ティッシュが足んない ~などとサキュバスの息子のムスコが意味不明な供述をしており~

よん

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第6章  ダンジョンが足んない

ダンジョンが足んない 8

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 とりあえず、何か話さないと気まずい。
 
「あ、えーと、その……助けてくれてありがとう。キミは喋れるんだよね?」
「御意、喋れそうろう

 喋れ(命令形)、早漏……だあ?

 どういうつもりだろう? いきなりケンカ売ってんのか?

 目しかない上に瞳もないから、相手が何を考えてるかわかんない。

「何だよ。結局、キミも僕のことを馬鹿にするんだ?」
「滅相もござらん。それがし、種主様に忠誠を尽くす身でござる。かまえて左様なことはありませぬ」
「タネヌシ……?」
「某、種主様の精液から命を授かった者ゆえ、そうお呼びしているでござるよ」

 となると、この白ゴーレムは結果的に僕の子供ということになる。

 おかしいな。

 ハーフ・インキュバスである僕は種なしじゃなかったのか? それとも、こんなティッシュの化け物は例外なのかな。
 14歳で父親……受け入れられない。まだ童貞なのに。

「あの時、咄嗟のことでわかんなかったけど、僕がキミを召喚したってことで間違いないよね?」
「御意でござる」
「いつからそんな能力が僕に備わってたんだろう?」
「それは存じませぬが、某、ここ数日の間は常にスタンバイしておりました」
 
 武士言葉が徐々に崩れつつある。

「知らないうちに、僕はキミを召喚できる基準に満たしてたんだね。ところでさ、キミの役割って何なの?」
「種主様を御守護する他は何も決まってはおりませぬ。もっと言えば、某は己が何者かもわかっておらぬのが実情でござる」
「言ってたじゃん。スペル魔だろ?」
「それが何なのかがわからんのでござるよ」

 使用済みティッシュの集合体だよ、心の中でそう毒づいてから、

「キミは誰かに命令されてここに来たんじゃないの? 例えば、咲柚さんとか?」
「それはどなたでござるか?」
「さっきキミと闘ったサキュバスと同属だよ。魔王サタンの娘で僕の母さんでもある……いや、知らないならそれでいいんだ」

 じゃあ、さっきゅんが言ってた通り、この白ゴーレムはやっぱり魔界と一線を画してるんだな。
 ただし、咲柚さんはこの魔界外の化け物の存在を知ってる。僕の秘めた能力とともに……。
 
 何を企んでる?

 咲柚さんが滋賀から戻るのは明日だ。
 あれこれ考えるより、彼女に直接訊く方が早い。
 白ゴーレムは恭しく右手を胸にあてて誓う。

「種主様の母君とあれど、某は動きませぬ。某を命ずることができるのは種主様のみで御座候」

 また言った!

「『早漏』禁止!」
「御意」

 こんな大きな化け物を叱りつけるなんて何だか気持ちいい。
 ただ、いくら屋敷がデカいからってこんなの飼うワケにもいかない。咲柚さん公認でも、横山さんはいいとして一般人のメイドさんもいるんだし。
 いや、メイドさんも特殊な存在だった。
 彼女達は低級魔界の存在も統治の王冠クラウンの在り処も知ってる。今更、ティッシュ製の化け物くらいじゃ驚かないだろう。

 それにしても、白ゴーレム……正直ウザい。

 忠誠心はありがたいけど、こんなのがいつも側にいられるとおちおち一人でシゴくこともままならない。
 それでなくとも、さっきは寸前で白いの出し損ねたしさ。
 望海ちゃんの手紙の効力が消えた今、一気に溜まりに溜まった三箱分の白い軍団を放出しないと、朝を迎える前に僕は夢精で溺死してるかもしんない。

「ところで、キミはこれからどうするの?」

 それとなく、部屋から追い出そうと試みる。

「我が身は常に種主様の元に」
「それは申し訳ない。必要があればまた呼ぶから、キミは今までいた場所に帰っていいよ」
「某が元いた場所は種主様の睾丸の中でござる」
「どこまで元を辿るんだ! 僕が召喚する直前までいた所に戻れって言ってるんだよ!」
「戻るすべを存じませぬ」

 頭が痛くなってきた。
 まあいい。部屋はたくさんあるんだ。


 横山さんに相談しよう。



 そう、あの人はこうなることを知ってる。



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