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弟子と母親編
弟子
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翌朝、アステルが目を覚ますと柔らかな光が窓から差し込み部屋を優しく照らしていた。体はすっきりと拭かれ、滑らかなシーツが心地よく肌に触れる。隣に誰もいないことに気づくと、少し慌ててベッドから飛び起きた。その瞬間、台所の方から聞こえる物音にホッと胸を撫で下ろす。
「おはよう。ごめんなさい、寝坊しちゃった」
「もう少しゆっくり休んでいてもいいんだぞ」
申し訳なさげに声をかけるとシリウスの声が返ってくる。彼は、朝の柔らかな日差しを浴びながら、余裕をもって朝食を準備していた。
テーブルには、香ばしいベーコンエッグ、焼きたてのパン、色とりどりの新鮮なサラダが美しく並べられている。その上に漂うコーヒーの香りは、彼女をさらに目覚めさせる。
「お母さん、これ全部あげる」
元気の無さそうな声でステラが近づいてくる。小さな手には可愛らしいクッキーの入った袋がしっかりと握られていた。
「ダメでしょ。ご飯を食べる前にお菓子なんて食べたら」
注意を促すと「でも、美味しくないし……」とステラが言うのでアステルは驚きを隠せなかった。いつもならクッキーを喜んで食べるステラがそんなことを言うのは珍しい。
「どうしたの?美味しくないなんて」と
「貰ったものなんだがハーブが入っている……毒は入ってない」
心配になり、問いかけると毒見をしたシリウスが苦い顔をして説明をする。どうやら手作りのクッキーには彼らの苦手なハーブを含んでいるらしい。
「……じゃあ私が全部食べますね」
アステルは優しく微笑み、ステラから受け取った袋の中から一つ取り出した。そのクッキーを口に入れると独特のハーブの香りと甘さが広がる。初めは驚いたが次第に懐かしさが心に広がった。
(この味、どこかで……)
子供の頃に母が焼いてくれたクッキーの味に似ている。彼女は一瞬、あの温かな光景を思い浮かべた。家族が揃ったテーブル、母の優しい笑顔、そしてそのクッキーを囲んでの笑い声。まるで時が戻ったかのように。
「このクッキー、誰がくれたの?」
「ただの冒険者の男だが……」
(気のせいか……)
昔、母が作ってくれたクッキーの味によく似ていたので、もしかしたらと思ったが、ただ味が似ているだけだったようだ。アステルは気を取り直して新たな始まりを迎える準備を整えることにした。
◆
数日後、アステルは完成をした薬を持って爽やかな昼間の太陽の光が差し込む道具屋の扉を開けた。店内には色とりどりの瓶や薬草が整然と並べられ、ほのかに香る。これからの一歩に期待を胸に秘めながらカウンターで書類を眺めているアリサの元へと向かった。
まず初めにアステルは木箱から自分が作った薬を取り出しながら作った薬の説明をした。瓶は繊細に磨かれたガラスでそこには緑色の液体が美しく映っていた。
「素晴らしい!エルフの薬はやっぱり違いますね。効果が期待できそうです!」
アリサは喜びの声を上げ、興奮を隠せない様子で瓶を手に取ってじっくり観察した。それを見たアステルはびっくりした。普段は真面目で大人しいアリサがあんなふうに声を上げるのは今まで見たことがなかったからだ。
(薬が好きなのかしら……?)
