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国民のために何ができるのか
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国内ではミスリルが女王の手によって大量に手に入ったと言う情報が出回っていた。
それを流したのはセイラであり、彼女はふくの思惑と反対の事をしていた。
「もう、ふく様が悪者になる必要はないですよ……。十分貴女は苦しんだと思います。それ以上は傷つく必要がありません……」
そう呟きなが、町中を歩いていた。
セイラは町中を歩き、国民の生活を見ていた。
住居は種族によってまちまちだが、一番良い住処は洞穴であり、運悪く岩山や砂山が手に入らなかった種族や掘る力や爪を持たぬものは申し訳程度の岩で壁を作った貧相な住宅ばかりであった。
それを住宅といっていいのか不明だが、鳥人族も似たようなものの巣を作ることしかできないため、セイラは住宅と言い張ることしかできなかった。
そして、生活レベルは非常に差があった。
元素魔法【火】と【水】を使える者は非常に快適な生活ができているようであった。
特にヴォルフの魔法の影響で凍土と化しているこの世界に【火】を扱えることは非常にアドバンテージであった。
暖を取ることも、調理をすること(肉を焼くぐらいしかしない)ができるため、火種を作る必要がなく、扱えないものは必死に火をおこし、それが途絶えないようにしていた。
水に至っても【飲水】の魔法で飲み水を作ることができるので、水がなくなる度に川まで水を汲みに行かなくてもよい。
便利な一方、使えないと重労働である。
セイラの住んでいた国では魔道具を作っていたため、国民が等しく魔道具を扱って水や火の確保ができていた。
獣の国は魔道具の文化が発達しておらず、水をくむのが面倒ならば川沿いに住めばよいという思考であった。
それはそれで、下流に住むものに汚水を流すことにつながるため、トラブルの種となっていた。
ヴォルフのこともあるが、正直この国の生活基盤を整えていく必要が早急であると考える。
セイラは頭を悩ませながら町中を歩いていくと見慣れた姿を発見し、足って駆け寄る。
「ポチおさん、何をされているのですか?」
「あ、セイラちゃん。今、火の魔道具の実演をして、普及させていたんだ。みんな頑張って火おこししてるじゃん?魔道具使えば簡単にできるよってお手本してたってわけ」
セイラは驚いていた。
この世界には商売という概念は野狐族にしかなく、物を得るためには自分で獲りに行くか、作るか、盗るのどれかであった。
ポチおはその三択ではなく『譲る』という行動であった。
弱肉強食の世界であるはずのこの世界に新たな風を取り込んできたこの男の行動に感動する。
「??どしたの?」
「い、いえ……。あなたのようなヒトは千年生きてきましたが、一人も見たことがありませんでした。やはり、生まれ育った環境が大切なようですね」
ポチおとにゃんが地上の世界から来た元ニンゲンであることは機密事項であるため、セイラは言葉を選んで話す。
ポチおがニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべながら見てくることに苛立ちを覚え、城に帰ったら説教をすると心に決める。
山羊族で恰幅の良い女性が魔道具を持って訊ねる。
「なあセイラ様。本当にこの魔道具ってものは誰でも扱うことができるのかい?」
「はい。わたくしたち鳥人族に伝わるもので、魔力を流してあげることで魔道具に封印された魔法を誰でも扱えられます。まぁ、使いすぎると壊れてしまうので、壊れたら新しいものを作らないといけませんが、それでも生活は楽になれると思いますよ?」
「じゃあさ!じゃあさ!【水】の元素魔法も封印した魔道具もあるの?」
ネズミ族の少年が身を乗り出して、目を輝かせて質問をすると、セイラはニコリと笑みを浮かべて答える。
「ええ!【飲水】を封じ込めれば使えるようになりますよ。」
「やったー!これで水を汲みに行かなくて済むよー!!」
本当に嬉しかったようで、ピョンピョンと跳ねながら他の仲間たちにも教えていく。
(さて……どう普及しましょうか……)
「そこの少年。ちょっとこっち来て?」
ポチおは先ほどのネズミ族の少年を招く。
魔道具と桶を取り出し、魔道具を持たせる。
急須のような形をした魔道具はミスリルの塊であり、急須の形に削り出したものだった。
実際には魔力を込めると素材が柔らかくなる特性を活かして叩いて形を整えたものである。
空洞もなく、金属の塊を見て少年は首を傾げる。
ポチおはニカっと笑い、説明をする。
「魔力をこの魔道具にこめてごらん?」
言われるように魔力を込めると、先端から水が流れ出し、少年は驚く。
そして、穴もないところから出てくるのが面白かったのか、さらに魔力を込めて大量の水を生み出した。
もちろん、後に魔力切れになったのは言うまでもない。
魔力切れは日常茶飯事ではないが、狩りをする者には付きものであり、国民には知られているので特に少年が倒れたことに何も問題はなかった。
ポチおはヘラヘラと笑いながらぼそっと呟く。
「魔道具の見返りが貰えたらいいなぁ……」
セイラは眉間にシワを寄せてポチおを睨む。
その表情に、ヘラヘラとした笑みは引き攣ったものに変わる。
「見返りなんてありませんよね!?ね?」
「は、はい……国民の生活基盤活性のため無償で譲渡いたします……」
