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反抗期編
星祭り
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星祭りの日がやってきた。この日は家族や恋人と過ごすもので、国全体が浮ついた雰囲気に包まれる。
午前中は仕事のあるシリウスだったが初めての家族イベントだからと言われて午後になるとガレッドに快く送り出された。
私服に着替えたシリウスは妻子と待ち合わせをした場所に行く。そこは以前、ステラと一緒にホットドッグを食べたベンチだ。
そこにはすでにアステルとステラが座っており、いつにも増して二人は綺麗だった。
「シリウス、お疲れ様」
「お、お父さん」
シリウスの姿を見つけてアステルが笑顔で立ち上がり、同時にまだ「お父さん」と言い慣れないステラが恥ずかしそうに顔を赤らめながらシリウスを呼ぶ。シリウスはそんなステラを見て愛おしくなる。
「綺麗だな、二人とも」
「ふふっ、ありがとう」
アステルはこの前買った新しいワンピースを着ており、少し気恥ずかしそうにしている。
ステラは動きやすいようにと膝丈ほどのピンク色のスカートに白いノースリーブのブラウスを着ており、腕には可愛らしい白い花のブレスレットを付けていた。
そして三人で手を繋いで広場に向かった。街の広場に着くとたくさんの出店が出ている。
食べ物の屋台はもちろん、アクセサリーなどの小物を売る店もあり、子供連れの家族だけでなくカップルも多くいた。
色んな種族がいる国とはいえアステル達の姿は目立っており、シリウスはいつも以上に周りからの視線を感じるが、いつか自分達の存在が普通になればいいと思いながら前向きに考える。
「何か食べたいものはあるか?」
「あれ、なに?」
シリウスがステラに尋ねると、娘が指差した先にはアイス屋があった。前の村にいた時には無かった食べ物なので興味津々だ。
「何味がいい?」
ステラを抱き上げて好きなものを選ばせると、ステラは「うーん」と悩ましげにいろんな色のアイスを見つめている。
「……そうだな、ミント味にするか?」
「ステラ、ハーブとミント嫌い」
ステラの好みはわからないが、母のアステルと同じものを好むのかもしれない。鮮やかな緑色のアイスを勧めようとするとステラは露骨に嫌そうな顔を見せた。
「ステラは苺とお肉が好きなのよね」
アステルが横から口を挟むと、ステラは「うん」と大きく首を縦に振る。それを見たシリウスは困った表情を浮かべ、アステルがクスリと笑う。
人が少ない所でステラに買ったばかりの苺のアイスを手渡すと、それを受け取ってステラは早速口に運ぶ。ステラはアイスを食べるのは初めてだったが、冷たくて甘くてほんのりと酸味もあり美味しかった。
「お母さんってね。ハーブが好きなの、変だよね」
「変だな」
「えっ」
アイスを食べながらステラがシリウスに同意を求めるとシリウスも笑いながら即答する。
二人の会話を聞いてアステルはショックを受けたような表情を浮かべた。
そしてアイスを食べ終えるとステラがチラリと肩車をしている男の子と父親の姿を羨ましそうに見つめる。
「肩車……」
「高い所は平気か?」
「わかんない……」
「そうか、怖かったら言ってくれ」
「うん」
シリウスは屈むと肩にステラを乗せる。するとステラは恐る恐る地面を見た。
「……わっ……」
「ステラ、大丈夫?」
アステルが心配そうに聞くとステラは「大丈夫」と答えて父の頭にギュッとしがみつく。
「大丈夫そうだな」
シリウスはステラが落ちないように注意しながら立ち上がる。ステラは必死にしがみついており、その姿が可愛いとアステルは思いながら見守った。
それからしばらく歩いていると空が暗くなり始めるとステラが不安げな声を上げる。
「お空が暗いよ……」
夜になる。ダークエルフの姿になってしまうから外には出てはいけないと普段から言い聞かせてあったステラは夜に外に出てしまったので怯えているのだ。
「この国なら大丈夫よ。ダークエルフでも怒られたりはしないから……」
アステルがシリウスに寄り添いながらそう言うとステラは安心してまたシリウスの頭を掴む。
しばらくすると、月明かりに照らされながらステラの髪と肌と目の色が母の色から父の色の銀髪で褐色した肌の赤い瞳へと変わっていき、周りの人達が驚きの声を上げながら彼女の姿を見てきた。
「シリウス様と同じ色になった……」
「血の繋がりあったのね……」
