♀→♂への異世界転生~年上キラーの勝ち組人生、姉様はみんな僕の虜~

高嶺 蒼

文字の大きさ
319 / 545
第三→四部 旅路、そして新たな生活

第285話 王都への旅路はお約束がいっぱい⑧

しおりを挟む

 「だ、大丈夫?」


 はあはあ、と肩で息をするジェスに、シュリは恐る恐る声をかける。


 「ら、らいじょうぶら。しょれより、捕らえられたじょしぇい達は?」


 若干話しにくそうにそう問いかけ、ジェスはきりりと表情を引き締めた。


 「う、うん。こっち」


 シュリは、さっきのはなんだったんだろう、と思いつつ、ジェスの前に立って女性達を隠した部屋へ彼女を連れて行く。
 シュリが魔法で閉じた土壁の前に立つと、


 「ん? 行き止まりのようだぞ?」


 そう言ってジェスが首を傾げる。


 「大丈夫。彼女達はこの向こうだよ」


 シュリは言いながら手の平を土壁にかざした。
 すると、シュリの作った土壁は一瞬で崩れ落ち、その向こうに怯えた表情でこちらを見る女性達の姿が見えた。

 強ばった表情で互いを抱きしめあう彼女達を安心させるように、シュリが柔らかく微笑む。
 するとまるで憑き物が落ちたかのように彼女達の表情が目に見えて柔らかくなり、それを見たジェスは目を見張った。


 「シュリ?」

 「ん?」

 「今、なにかやったのか?」

 「なにかって……ただ、笑っただけだよ?」


 そう言ってジェスの顔を見上げたシュリはもう一度ニコリと笑い、それからゆっくりした足取りで彼女達の方へと向かう。
 そして、


 「助けにきたからもう大丈夫だよ。悪いモノはみんな退治したから安心して。これから順番に身体をキレイにして、身体の状態を見ていくね」


 そう言うと、シュリは手の平から適温に調整した温水を出し、一人一人丁寧に身体を清めていった。
 清め終わった女性は、ジェスと実体化したグランが清潔な布で拭いてやる。
 そして一人一人にシャイナに頼んで念の為に用意してきた簡易なワンピースを渡して着替えて貰った。
 そうしてやっと、彼女達は人心地付いたような、穏やかな顔になる。

 そして、シュリが地面に敷いた柔らかで厚みのある敷物の上にそれぞれ腰を下ろし、遠慮がちながら言葉を交わしはじめた。
 そんな彼女達を見ながら、シュリは難しい顔をして腕を組む。

 さっき身体を清めながら、[状態診察]のスキルで彼女達の状態を簡易に確認していったのだが、すべての女性が状態異常を発症していた。
 一体どんな状態異常か。
 それは、[ゴブリンの種(受精)]ないしは[ゴブリンの種(胎児)]というものだった。

 女達の腹を見る限り、幸いなことに出産間近まで進行しているモノは無さそうだが、このまま放置すればいずれはそうなる。
 ゴブリンに種付けされた場合、母親の種族が何であろうと、生まれてくるのは純粋なゴブリンだ。
 そう言う意味では、妊娠したというよりは腹に寄生されたと言う方が正しいかもしれない。
 こうして状態異常に分類されているくらいだし。

 さて、どうしようか。
 シュリは眉間に可愛らしいしわを寄せて考え込む。
 そのしわに、ジェスがうっとり見とれていることにも気づかないまま。

 ちなみに、グランはもうシュリの中へ戻っている。
 実体をとってシュリの側にいるのも幸せだが、シュリの中にいると、全身くまなくシュリに包み込まれている感じがして何とも言えない幸福感なのだそうだ。
 精霊達がむやみやたらと実体化せずにシュリの中でのんびり過ごしているのには、そんな理由もあるかららしい。
 まあ、頻繁に実体化されるのも大変だから、ちょうど良かったけど。

 しかし、今はそんなことより、腹にゴブリンの種を植え付けられてしまった女性達の事である。
 どうにかしておかなければ、いずれ彼女達はチビゴブリンを出産せねばならなくなってしまう。
 彼女達の精神衛生の為にも、それはどうにかして避けたい事態だった。


 (ん~と、ゴブリンに種付けされちゃった女性の治療法ってどんなだったかな。状態異常ってくくりにはいってるから、治療魔法とか浄化の魔法でいけるのかなぁ……?)