セイラの怒気に圧倒され、渋々、魔道具を無償譲渡することになったのである。
こうして、国民の生活は少しずつ良くなっていくのであった。
それを流したのはセイラであり、彼女はふくの思惑と反対の事をしていた。
「もう、ふく様が悪者になる必要はないですよ……。十分貴女は苦しんだと思います。それ以上は傷つく必要がありません……」
そう呟きなが、町中を歩いていた。
セイラは町中を歩き、国民の生活を見ていた。
住居は種族によってまちまちだが、一番良い住処は洞穴であり、運悪く岩山や砂山が手に入らなかった種族や掘る力や爪を持たぬものは申し訳程度の岩で壁を作った貧相な住宅ばかりであった。
それを住宅といっていいのか不明だが、鳥人族も似たようなものの巣を作ることしかできないため、セイラは住宅と言い張ることしかできなかった。
そして、生活レベルは非常に差があった。
元素魔法【火】と【水】を使える者は非常に快適な生活ができているようであった。
特にヴォルフの魔法の影響で凍土と化しているこの世界に【火】を扱えることは非常にアドバンテージであった。
暖を取ることも、調理をすること(肉を焼くぐらいしかしない)ができるため、火種を作る必要がなく、扱えないものは必死に火をおこし、それが途絶えないようにしていた。
水に至っても【飲水】の魔法で飲み水を作ることができるので、水がなくなる度に川まで水を汲みに行かなくてもよい。
便利な一方、使えないと重労働である。
セイラの住んでいた国では魔道具を作っていたため、国民が等しく魔道具を扱って水や火の確保ができていた。
獣の国は魔道具の文化が発達しておらず、水をくむのが面倒ならば川沿いに住めばよいという思考であった。
それはそれで、下流に住むものに汚水を流すことにつながるため、トラブルの種となっていた。
ヴォルフのこともあるが、正直この国の生活基盤を整えていく必要が早急であると考える。
セイラは頭を悩ませながら町中を歩いていくと見慣れた姿を発見し、足って駆け寄る。
「ポチおさん、何をされているのですか?」
「あ、セイラちゃん。今、火の魔道具の実演をして、普及させていたんだ。みんな頑張って火おこししてるじゃん?魔道具使えば簡単にできるよってお手本してたってわけ」
セイラは驚いていた。
この世界には商売という概念は野狐族にしかなく、物を得るためには自分で獲りに行くか、作るか、盗るのどれかであった。
ポチおはその三択ではなく『譲る』という行動であった。
弱肉強食の世界であるはずのこの世界に新たな風を取り込んできたこの男の行動に感動する。
「??どしたの?」
「い、いえ……。あなたのようなヒトは千年生きてきましたが、一人も見たことがありませんでした。やはり、生まれ育った環境が大切なようですね」
ポチおとにゃんが地上の世界から来た元ニンゲンであることは機密事項であるため、セイラは言葉を選んで話す。
ポチおがニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべながら見てくることに苛立ちを覚え、城に帰ったら説教をすると心に決める。
山羊族で恰幅の良い女性が魔道具を持って訊ねる。
「なあセイラ様。本当にこの魔道具ってものは誰でも扱うことができるのかい?」
「はい。わたくしたち鳥人族に伝わるもので、魔力を流してあげることで魔道具に封印された魔法を誰でも扱えられます。まぁ、使いすぎると壊れてしまうので、壊れたら新しいものを作らないといけませんが、それでも生活は楽になれると思いますよ?」
「じゃあさ!じゃあさ!【水】の元素魔法も封印した魔道具もあるの?」
ネズミ族の少年が身を乗り出して、目を輝かせて質問をすると、セイラはニコリと笑みを浮かべて答える。
「ええ!【飲水】を封じ込めれば使えるようになりますよ。」
「やったー!これで水を汲みに行かなくて済むよー!!」
本当に嬉しかったようで、ピョンピョンと跳ねながら他の仲間たちにも教えていく。
(さて……どう普及しましょうか……)
「そこの少年。ちょっとこっち来て?」
ポチおは先ほどのネズミ族の少年を招く。
魔道具と桶を取り出し、魔道具を持たせる。
急須のような形をした魔道具はミスリルの塊であり、急須の形に削り出したものだった。
実際には魔力を込めると素材が柔らかくなる特性を活かして叩いて形を整えたものである。
空洞もなく、金属の塊を見て少年は首を傾げる。
ポチおはニカっと笑い、説明をする。
「魔力をこの魔道具にこめてごらん?」
言われるように魔力を込めると、先端から水が流れ出し、少年は驚く。
そして、穴もないところから出てくるのが面白かったのか、さらに魔力を込めて大量の水を生み出した。
もちろん、後に魔力切れになったのは言うまでもない。
魔力切れは日常茶飯事ではないが、狩りをする者には付きものであり、国民には知られているので特に少年が倒れたことに何も問題はなかった。
ポチおはヘラヘラと笑いながらぼそっと呟く。
「魔道具の見返りが貰えたらいいなぁ……」
セイラは眉間にシワを寄せてポチおを睨む。
その表情に、ヘラヘラとした笑みは引き攣ったものに変わる。
「見返りなんてありませんよね!?ね?」
「は、はい……国民の生活基盤活性のため無償で譲渡いたします……」
セイラの怒気に圧倒され、渋々、魔道具を無償譲渡することになったのである。
こうして、国民の生活は少しずつ良くなっていくのであった。
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