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第十一章 トラウマ
19話
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バスケの試合は二年生チーム、ツカサたちが勝った。点差は十点。
みんな汗だくなのに、ツカサは少し汗をかいている程度で、いつもと変わらず涼しい顔をしている。
試合が終わると、ツカサは真っ直ぐこちらへやってきた。
「応援の声、聞こえなかったけど?」
笑顔で凄まないでほしい……。
「……えと、お願いされてないし?」
苦しくも笑顔を貼り付けて答えると、
「決勝戦、また猿のクラスとだけど、そのときは応援してくれるんだろうな?」
さらなる笑顔でにじり寄られ言葉に詰まる。
河野くんの忠告を考慮するなら、応援などしないほうがいいのだろう。でも、それを今ここで説明するのは非常に心苦しくも面倒くさい。
ツカサは笑顔を引っ込め、
「何があったかは知ってる。でも、そういうの気にする必要ないから」
不機嫌そうな顔で去っていった。
「翠葉、何かあったの?」
桃華さんに訊かれてまた悩む。
「んと、二年の先輩とお話してただけ」
河野くんは呼び出しやリンチと言っていたけれど、やっぱり私はそんなふうには思えなかった。
「もしかして呼び出されたの?」
声のトーンを落とした桃華さんに訊かれ、
「私にはそういう意識はないんだけどな……。少し先輩とお話をしていただけ。それに、河野くんが来てくれたから何もなかったよ」
叩かれそうになった、とはちょっと言えなかった。
「……やっぱり、イベントの最中は手薄になるわよね」
「俺も気をつけてたんだけどなぁ……」
桃華さんに加えて佐野くんが口にする。そして、はっと気づけば周りにクラスメイトが集っていた。
「俺らももう少し余裕があればなぁ……」
と、ところどころから声が聞こえてくる。
あたりを見渡せば、みんなが「心配」という表情で私を見ていた。
コートから戻ってきた河野くんも話の流れを読んだよう。
「みんなさ、御園生ちゃんがひとりにならないように努力してたんだよ」
教えられて驚く。
普段の教室移動の際はひとりになることはない。それはいつも桃華さんや飛鳥ちゃん、佐野くんや海斗くんが一緒にいてくれるから。
それ以外で図書棟へ行くときも、桃華さんたちのほかに部活に行く通り道だから、と運動部のクラスメイトが一緒にいることが多かった。
……私、守られていたの?
じん、と胸が熱くなる。
「ありがとう……。本当にありがとう。でもね、たぶんひとりでも大丈夫」
気づけばそう口にしていた。
「翠葉、話してわかってくれる人たちだけじゃないのよ?」
桃華さんは言い聞かせるように話す。
そうなのかもしれない。実際に手を上げられそうになった。
「でもね……こういうの初めてなの。だから、言いたいことを言いにきてくれる人たちとはちゃんと向き合いたいな」
すると河野くんが、
「それがだめってわけじゃない。でも、ちゃんと守ってあげられるか保証ができなくなる。さっき言ったろ? 風紀委員が目を光らせてるとはいえ万全じゃないって」
「うん……」
私は自分の一言で周りの心配を無下にし、さらには困らせているのかもしれない。
「私、集計作業に戻るね」
その場にいるのが少しつらくて逃げてしまいたかった。そしたら、違うところから声をかけられた。
「姫っ!」
その呼び名で反応できてしまう自分が忌々しい……。
でも、視聴覚室でも散々「姫」と呼ばれていたから反応せざるを得ないのだ。
誰? どこ?