 これって、[癒しの体液]でどうにかなるたぐいのものなのかな? と首を傾げ、ステータス画面を開いて確認しようとした時、


・スキル[清めの体液]を取得しました!


 久しぶりにいつもの奴がやってきた。


 (清める系のスキルかぁ。正直ありがたいよ? ありがたいけどさぁ……体液じゃなくてもいいと思うんだよ……)


 なんでなんだ、と頭を悩ませつつ、ステータス画面からスキルを確認する。


[清めの体液]文字通り、清めの効果がある体液。状態異常に強い効果を発揮する。聖水なんて目じゃない! 状態異常なら何でもござれ。呪いも悪魔も吸血鬼も一瞬でとろけちゃう。あなたのキスで、魔物もイ・チ・コ・ロ♪

 (イチコロって……。いつも思うけど、僕のステータスの説明機能ってどこかおかしいよね……。ま、まあ、重要なのはそこじゃないし、状態異常に効果があるって事さえ分かれば問題ないけどさ。それにしても、僕の体液って……)


 シュリはほんのり遠い目をする。
 癒し効果のある体液ってだけで十分に変だったのに、そこに更に聖水も裸足で逃げ出す浄化効果まで加わってしまった。
 どこかのマッドサイエンティストにバレたら、人体実験をされてしまうレベルではないだろうか。

 上手くやったら、新興宗教の教祖様にだってなれるかもしれない。
 教祖様の体液を口にしただけであら不思議。身体の不調も呪いもキレイさっぱり消えてなくなります、みたいな。
 そんなつもりは欠片もありはしないけれど。


 (望まない人体実験を避けるために、出来れば僕の体液の秘密は守っておきたい……でも、それならどうやってみんなに僕の体液を飲ませよう?)


 考え事をしながら、とりあえずみんなに水を飲ませてあげようと、水の入った皮袋を取り出し、シュリははっとしたように目を見開いた。
 これを聖水って事にして、口移しで飲ませればいいんじゃなかろーか、と。
 そうすれば、彼女達一人一人にシュリの体液を自然に摂取させることが出来る。


 (よし、そうしよう!)


 シュリは気合いを入れるように小さな拳をきゅっと握り、水の入った皮袋を片手に、女性達の方へいそいそと近寄った。
 とはいえ、いきなり聖水を口移しで飲めというのも乱暴である。
 まずはコミュニケーションから、とシュリは彼女達の前にちょこんと座り込んだ。
 そして、


 「僕の名前はシュリ。で、あっちのおねーさんはジェス。ここを無事に脱出して近くの村に戻るまで、僕とジェスがおねーさん達を守るから、なにも心配しなくていいからね」


 簡単な自己紹介と説明と共に彼女達の顔を見上げ、にこっと笑いかける。
 その瞬間、おねーさん達の頬が一人の例外もなく鮮やかな赤に色づいた。
 なんだか鼻息も荒くなった気がしたが、それは多分、気のせいだろう。

 彼女達は心身共に傷つき疲れ切っており、目の前にどんな魅力的な男(少年)が現れようとも、発情している余裕なんてないはずである。
 シュリは己にそう言い聞かせ、潤んだ瞳で見つめてくるおねーさん達から目を逸らさず続けた。


 「脱出の前に、おねーさん達の治療をしないといけないんだ。状態異常もあるから、それも治しておかないといけないし。僕が治療をしようと思うんだけど、イヤじゃない、かな?」


