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これからを思って。
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「ラティアンカ、いいか」
「マオ様」
後日、明け方にマオ様が私の部屋を訪ねてきました。
何やら神妙な面差しです。
「国外追放が決まった」
「……そうですか」
誰の、とは聞きません。
わかっていたことですから。
マオ様はしかし、晴れやかな表情で笑いました。
「まあ、このまま燻っているわけにもいかなかったんだ。寧ろこれくらいの処置で済んだのはありがたい。母上の慈悲だ」
「……後悔は、していませんか?」
「するわけない。これから自由だと思うと、嬉しいくらいだな」
「ということは、次期国王はレオン様ですか」
「ああ。俺が国外追放になったから、レオンが怒鳴っていたな。俺の夢を壊しやがってって」
「想像できますね」
マオ様がいなくなれば、レオン様は必然的に王様になります。
それに不満を言うところは目に見えてわかっていました。
「おかしな奴だ。俺が女神教徒に加担し、殺そうとしていたというのに。それには怒らなかった」
「懐が大きいのでは?」
「そうかもな」
吹っ切れた、とでも言うのでしょうか。
私の発言を素直に肯定し、非常に穏やかに笑っています。
「じゃ、それだけだ」
「あの」
くるりと背を向けたマオ様を引き止めると、鬱陶しそうに振り返ってくれました。
「なに」
「お世話になりました」
「……フン」
鼻で笑っておしまい。
それだけのことなのに、何だかんだ心を許してくれた気になるのは、傲慢でしょうか。
◆ ◆ ◆
「やなんだけどー!?」
「はぁ」
「嘘だろぉ!? マオは国外、シャルロッテはアストロの田舎町ー!? はああ!?」
案の定こうなりましたか。
横でギャンギャン喚くレオン様に適当に頷いていると、泣きつかれました。
「ラティアンカ!! 頼むからシャルロッテのこと引き止めてくれよ!!」
「昨日あの子の覚悟を聞いたのでダメです」
「くそー世の中クソだ~!! 腐りやがって!!」
レオン様。
あなた足が長いんです、わかってますか。
そうじたばたされると非常に邪魔なんです。
まあこれを言えば本気で泣かれそうなので言わないのですが。
「王になんてなりたくねぇよぉう……」
「まあ頑張ってくださいね」
「冷たい!!」
「私でよければ会いにきます」
「いや、いいわ」
なぜか即答されました。
首を傾げれば、レオン様は冷や汗にまみれて理由を述べました。
「あんたの旦那が嫉妬しそう。あの目に睨まれるくらいだったらぼっちでいるわ」
「そうですか」
「あー、クソ。世界終わってる~!!」
面倒くさくなったので、暴れるレオン様は放っておきました。
◆ ◆ ◆
「ラティアンカ……とおっしゃいましたかな」
私を呼び止めたのは、熊の獣人の騎士様でした。
確か、この国随一の剣の使い手。
「はい。こんにちは、騎士様」
「呼び止めてしまい申し訳ありません。どうしても、礼を言いたくて」
「礼ですか?」
「……シャルロッテ様を助けてくださり、ありがとうございます。私もシャルロッテ様を見守ってきた者の一人ゆえ、感謝を伝えたかったのです。私はハドル、アンナの前の護衛でした」
「ロールの小さい頃の?」
「はい。まあ、シャルロッテ様はあまり覚えてらっしゃらないでしょう。私よりハドルに夢中なようですから」
そう笑った騎士様は、どこか寂しそうに見えました。
「私は……ハドルの思惑に気づきませんでした。ハドルがここに来た時。そして、女王様とスパイとして繋がった時。彼はまだ少年でした。私は何も知らなかった。お恥ずかしい」
「そんなことないですよ。エリクル様は演技に絶対の自信があったと言っていましたし。あまりご自分を責めないでください」
「……すみませんな。呼び止めたのにもかかわらず、慰めてしまってもらって」
「いいんですよ」
厳しげな顔つきの方でしたが、こうして笑うと何だか可愛らしい方ですね。
お互い笑い合っていると、不意に旦那様のことを思い出しました。
「私、もう行きますね」
「はい。貴重なお時間をありがとうございます。それと。あなたに最大限の感謝を」
騎士様の一礼。
