロ、荒れ地で20キロ毎時だ。)
20分あまりで、ソ連軍と衝突するのだ。
幸い、風は進行方向に向かい風だ。
エンジン音が聞こえつらいのだ。(平原では反射しない、音は風に乗るのだ。)
それに、ダブルマフラーでジーゼルエンジンの音は抑えられている。
だんだん、東の空が白んできた・・・夜明けが近い・・・
「そろそろ、だな。」「鋭角へ隊列変更だ。」と、無線で連絡する少尉だ。
加藤戦車隊でも無線機はあったが・・・いまほど、使い勝手が良くなかったのだ。
現地でアンテナを調整したり、マイクとイヤフォンを改良したり・・・水晶発振子まで改造した結果だ。
戦車どうしは、連絡が無線でないと・・・無線が故障したら・・・旗か夜間は信号灯だ。
今野戦車隊から無線機を外したら・・・連携が取れないだろう。
操縦手も無線を当然に聞いている。
やがて、隊列は隊長戦車を先頭に・・・鋭角三角形に・・・パンツァーカイルの体勢だ。
「よし、このまま、敵陣へ殴り込みだ。」と、無線でおもわず叫ぶ今野少尉だ。
砲手が、「そろそろ、砲塔内へ。」と、「いや、敵を肉眼で確認したい。」と、今野少尉だ。
こちらは、日本軍がなかなかやってこないので・・・半分寝ぼけ眼(まなこ)のソ連軍陣地だ。
「ん、ん。」「どうした、セルゲイノフ。」
「いや、なんかエンジン音が聞こえたような。」「オレは、なんも聞こえないが。」
「しずかに・・・」と、さえぎるセルゲイノフだ。
「聞こえるぞ、エンジン音だ。」「黄色い猿だ、きやがったぞ。」
「隊長に知らせるんだ。」「オレは、全員を起こすぞ。」
「おい、ヤツラが来たぞ。」「なんだ、オナゴなら・・・ババアはイラネー。」
「なに、寝ぼけとる、敵だ。」「なんだと、本当か。」
あわてて、眼を覚ます・・・ソ連軍の戦車隊員らである。
連日の待ち伏せで・・・半分は・・・疲労が・・・溜まっているのである。
それが、士気を低下させるのである。
シベリア基地へ左遷された兵たちである・・・ヤル気なぞ、半分は・・・
しかし、まだ死にたくは無い・・・それで、体が動くのである。
「おい、エンジンを掛けろ。」「まてよ、なかなか掛からないんだ。」「まだ、冷えてるからな。」
そうなのだ、ヒトと同じで冷えたエンジンは、なかなか始動しないのだ。
やがて、「ブル、ブル。」「ストン。」と、掛ったが、止まってしまう。
「なんや、敵が来るぞ、はやくしろ。」と、車長が叫ぶ。
操縦手は、うるせい野郎だ・・・と、何度もクランクするが・・・急ぐほど、掛らないモノである。
日本軍の戦車隊のエンジン音が・・・はっきりと聞こえる・・・・
やがて、半分ほどのソ連軍の戦車のエンジンが廻りだした。
「暖気運転は?」「そんな暇あるかっ、敵は目の前だ。」と、急がせる車長だ。
操縦手が・・・アクセルを・・・「ガ、ガ、ガ、ストン。」と、エンストだ。(ストンはエンストした・・)
「なにやっとるか、おまえは死にたいのか。」と、わめく車長だ。
「・・・・」くそっ、言いたいこと言いやがって、今に見てろ・・・と、内心思う操縦手だ。
「いかん、敵はパンツァーカイルで来るぞ。」と、急報が・・・
ソ連軍はドイツ軍のパンツァーカイルを喰らって、欧州で全滅した・・・話が・・・
無線機で連携したドイツ軍は無敵のティーガーを先頭に・・・ソ連軍へ・・・突撃だ。
その情報は日英同盟で、英国から暗号短波通信で入っていたのである。
そのことからの、今野戦車隊のパンツァーカイル作戦なのだ。
敵がパンツァーカイルをかます・・・なんで、日本軍が・・・知ってるの・・・
トラウマが・・・の、ソ連軍だ。
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