 小首を傾げて問いかけると、胸を押さえてうずくまるおねーさんが大量に生産された。
 困った顔でジェスの方を伺うと、彼女は胸こそ押さえていなかったものの、何故か鼻を抑えてうつむいて震えている。
 今の彼女からは有効な助言を得られそうに無かった。
 そんなわけで、ジェスの助けを得られなかったシュリは、何故か悶えるおねーさん達に一人で立ち向かう選択肢しかなくて。


 (まあ、なるようになるでしょ)


 開き直ったシュリは、一番手前にいた一人のおねーさんの手を取り、そっと自分の方へと引き寄せる。
 そしてその頬に手を添えてうつむいていた顔を上向かせ、その瞳をまっすぐにのぞき込んだ。


 「じゃあ、おねーさんから治療、しようかな」

 「は、はひ……」


 一応の同意は得られた。
 シュリは手に持っていた聖水をあおってから、もう一度おねーさんを見上げ、にこっと笑う。
 心配いらないよ、と伝えるように。
 そして、ぼふっと顔が真っ赤になったおねーさんの唇に、有無をいわせず己の唇を押し当てた。

 驚きすぎていたせいだろうか。
 おねーさんの唇はうっすらと開いており、それを好機とみたシュリは舌でそれを更にこじ開けつつ、口の中に溜まっていた液体を流し込む。
 聖水という建前を持つ水を。

 とはいってもただの水ではない。
 それは、お清め&癒し効果抜群のシュリの体液がふんだんに混ざった高性能な水に見事な変貌を遂げていた。

 おねーさんはいきなり流し込まれた液体に驚いたようだったが、吐き出すことなく素直に飲み込んでくれた。
 それを確認したシュリは、すかさず[状態診察]でおねーさんの状態をチェックする。
 すると、おねーさんに付与されていたはずの[状態異常・ゴブリンの種]は見事に消えてなくなっていた。


 (良かった。これで安心だ。それにしても、すごいな。僕の体液……)


 清めるだけでなく癒し効果も含まれるから、失った体力と全身の小さい傷くらいなら恐らく回復できているはずだ。
 改めて己の体液のとんでもなさに若干引きつつも、シュリは今回の状態異常にしっかり己の体液が効果を出せた事にほっと息をついた。

 そして、任務終了とばかりに、最初のおねーさんから離れようとした時、そうはさせじとばかりにおねーさんの手が、シュリの後頭部をがっと掴んだ。
 そして、シュリが抵抗する間もなく、今度はおねーさんの舌がシュリの中へ侵入してくる。


 「んぅ~!?」


 手をバタバタさせるシュリを押さえ込んで、彼女の舌は存分にシュリを堪能する。
 しばらくそうした後、うっとりした顔で一旦顔を離した彼女は再びシュリの唇を堪能しようと顔を近づけたが、その願いは叶わなかった。

 横から伸びてきた手に素早くその身柄を拘束されたシュリは、休む間もなく別のおねーさんに唇を奪われていた。
 荒々しくねじ込まれた舌に応えつつ、目だけで周囲の様子を伺う。
 そこに飢えた獣達が目を爛々とさせて待ちかまえる様子を見たシュリは、早々に諦めておねーさんとのキスに積極的に応じることにした。

 少なくとも、ゴブリンにさらわれていたおねーさん達の人数分、キスをすることはもはや確定事項だろう。
 彼女達が、口移しで水を飲ませる程度のキスで満足してくれないことは明らかだった。
 ならば、積極的にお応えした方が、時間が短くてすむはずだ。

 そう考えたシュリは、己の技巧の限りをつくしておねーさんの舌をからめ取って刺激し、ついでにたっぷりと己の唾液を流し込む。
 おねーさんは嬉しそうに喉をならし、その甘露を飲み干すのだった。

 その様子を確かめ、順番待ちする野獣の目をした女性達を眺め、打ち捨てられたように地面に落ちている皮袋を見て、シュリは思う。
 結局、聖水モドキはあんまり必要なかったなぁ、と心の底からしみじみと。
しおりを挟む
感想 221

あなたにおすすめの小説

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

処理中です...