「お父さん、降りる。恥ずかしい」
そんな声を聞きながらシリウスはステラを下ろすとステラはすぐにアステルの腕の中に飛び込んだ。
アステルが優しく抱きしめて頭を撫でてあげるとステラは恥ずかしがるように顔を隠す。
「お前、本当のシリウスの子供だったんだ」
聞き覚えのある声がして顔を上げると人混みをかき分けながら近づいてきたのはレオだった。後ろからは母親のマキもついてきて、アステル達に会釈をする。
「ステラ、夜になるとお父さんと同じになるの」
ステラが強気に答えるとレオは悔しげに歯ぎしりする。
「そんなのズルいなぁ……くそっ!」
「レオ、そうじゃないでしょ?」
マキが息子を叱るとレオはハッとした表情を浮かべて恥ずかしそうに頬を掻いた。
「ごめん……この前は俺がわるかったよ」
「いいよ。ステラ、強い子だから」
ステラがアステルに抱きついたまま笑顔で答えると、シリウスとアステルは顔を見合せて笑った。
◆
その後は露店を見て周り、ステラの欲しがる星のネックレスを買ってあげたリしながら時間は過ぎていった。
帰り道、ステラは疲れたのかシリウスが背負うことにし、アステルが隣を歩く。
空を見上げると満点の星空が広がっている。
家族で過ごす初めてのイベントに、ステラが心の底から楽しそうにしている姿に、アステルはなんだか急に涙腺が緩んでしまった。
「アステル?」
シリウスが異変に気づいて立ち止まると、ステラも不思議そうな表情を浮かべる。
「どうした?」
「ううん、なんでもない」
慌てて目元を拭うと、ステラはシリウスの背中から降りてアステルの隣を歩き出す。
「お母さん、手、ぎゅしていい?」
「うん」
ステラは手を握り、アステルの顔を見上げた。
「お父さんと一緒なのね。髪と肌と目とハーブが嫌いなのと……あともう一個あったの」
「もう一個?」
アステルがオウム返しに尋ねるととステラは幸せそうな笑顔を浮かべる。
「お母さんが大好きなこと」
その言葉を聞いてアステルの目から一筋の涙が流れた。
「お母さん、泣いているの? どこか痛いの?」
「違うの、嬉しくて泣いちゃったの」
ステラが心配するとアステルは優しい声で答えた。シリウスはその光景を見ながらステラの銀髪を優しく撫でる。ステラが忘れてしまってもアステルとシリウスはこの日の出来事を忘れることはないだろう。何十年も何百年もその先もずっと。
午前中は仕事のあるシリウスだったが初めての家族イベントだからと言われて午後になるとガレッドに快く送り出された。
私服に着替えたシリウスは妻子と待ち合わせをした場所に行く。そこは以前、ステラと一緒にホットドッグを食べたベンチだ。
そこにはすでにアステルとステラが座っており、いつにも増して二人は綺麗だった。
「シリウス、お疲れ様」
「お、お父さん」
シリウスの姿を見つけてアステルが笑顔で立ち上がり、同時にまだ「お父さん」と言い慣れないステラが恥ずかしそうに顔を赤らめながらシリウスを呼ぶ。シリウスはそんなステラを見て愛おしくなる。
「綺麗だな、二人とも」
「ふふっ、ありがとう」
アステルはこの前買った新しいワンピースを着ており、少し気恥ずかしそうにしている。
ステラは動きやすいようにと膝丈ほどのピンク色のスカートに白いノースリーブのブラウスを着ており、腕には可愛らしい白い花のブレスレットを付けていた。
そして三人で手を繋いで広場に向かった。街の広場に着くとたくさんの出店が出ている。
食べ物の屋台はもちろん、アクセサリーなどの小物を売る店もあり、子供連れの家族だけでなくカップルも多くいた。
色んな種族がいる国とはいえアステル達の姿は目立っており、シリウスはいつも以上に周りからの視線を感じるが、いつか自分達の存在が普通になればいいと思いながら前向きに考える。
「何か食べたいものはあるか?」
「あれ、なに?」
シリウスがステラに尋ねると、娘が指差した先にはアイス屋があった。前の村にいた時には無かった食べ物なので興味津々だ。
「何味がいい?」
ステラを抱き上げて好きなものを選ばせると、ステラは「うーん」と悩ましげにいろんな色のアイスを見つめている。
「……そうだな、ミント味にするか?」
「ステラ、ハーブとミント嫌い」
ステラの好みはわからないが、母のアステルと同じものを好むのかもしれない。鮮やかな緑色のアイスを勧めようとするとステラは露骨に嫌そうな顔を見せた。
「ステラは苺とお肉が好きなのよね」