それはあまりに洗礼された動きでした。
◆ ◆ ◆
「ラティアンカ嬢」
「エリクル様」
エリクル様がお部屋から出てきて、私を手招きしました。
誘われるまま向かってみると、ベッドで旦那様が熟睡しています。
「さっき起きて、入浴したんだけどさ。その後寝ちゃって。見ててくれるかい?」
「わかりました。……ロールは私の部屋で寝ていますよ」
私の言葉に目を見開くと、エリクル様は気恥ずかしげにうつむきました。
「……まさか、君から気を遣われるとはね」
「早く行ってあげてください」
「ん、了解」
エリクル様がお部屋を後にしました。
旦那様の枕元に腰を下ろし、髪に手を伸ばします。
「サラサラ……」
夜の闇を切り取ったような髪に指を通せば、気持ちいい感覚が伝わってきます。
更にいい匂いまでするんですから、どうなっているのでしょう。
イケメンマジック……とかいうやつでしょうか。
「ラティアンカ?」
「おはようございます、旦那様」
旦那様の目蓋がゆっくりと開き、そのアメジスト色の瞳が私を見つめました。
ふにゃ、と笑うと、「おはよう」と返す旦那様。
しかし。
「あたまいたい」
「お酒を飲まれたのでしょう? 二日酔いでしょう」
「エリクルは?」
「ロールのところに行きましたよ」
「……化け物か、あいつは」
悪態をついたかと思うと、旦那様が起き上がり、私にもたれかかりました。
「重いです」
「少し……このままで」
「朝から甘えたですか?」
「うん」
「子供みたいですね」
「そんなことない」
子供みたい、というワードが気に食わなかったのか、ムスリと不満げに頬を膨らませて、旦那様が起き上がりました。
「ラティアンカ。髪、触っただろう」
「え? はい。……嫌でした?」
「別に。どう、だったか気になって」
「どうって。いい匂いでしたし、サラサラでしたよ」
「そうか」
この時の私は知りませんでした。
旦那様が私に飽きられないよう、身だしなみを気をつけ始めたことに。
毎日香油を髪に塗っていたらしく、そのおかげで随分と髪がツヤツヤになったとかならなかったとか。
まあこの話は割愛させていただきます。
「旦那様。話があります。よろしいでしょうか」
「……わかった」
声音が変わったことを理解した旦那様が一気に顔を引き締めたので、何だかそれがおかしくって笑ってしまいました。
「マオ様」
後日、明け方にマオ様が私の部屋を訪ねてきました。
何やら神妙な面差しです。
「国外追放が決まった」
「……そうですか」
誰の、とは聞きません。
わかっていたことですから。
マオ様はしかし、晴れやかな表情で笑いました。
「まあ、このまま燻っているわけにもいかなかったんだ。寧ろこれくらいの処置で済んだのはありがたい。母上の慈悲だ」
「……後悔は、していませんか?」
「するわけない。これから自由だと思うと、嬉しいくらいだな」
「ということは、次期国王はレオン様ですか」
「ああ。俺が国外追放になったから、レオンが怒鳴っていたな。俺の夢を壊しやがってって」
「想像できますね」
マオ様がいなくなれば、レオン様は必然的に王様になります。
それに不満を言うところは目に見えてわかっていました。
「おかしな奴だ。俺が女神教徒に加担し、殺そうとしていたというのに。それには怒らなかった」
「懐が大きいのでは?」
「そうかもな」
吹っ切れた、とでも言うのでしょうか。
私の発言を素直に肯定し、非常に穏やかに笑っています。
「じゃ、それだけだ」
「あの」
くるりと背を向けたマオ様を引き止めると、鬱陶しそうに振り返ってくれました。
「なに」
「お世話になりました」
「……フン」
鼻で笑っておしまい。
それだけのことなのに、何だかんだ心を許してくれた気になるのは、傲慢でしょうか。
◆ ◆ ◆
「やなんだけどー!?」
「はぁ」
「嘘だろぉ!? マオは国外、シャルロッテはアストロの田舎町ー!? はああ!?」
案の定こうなりましたか。
横でギャンギャン喚くレオン様に適当に頷いていると、泣きつかれました。
「ラティアンカ!! 頼むからシャルロッテのこと引き止めてくれよ!!」
「昨日あの子の覚悟を聞いたのでダメです」
「くそー世の中クソだ~!! 腐りやがって!!」
レオン様。
あなた足が長いんです、わかってますか。