そんな様子にアステルは苦笑しつつ、アリサに頼みごとをした。
「人を雇ってみたいと思ったんですけど、ここで募集できますか?」
「シリウスさんから聞いたんですね?それなら弟子を取ってみませんか?」
アリサは目を輝かせて返事をする。その言葉にアステルの心は一瞬ドキリとした。
「弟子ですか……エルフの薬はエルフじゃないと作れませんよ?」
アステルは懸念を口にする。エルフ以外の者にはその特有の技術や感覚を教えても同じ薬は作れないという現実があったがだんだん落ち着きを取り戻してきたアリサは首を横に振りながら続けた。
「この国に薬師を目指すエルフの子供がいるんですよ。」
「えっ?」
アステルは驚きの声を上げる。この国での純血のエルフの人口はとても少ないためエルフの子供を見たことがない。信じられない話だった。
「その子、半年前に保護されたんです。故郷のエルフの里が燃やされて……両親も行方不明で……」
アリサの言葉が重く響くと以前、新聞で読んだ文字が脳裏に浮かぶ。アステルの故郷とは別の地方のエルフの里が何者かによって火を付けられて攫われたり殺されて壊滅したという悲劇的な報道だった。
「ご両親は薬師だったので一応知識はあるそうなのです。実際に作ったことはなく、設備もないので未経験ですが」
その言葉に自身の過去を重ねずにはいられなかった。彼女もまた家族を失い、一人で薬を作る苦労を強いられてきたのだ。
「お給金も安くていいそうなのでアステルさんがよろしければ」
「ですが夫はダークエルフで娘はそのハーフなのですが……その子は平気ですか?」
アステルの声には不安が滲んでいた。エルフはダークエルフを拒絶することが多く、アステルのような特殊な環境で育ったエルフでなければその傾向は強い。
「ご存知ないのですか?その子を保護したのがシリウスさんですよ。」
「え、そうだったんですか……」
アリサの言葉にアステルは驚きの表情を浮かべる。
「それに本人からも平気だと言っています」
「それならいいのですが……」
アステルは少し考えた後、心の中の不安を押し殺すように頷いた。もしかしたら、彼女の住んでいた故郷のエルフとは異なる価値観を持っているかもしれない。ダークエルフに対して友好的な心を持ったエルフの子供なのかもしれない。
決意を胸に抱え、アステルはアリサの提案を承諾することにした。
◆
約束の日の昼頃、静かな家の中に扉をノックする音が響いた。アステルは心臓が高鳴るのを感じながら扉を開けるとそこには一人の少年エルフが立っていた。
彼はまるで光をまとったかのような美しい存在で尖った耳はエルフであるこ とを強調している。金色に輝く髪は太陽の光を受けて煌めく穀物のようで麦のように肩に流れ落ちている。その髪の隙間から覗く瞳は空色に近い淡い青で少しの緊張感を孕んでいた。服装は淡い緑色の柔らかいコットンシャツを着ており、袖は軽くロールアップされている。
「いらっしゃいませ。上がって」
アステルが優しく声をかけると少年は軽く頭を下げて家の中に足を踏み入れた。
キャロラインが初めて来た時に使った応接室に案内をし、紅茶と焼き菓子をトレイに載せて少年の前に差し出した。
「どうぞ」
「ありがとうございます……」
紅茶と焼き菓子が目の前に置かれると少年は真摯な眼差しでアステルを見つめた。
「私の名前はアステルです。これからよろしくね」
アステルが自己紹介すると少年も頷きながら答える。
「僕の名前はケルヴィンです」
前もって名前を聞いていたがアステルが自己紹介をすると少年も名前を教えてくれた。
ケルヴィンは昔のシリウスに似た部分を感じる。常に冷静でいようとしている表情にはどこか彼自身の苦い経験を抱えているような影が見え隠れしていた。
「ここにはダークエルフの夫とそのハーフの娘がいるけど本当に大丈夫?」
アステルが慎重に尋ねると「……はい」と答えたケルヴィンは一瞬顔を引きつらせたがすぐに元の表情に戻る。その姿を見てアステルは不安を感じつつも彼を作業場に案内した。
「ここが薬を作る部屋です」
扉を開けると、部屋の中には薬品や各種薬草が入った瓶が並び、香りが漂っていた。
「すごい……」
ケルヴィンは目を輝かせながらその光景を見渡した。彼の表情は、驚きと興奮で満ちていた。
「ケルヴィンはどこまで薬の作り方を教えてもらえたの?」
「まだ雑学だけです……薬の作り方は直接教えてもらう前に……」
彼の声には、少しの悲しみが混じっていた。
「そう……じゃあ、さっそく作ってみましょうか。知識があるなら後は見て、直接作って覚えるだけだと思うから」
「はい」
辛い記憶を思い出させる前にアステルがそう言うとケルヴィンは小さく頷いた。
「まずは薬草を……」
アステルが薬作りの手本を見せるとケルヴィンもそれに続いて作業を始めた。彼の手つきはまだぎこちなく、あまり手際が良いとは言えなかったがその真剣な眼差しには希望が宿っていた。