アステルが横から口を挟むと、ステラは「うん」と大きく首を縦に振る。それを見たシリウスは困った表情を浮かべ、アステルがクスリと笑う。
人が少ない所でステラに買ったばかりの苺のアイスを手渡すと、それを受け取ってステラは早速口に運ぶ。ステラはアイスを食べるのは初めてだったが、冷たくて甘くてほんのりと酸味もあり美味しかった。
「お母さんってね。ハーブが好きなの、変だよね」
「変だな」
「えっ」
アイスを食べながらステラがシリウスに同意を求めるとシリウスも笑いながら即答する。
二人の会話を聞いてアステルはショックを受けたような表情を浮かべた。
そしてアイスを食べ終えるとステラがチラリと肩車をしている男の子と父親の姿を羨ましそうに見つめる。
「肩車……」
「高い所は平気か?」
「わかんない……」
「そうか、怖かったら言ってくれ」
「うん」
シリウスは屈むと肩にステラを乗せる。するとステラは恐る恐る地面を見た。
「……わっ……」
「ステラ、大丈夫?」
アステルが心配そうに聞くとステラは「大丈夫」と答えて父の頭にギュッとしがみつく。
「大丈夫そうだな」
シリウスはステラが落ちないように注意しながら立ち上がる。ステラは必死にしがみついており、その姿が可愛いとアステルは思いながら見守った。
それからしばらく歩いていると空が暗くなり始めるとステラが不安げな声を上げる。
「お空が暗いよ……」
夜になる。ダークエルフの姿になってしまうから外には出てはいけないと普段から言い聞かせてあったステラは夜に外に出てしまったので怯えているのだ。
「この国なら大丈夫よ。ダークエルフでも怒られたりはしないから……」
アステルがシリウスに寄り添いながらそう言うとステラは安心してまたシリウスの頭を掴む。
しばらくすると、月明かりに照らされながらステラの髪と肌と目の色が母の色から父の色の銀髪で褐色した肌の赤い瞳へと変わっていき、周りの人達が驚きの声を上げながら彼女の姿を見てきた。
「シリウス様と同じ色になった……」
「血の繋がりあったのね……」
「お父さん、降りる。恥ずかしい」
そんな声を聞きながらシリウスはステラを下ろすとステラはすぐにアステルの腕の中に飛び込んだ。
アステルが優しく抱きしめて頭を撫でてあげるとステラは恥ずかしがるように顔を隠す。
「お前、本当のシリウスの子供だったんだ」
聞き覚えのある声がして顔を上げると人混みをかき分けながら近づいてきたのはレオだった。後ろからは母親のマキもついてきて、アステル達に会釈をする。
「ステラ、夜になるとお父さんと同じになるの」
ステラが強気に答えるとレオは悔しげに歯ぎしりする。
「そんなのズルいなぁ……くそっ!」
「レオ、そうじゃないでしょ?」
マキが息子を叱るとレオはハッとした表情を浮かべて恥ずかしそうに頬を掻いた。
「ごめん……この前は俺がわるかったよ」
「いいよ。ステラ、強い子だから」
ステラがアステルに抱きついたまま笑顔で答えると、シリウスとアステルは顔を見合せて笑った。
◆
その後は露店を見て周り、ステラの欲しがる星のネックレスを買ってあげたリしながら時間は過ぎていった。
帰り道、ステラは疲れたのかシリウスが背負うことにし、アステルが隣を歩く。
空を見上げると満点の星空が広がっている。
家族で過ごす初めてのイベントに、ステラが心の底から楽しそうにしている姿に、アステルはなんだか急に涙腺が緩んでしまった。
「アステル?」
シリウスが異変に気づいて立ち止まると、ステラも不思議そうな表情を浮かべる。
「どうした?」
「ううん、なんでもない」
慌てて目元を拭うと、ステラはシリウスの背中から降りてアステルの隣を歩き出す。
「お母さん、手、ぎゅしていい?」
「うん」
ステラは手を握り、アステルの顔を見上げた。
「お父さんと一緒なのね。髪と肌と目とハーブが嫌いなのと……あともう一個あったの」
「もう一個?」
アステルがオウム返しに尋ねるととステラは幸せそうな笑顔を浮かべる。
「お母さんが大好きなこと」
その言葉を聞いてアステルの目から一筋の涙が流れた。
「お母さん、泣いているの? どこか痛いの?」
「違うの、嬉しくて泣いちゃったの」
ステラが心配するとアステルは優しい声で答えた。シリウスはその光景を見ながらステラの銀髪を優しく撫でる。ステラが忘れてしまってもアステルとシリウスはこの日の出来事を忘れることはないだろう。何十年も何百年もその先もずっと。
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