人を探していると、手を振っていたのはすらりとした長身の男女。ラインがグリーンだから三年生。
私にはその程度の認識しかない。
「さっきうちのクラス手伝ってくれてありがとう! 準決勝から見にこられるとは思ってなかったから得したよ」
男の先輩に言われる。
「お役に立てて良かったです」
私自身は集計が嵩んでいるところを目安に手をつけていたので、どこのクラスの誰を手伝ったのかまでは覚えていない。
「すっごくたくさん集計やってもらったから、準決の分はクラス委員だけで集計出せるよ。姫はほかの試合ほとんど見てないんだから、準決と決勝くらいは全部見ておいで。視聴覚室には来なくていいからね」
女子の先輩がニコニコと話してくれた。
「それから、簾条さんも佐野くんも。姫の恩恵にあやかっていいよ」
それだけを言うと、ふたりは桜林館から出ていった。
「今のふたり、三年のクラス委員長よ?」
桃華さんが教えてくれる。
「どうやら、御園生の働きにより、俺たちも仕事免除ってとこらしいな」
佐野くんもどこか間の抜けた顔をしていた。
「どうやら、悪いことだけじゃなかったみたいね」
桃華さんがにこりと笑ってくれ、「心配」という雰囲気は影を潜めた。
ふと手元に視線を落とすと、ミネラルウォーターが空になっていた。
「私、お水買ってくるね」
そう言って席を立つと、
「俺も行く」
「私も行くわ」
海斗くんと桃華さん、佐野くんも席を立った。
きっと心配してくれているのだろう。それは体調が、というわけではなく、また誰かに何か言われることを。
「……じゃ、お願いしてもいいかな」
そうは口にしたけれど、少しだけ本意じゃなかった。
好意は無下にしたくない。でも、さっきの先輩とはもう少し話したかったし、ほかにも直接私に何か言ってくれる人がいるのなら、面と向かって話したい。
そういう気持ちのほうが強かった。
噂ではどうにもできなくても、話しに来てくれる人になら否定も説明もできる。
それはリスクだけではなく、チャンスでもあると思うから。
それとも――さっき河野くんが言っていたみたいに、あの先輩は序の口で、もっとひどいケースがあるのだろうか。
想像をしてみるものの、具体的な想像はできなかった。
ひどいもの、とはどの程度ひどいのだろう……。
何せ、こういう体験は初めてなのだ。
私たちが向かったのは特教棟近くにある自販機。
ミネラルウォーターを二本買うと、ばったりツカサと出くわした。
どうやら集計の進捗状況を確認しにきていたらしい。
「翠」
不機嫌な顔と声に呼ばれる。
「何?」
そんな不機嫌モードで呼ばれると、ついつられて自分も不機嫌になってしまいそうだ。
そのくらいどす黒いオーラが漂っている。
「もう一度言うけど、名前の呼び方変えたら返事しないから」
「……ツカサ、駄々っ子みたいだよ?」
「なっ――」
後ろで桃華さんがくつくつと笑っているのが聞こえる。
「だって、私が司先輩って呼べば済むことならそのほうがいいと思うもの。もともと後輩が先輩に対して呼び捨てで呼ぶのはおかしいことなのでしょう? それなら、私が直せばいいと思う」
「……友達っていうのはどこへいったわけ?」
「どこにもいかないよ。ツカサは友達でしょう?」
それは先輩をつけて呼ぼうがつけずに呼ぼうが変わるものではない。
だいたいにして、呼び方ひとつで関係まで変わってしまったらたまらない。
ツカサの、人を射殺すような視線を真正面から受ける。
しばらくすると、大きなため息をついて、「これ」とペンを差し出された。
「……ボールペン?」
「見かけはね。それ、GPS搭載のナースコールみたいなもの」
「……は?」
「やばいと思ったらすぐに押せ」
「意味がわからない」
「……呼び出されてやばいと思ったら押せと言ってる。そしたら、俺か生徒会メンバー、風紀委員、警備員、誰かしらが駆けつけるから」
「……ちょっと待って。警戒レベルが高すぎやしませんか?」
「うるさい、とにかく持ってろっ」
ツカサは言い逃げよろしく走り去った。
「そのボールペン、ちょっと見せて?」
海斗くんに言われてボールペンを差し出すと、数ヶ所確認してから私の手に戻した。
「それの開発者、間違いなく秋兄だ」
にこりと笑む。
「たぶん、こうなることを司は予想はしていて、秋兄にあらかじめ頼んで作ってもらってたんじゃない?」
海斗くんは意味深な笑み向けてくる。