だが、一生懸命な姿を見ていると将来性を感じずにはいられなかった。ケルヴィンの作業はまるで新しい命が芽生える瞬間のような期待をもたらしていた。
回復薬を作ることは決して簡単ではない。数種類の薬草の特性を理解し、売られている薬の瓶一本の効果を均一にすることが求められる。
そのためアステルはまずケルヴィンに基本的な知識をしっかりと伝え、安定した薬を作れるようになるまで彼のサポートをすることに決めた。
最初は緊張した表情を浮かべていたが作業を続けるうちに彼の動きは次第に滑らかになり、手際も良くなっていった。
(この子、才能があるかも)
アステルは心の中で思った。ケルヴィンは飲み込みが早く、どんどんと要領をつかんでいく。薬草の香りに包まれながら彼の集中した表情が次第に自信に満ちていくのを見て、アステルは師としての嬉しさを感じた。
「おはよう。ごめんなさい、寝坊しちゃった」
「もう少しゆっくり休んでいてもいいんだぞ」
申し訳なさげに声をかけるとシリウスの声が返ってくる。彼は、朝の柔らかな日差しを浴びながら、余裕をもって朝食を準備していた。
テーブルには、香ばしいベーコンエッグ、焼きたてのパン、色とりどりの新鮮なサラダが美しく並べられている。その上に漂うコーヒーの香りは、彼女をさらに目覚めさせる。
「お母さん、これ全部あげる」
元気の無さそうな声でステラが近づいてくる。小さな手には可愛らしいクッキーの入った袋がしっかりと握られていた。
「ダメでしょ。ご飯を食べる前にお菓子なんて食べたら」
注意を促すと「でも、美味しくないし……」とステラが言うのでアステルは驚きを隠せなかった。いつもならクッキーを喜んで食べるステラがそんなことを言うのは珍しい。
「どうしたの?美味しくないなんて」と
「貰ったものなんだがハーブが入っている……毒は入ってない」
心配になり、問いかけると毒見をしたシリウスが苦い顔をして説明をする。どうやら手作りのクッキーには彼らの苦手なハーブを含んでいるらしい。
「……じゃあ私が全部食べますね」
アステルは優しく微笑み、ステラから受け取った袋の中から一つ取り出した。そのクッキーを口に入れると独特のハーブの香りと甘さが広がる。初めは驚いたが次第に懐かしさが心に広がった。
(この味、どこかで……)
子供の頃に母が焼いてくれたクッキーの味に似ている。彼女は一瞬、あの温かな光景を思い浮かべた。家族が揃ったテーブル、母の優しい笑顔、そしてそのクッキーを囲んでの笑い声。まるで時が戻ったかのように。
「このクッキー、誰がくれたの?」
「ただの冒険者の男だが……」
(気のせいか……)
昔、母が作ってくれたクッキーの味によく似ていたので、もしかしたらと思ったが、ただ味が似ているだけだったようだ。アステルは気を取り直して新たな始まりを迎える準備を整えることにした。
◆
数日後、アステルは完成をした薬を持って爽やかな昼間の太陽の光が差し込む道具屋の扉を開けた。店内には色とりどりの瓶や薬草が整然と並べられ、ほのかに香る。これからの一歩に期待を胸に秘めながらカウンターで書類を眺めているアリサの元へと向かった。
まず初めにアステルは木箱から自分が作った薬を取り出しながら作った薬の説明をした。瓶は繊細に磨かれたガラスでそこには緑色の液体が美しく映っていた。
「素晴らしい!エルフの薬はやっぱり違いますね。効果が期待できそうです!」
アリサは喜びの声を上げ、興奮を隠せない様子で瓶を手に取ってじっくり観察した。それを見たアステルはびっくりした。普段は真面目で大人しいアリサがあんなふうに声を上げるのは今まで見たことがなかったからだ。
(薬が好きなのかしら……?)
そんな様子にアステルは苦笑しつつ、アリサに頼みごとをした。
「人を雇ってみたいと思ったんですけど、ここで募集できますか?」
「シリウスさんから聞いたんですね?それなら弟子を取ってみませんか?」
アリサは目を輝かせて返事をする。その言葉にアステルの心は一瞬ドキリとした。
「弟子ですか……エルフの薬はエルフじゃないと作れませんよ?」
アステルは懸念を口にする。エルフ以外の者にはその特有の技術や感覚を教えても同じ薬は作れないという現実があったがだんだん落ち着きを取り戻してきたアリサは首を横に振りながら続けた。
「この国に薬師を目指すエルフの子供がいるんですよ。」
「えっ?」
アステルは驚きの声を上げる。この国での純血のエルフの人口はとても少ないためエルフの子供を見たことがない。信じられない話だった。
「その子、半年前に保護されたんです。故郷のエルフの里が燃やされて……両親も行方不明で……」
アリサの言葉が重く響くと以前、新聞で読んだ文字が脳裏に浮かぶ。アステルの故郷とは別の地方のエルフの里が何者かによって火を付けられて攫われたり殺されて壊滅したという悲劇的な報道だった。