そうじたばたされると非常に邪魔なんです。
まあこれを言えば本気で泣かれそうなので言わないのですが。
「王になんてなりたくねぇよぉう……」
「まあ頑張ってくださいね」
「冷たい!!」
「私でよければ会いにきます」
「いや、いいわ」
なぜか即答されました。
首を傾げれば、レオン様は冷や汗にまみれて理由を述べました。
「あんたの旦那が嫉妬しそう。あの目に睨まれるくらいだったらぼっちでいるわ」
「そうですか」
「あー、クソ。世界終わってる~!!」
面倒くさくなったので、暴れるレオン様は放っておきました。
◆ ◆ ◆
「ラティアンカ……とおっしゃいましたかな」
私を呼び止めたのは、熊の獣人の騎士様でした。
確か、この国随一の剣の使い手。
「はい。こんにちは、騎士様」
「呼び止めてしまい申し訳ありません。どうしても、礼を言いたくて」
「礼ですか?」
「……シャルロッテ様を助けてくださり、ありがとうございます。私もシャルロッテ様を見守ってきた者の一人ゆえ、感謝を伝えたかったのです。私はハドル、アンナの前の護衛でした」
「ロールの小さい頃の?」
「はい。まあ、シャルロッテ様はあまり覚えてらっしゃらないでしょう。私よりハドルに夢中なようですから」
そう笑った騎士様は、どこか寂しそうに見えました。
「私は……ハドルの思惑に気づきませんでした。ハドルがここに来た時。そして、女王様とスパイとして繋がった時。彼はまだ少年でした。私は何も知らなかった。お恥ずかしい」
「そんなことないですよ。エリクル様は演技に絶対の自信があったと言っていましたし。あまりご自分を責めないでください」
「……すみませんな。呼び止めたのにもかかわらず、慰めてしまってもらって」
「いいんですよ」
厳しげな顔つきの方でしたが、こうして笑うと何だか可愛らしい方ですね。
お互い笑い合っていると、不意に旦那様のことを思い出しました。
「私、もう行きますね」
「はい。貴重なお時間をありがとうございます。それと。あなたに最大限の感謝を」
騎士様の一礼。
それはあまりに洗礼された動きでした。
◆ ◆ ◆
「ラティアンカ嬢」
「エリクル様」
エリクル様がお部屋から出てきて、私を手招きしました。
誘われるまま向かってみると、ベッドで旦那様が熟睡しています。
「さっき起きて、入浴したんだけどさ。その後寝ちゃって。見ててくれるかい?」
「わかりました。……ロールは私の部屋で寝ていますよ」
私の言葉に目を見開くと、エリクル様は気恥ずかしげにうつむきました。
「……まさか、君から気を遣われるとはね」
「早く行ってあげてください」
「ん、了解」
エリクル様がお部屋を後にしました。
旦那様の枕元に腰を下ろし、髪に手を伸ばします。
「サラサラ……」
夜の闇を切り取ったような髪に指を通せば、気持ちいい感覚が伝わってきます。
更にいい匂いまでするんですから、どうなっているのでしょう。
イケメンマジック……とかいうやつでしょうか。
「ラティアンカ?」
「おはようございます、旦那様」
旦那様の目蓋がゆっくりと開き、そのアメジスト色の瞳が私を見つめました。
ふにゃ、と笑うと、「おはよう」と返す旦那様。
しかし。
「あたまいたい」
「お酒を飲まれたのでしょう? 二日酔いでしょう」
「エリクルは?」
「ロールのところに行きましたよ」
「……化け物か、あいつは」
悪態をついたかと思うと、旦那様が起き上がり、私にもたれかかりました。
「重いです」
「少し……このままで」
「朝から甘えたですか?」
「うん」
「子供みたいですね」
「そんなことない」
子供みたい、というワードが気に食わなかったのか、ムスリと不満げに頬を膨らませて、旦那様が起き上がりました。
「ラティアンカ。髪、触っただろう」
「え? はい。……嫌でした?」
「別に。どう、だったか気になって」
「どうって。いい匂いでしたし、サラサラでしたよ」
「そうか」
この時の私は知りませんでした。
旦那様が私に飽きられないよう、身だしなみを気をつけ始めたことに。
毎日香油を髪に塗っていたらしく、そのおかげで随分と髪がツヤツヤになったとかならなかったとか。
まあこの話は割愛させていただきます。
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