「翠葉はそのくらい心配されてるし、大切に思われてるんだよ」
そう言われてしまうと強く出られない。
「……じゃ、持つだけ持っておこうかな」
でも、できれば使いたくはない。
「だいたいにして、藤宮司がもっと自粛すればいいのよ」
「それができないからこうなってるんだろ?」
桃華さんと海斗くんの会話はいまいち理解ができない。
どういう意味なのかを考えていると、
「おふたりさん、ここに御園生がいること忘れちゃいませんかね?」
佐野くんがふたりに尋ねる。と、
「「大丈夫、まず気づかないから」」
ふたりは声を揃えて私を見た。
「佐野くん……」
助けを求めると、
「ごめん、俺はノーコメントで」
佐野くんはあっさりと戦線離脱を申し出た。
体調以外のことで心配されるのはなんだか新鮮……。
でも、今回のこれはもう少しひとりで向き合ってみちゃだめかな。
みんながこれほど心配するほどに怖いことなのか、私にはまだそれがわらかなくて、どちらかというと、もう少し向き合ってみたい。
そうすることは、心配をかけて迷惑をかけることになるのかな。
まだ、私にはわからない領域――
みんな汗だくなのに、ツカサは少し汗をかいている程度で、いつもと変わらず涼しい顔をしている。
試合が終わると、ツカサは真っ直ぐこちらへやってきた。
「応援の声、聞こえなかったけど?」
笑顔で凄まないでほしい……。
「……えと、お願いされてないし?」
苦しくも笑顔を貼り付けて答えると、
「決勝戦、また猿のクラスとだけど、そのときは応援してくれるんだろうな?」
さらなる笑顔でにじり寄られ言葉に詰まる。
河野くんの忠告を考慮するなら、応援などしないほうがいいのだろう。でも、それを今ここで説明するのは非常に心苦しくも面倒くさい。
ツカサは笑顔を引っ込め、
「何があったかは知ってる。でも、そういうの気にする必要ないから」
不機嫌そうな顔で去っていった。
「翠葉、何かあったの?」
桃華さんに訊かれてまた悩む。
「んと、二年の先輩とお話してただけ」
河野くんは呼び出しやリンチと言っていたけれど、やっぱり私はそんなふうには思えなかった。
「もしかして呼び出されたの?」
声のトーンを落とした桃華さんに訊かれ、
「私にはそういう意識はないんだけどな……。少し先輩とお話をしていただけ。それに、河野くんが来てくれたから何もなかったよ」
叩かれそうになった、とはちょっと言えなかった。
「……やっぱり、イベントの最中は手薄になるわよね」
「俺も気をつけてたんだけどなぁ……」
桃華さんに加えて佐野くんが口にする。そして、はっと気づけば周りにクラスメイトが集っていた。
「俺らももう少し余裕があればなぁ……」
と、ところどころから声が聞こえてくる。
あたりを見渡せば、みんなが「心配」という表情で私を見ていた。
コートから戻ってきた河野くんも話の流れを読んだよう。
「みんなさ、御園生ちゃんがひとりにならないように努力してたんだよ」
教えられて驚く。
普段の教室移動の際はひとりになることはない。それはいつも桃華さんや飛鳥ちゃん、佐野くんや海斗くんが一緒にいてくれるから。
それ以外で図書棟へ行くときも、桃華さんたちのほかに部活に行く通り道だから、と運動部のクラスメイトが一緒にいることが多かった。
……私、守られていたの?
じん、と胸が熱くなる。
「ありがとう……。本当にありがとう。でもね、たぶんひとりでも大丈夫」
気づけばそう口にしていた。
「翠葉、話してわかってくれる人たちだけじゃないのよ?」
桃華さんは言い聞かせるように話す。
そうなのかもしれない。実際に手を上げられそうになった。
「でもね……こういうの初めてなの。だから、言いたいことを言いにきてくれる人たちとはちゃんと向き合いたいな」
すると河野くんが、
「それがだめってわけじゃない。でも、ちゃんと守ってあげられるか保証ができなくなる。さっき言ったろ? 風紀委員が目を光らせてるとはいえ万全じゃないって」
「うん……」
私は自分の一言で周りの心配を無下にし、さらには困らせているのかもしれない。
「私、集計作業に戻るね」
その場にいるのが少しつらくて逃げてしまいたかった。そしたら、違うところから声をかけられた。
「姫っ!」
その呼び名で反応できてしまう自分が忌々しい……。
でも、視聴覚室でも散々「姫」と呼ばれていたから反応せざるを得ないのだ。
誰? どこ?