「ご両親は薬師だったので一応知識はあるそうなのです。実際に作ったことはなく、設備もないので未経験ですが」
その言葉に自身の過去を重ねずにはいられなかった。彼女もまた家族を失い、一人で薬を作る苦労を強いられてきたのだ。
「お給金も安くていいそうなのでアステルさんがよろしければ」
「ですが夫はダークエルフで娘はそのハーフなのですが……その子は平気ですか?」
アステルの声には不安が滲んでいた。エルフはダークエルフを拒絶することが多く、アステルのような特殊な環境で育ったエルフでなければその傾向は強い。
「ご存知ないのですか?その子を保護したのがシリウスさんですよ。」
「え、そうだったんですか……」
アリサの言葉にアステルは驚きの表情を浮かべる。
「それに本人からも平気だと言っています」
「それならいいのですが……」
アステルは少し考えた後、心の中の不安を押し殺すように頷いた。もしかしたら、彼女の住んでいた故郷のエルフとは異なる価値観を持っているかもしれない。ダークエルフに対して友好的な心を持ったエルフの子供なのかもしれない。
決意を胸に抱え、アステルはアリサの提案を承諾することにした。
◆
約束の日の昼頃、静かな家の中に扉をノックする音が響いた。アステルは心臓が高鳴るのを感じながら扉を開けるとそこには一人の少年エルフが立っていた。
彼はまるで光をまとったかのような美しい存在で尖った耳はエルフであるこ とを強調している。金色に輝く髪は太陽の光を受けて煌めく穀物のようで麦のように肩に流れ落ちている。その髪の隙間から覗く瞳は空色に近い淡い青で少しの緊張感を孕んでいた。服装は淡い緑色の柔らかいコットンシャツを着ており、袖は軽くロールアップされている。
「いらっしゃいませ。上がって」
アステルが優しく声をかけると少年は軽く頭を下げて家の中に足を踏み入れた。
キャロラインが初めて来た時に使った応接室に案内をし、紅茶と焼き菓子をトレイに載せて少年の前に差し出した。
「どうぞ」
「ありがとうございます……」
紅茶と焼き菓子が目の前に置かれると少年は真摯な眼差しでアステルを見つめた。
「私の名前はアステルです。これからよろしくね」
アステルが自己紹介すると少年も頷きながら答える。
「僕の名前はケルヴィンです」
前もって名前を聞いていたがアステルが自己紹介をすると少年も名前を教えてくれた。
ケルヴィンは昔のシリウスに似た部分を感じる。常に冷静でいようとしている表情にはどこか彼自身の苦い経験を抱えているような影が見え隠れしていた。
「ここにはダークエルフの夫とそのハーフの娘がいるけど本当に大丈夫?」
アステルが慎重に尋ねると「……はい」と答えたケルヴィンは一瞬顔を引きつらせたがすぐに元の表情に戻る。その姿を見てアステルは不安を感じつつも彼を作業場に案内した。
「ここが薬を作る部屋です」
扉を開けると、部屋の中には薬品や各種薬草が入った瓶が並び、香りが漂っていた。
「すごい……」
ケルヴィンは目を輝かせながらその光景を見渡した。彼の表情は、驚きと興奮で満ちていた。
「ケルヴィンはどこまで薬の作り方を教えてもらえたの?」
「まだ雑学だけです……薬の作り方は直接教えてもらう前に……」
彼の声には、少しの悲しみが混じっていた。
「そう……じゃあ、さっそく作ってみましょうか。知識があるなら後は見て、直接作って覚えるだけだと思うから」
「はい」
辛い記憶を思い出させる前にアステルがそう言うとケルヴィンは小さく頷いた。
「まずは薬草を……」
アステルが薬作りの手本を見せるとケルヴィンもそれに続いて作業を始めた。彼の手つきはまだぎこちなく、あまり手際が良いとは言えなかったがその真剣な眼差しには希望が宿っていた。
だが、一生懸命な姿を見ていると将来性を感じずにはいられなかった。ケルヴィンの作業はまるで新しい命が芽生える瞬間のような期待をもたらしていた。
回復薬を作ることは決して簡単ではない。数種類の薬草の特性を理解し、売られている薬の瓶一本の効果を均一にすることが求められる。
そのためアステルはまずケルヴィンに基本的な知識をしっかりと伝え、安定した薬を作れるようになるまで彼のサポートをすることに決めた。
最初は緊張した表情を浮かべていたが作業を続けるうちに彼の動きは次第に滑らかになり、手際も良くなっていった。
(この子、才能があるかも)
アステルは心の中で思った。ケルヴィンは飲み込みが早く、どんどんと要領をつかんでいく。薬草の香りに包まれながら彼の集中した表情が次第に自信に満ちていくのを見て、アステルは師としての嬉しさを感じた。
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