人を探していると、手を振っていたのはすらりとした長身の男女。ラインがグリーンだから三年生。
私にはその程度の認識しかない。
「さっきうちのクラス手伝ってくれてありがとう! 準決勝から見にこられるとは思ってなかったから得したよ」
男の先輩に言われる。
「お役に立てて良かったです」
私自身は集計が嵩んでいるところを目安に手をつけていたので、どこのクラスの誰を手伝ったのかまでは覚えていない。
「すっごくたくさん集計やってもらったから、準決の分はクラス委員だけで集計出せるよ。姫はほかの試合ほとんど見てないんだから、準決と決勝くらいは全部見ておいで。視聴覚室には来なくていいからね」
女子の先輩がニコニコと話してくれた。
「それから、簾条さんも佐野くんも。姫の恩恵にあやかっていいよ」
それだけを言うと、ふたりは桜林館から出ていった。
「今のふたり、三年のクラス委員長よ?」
桃華さんが教えてくれる。
「どうやら、御園生の働きにより、俺たちも仕事免除ってとこらしいな」
佐野くんもどこか間の抜けた顔をしていた。
「どうやら、悪いことだけじゃなかったみたいね」
桃華さんがにこりと笑ってくれ、「心配」という雰囲気は影を潜めた。
ふと手元に視線を落とすと、ミネラルウォーターが空になっていた。
「私、お水買ってくるね」
そう言って席を立つと、
「俺も行く」
「私も行くわ」
海斗くんと桃華さん、佐野くんも席を立った。
きっと心配してくれているのだろう。それは体調が、というわけではなく、また誰かに何か言われることを。
「……じゃ、お願いしてもいいかな」
そうは口にしたけれど、少しだけ本意じゃなかった。
好意は無下にしたくない。でも、さっきの先輩とはもう少し話したかったし、ほかにも直接私に何か言ってくれる人がいるのなら、面と向かって話したい。
そういう気持ちのほうが強かった。
噂ではどうにもできなくても、話しに来てくれる人になら否定も説明もできる。
それはリスクだけではなく、チャンスでもあると思うから。
それとも――さっき河野くんが言っていたみたいに、あの先輩は序の口で、もっとひどいケースがあるのだろうか。
想像をしてみるものの、具体的な想像はできなかった。
ひどいもの、とはどの程度ひどいのだろう……。
何せ、こういう体験は初めてなのだ。
私たちが向かったのは特教棟近くにある自販機。
ミネラルウォーターを二本買うと、ばったりツカサと出くわした。
どうやら集計の進捗状況を確認しにきていたらしい。
「翠」
不機嫌な顔と声に呼ばれる。
「何?」
そんな不機嫌モードで呼ばれると、ついつられて自分も不機嫌になってしまいそうだ。
そのくらいどす黒いオーラが漂っている。
「もう一度言うけど、名前の呼び方変えたら返事しないから」
「……ツカサ、駄々っ子みたいだよ?」
「なっ――」
後ろで桃華さんがくつくつと笑っているのが聞こえる。
「だって、私が司先輩って呼べば済むことならそのほうがいいと思うもの。もともと後輩が先輩に対して呼び捨てで呼ぶのはおかしいことなのでしょう? それなら、私が直せばいいと思う」
「……友達っていうのはどこへいったわけ?」
「どこにもいかないよ。ツカサは友達でしょう?」
それは先輩をつけて呼ぼうがつけずに呼ぼうが変わるものではない。
だいたいにして、呼び方ひとつで関係まで変わってしまったらたまらない。
ツカサの、人を射殺すような視線を真正面から受ける。
しばらくすると、大きなため息をついて、「これ」とペンを差し出された。
「……ボールペン?」
「見かけはね。それ、GPS搭載のナースコールみたいなもの」
「……は?」
「やばいと思ったらすぐに押せ」
「意味がわからない」
「……呼び出されてやばいと思ったら押せと言ってる。そしたら、俺か生徒会メンバー、風紀委員、警備員、誰かしらが駆けつけるから」
「……ちょっと待って。警戒レベルが高すぎやしませんか?」
「うるさい、とにかく持ってろっ」
ツカサは言い逃げよろしく走り去った。
「そのボールペン、ちょっと見せて?」
海斗くんに言われてボールペンを差し出すと、数ヶ所確認してから私の手に戻した。
「それの開発者、間違いなく秋兄だ」
にこりと笑む。
「たぶん、こうなることを司は予想はしていて、秋兄にあらかじめ頼んで作ってもらってたんじゃない?」
海斗くんは意味深な笑み向けてくる。
「翠葉はそのくらい心配されてるし、大切に思われてるんだよ」
そう言われてしまうと強く出られない。
「……じゃ、持つだけ持っておこうかな」
でも、できれば使いたくはない。
「だいたいにして、藤宮司がもっと自粛すればいいのよ」
「それができないからこうなってるんだろ?」
桃華さんと海斗くんの会話はいまいち理解ができない。
どういう意味なのかを考えていると、
「おふたりさん、ここに御園生がいること忘れちゃいませんかね?」
佐野くんがふたりに尋ねる。と、
「「大丈夫、まず気づかないから」」
ふたりは声を揃えて私を見た。
「佐野くん……」
助けを求めると、
「ごめん、俺はノーコメントで」
佐野くんはあっさりと戦線離脱を申し出た。
体調以外のことで心配されるのはなんだか新鮮……。
でも、今回のこれはもう少しひとりで向き合ってみちゃだめかな。
みんながこれほど心配するほどに怖いことなのか、私にはまだそれがわらかなくて、どちらかというと、もう少し向き合ってみたい。
そうすることは、心配をかけて迷惑をかけることになるのかな。
まだ、私にはわからない領域――
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