15 / 15
15.幸せな家庭をつくろうね
しおりを挟む
数日後──。
雲ひとつない青空の下、私とライアンの結婚式が執り行われた。
ウェディングベルの音が高らかに響く中、私とライアンは皆に祝福された。
私の妹のデイジーも、この式には参列している。
とても悔しそうにこちらを見るデイジーを見て、デイジーには悪いけれどとてもスカッとした気持ちになった。
そういうデイジーは、私とライアンを引き裂こうと公爵家に乗り込んでいたことが両親にバレて、無理矢理見合い話を進められているそうだ。
そんなに結婚したいのならデイジーにもさせてやろうじゃないかという親心からという話らしいが、デイジーにとってはたまったものではないようだ。
今までのデイジーのことを考えれば、それでも甘いような気がするが、自称人間関係に困ってこなかったというくらいなのだから、せいぜい彼女の力で乗り越えて行ってもらえばいいだろう。
そんな悔しそうな彼女の隣には、デイジーのことを気に入ったという見合い相手の小太りの男性が常に付き添っている。
家柄は悪くないそうだが、明らかにデイジーの好みではない。デイジーはその男性が視界に入るたびにシッシッと手でやっているが、全く効果がないようだ。
そんなデイジーの姿を見て私が思わず陰でクスクスと笑ってしまったところで、ライアンに話しかけられる。
「マリア何をそんなに笑っているんだい」
「あら、ごめんなさい。以前からは想像つかないくらいに幸せになっちゃったなって思って」
「幸せになるのは不安?」
「いいえ。とても楽しみよ。ありがとう、ライアン」
「どういたしまして。幸せな家庭を作っていこう」
「ええ」
「もちろん、毎晩君のことを愛すよ」
「もう、ライアンったら……!」
結婚パーティーの行われる様子を見ながら、私たちは静かに明るい将来の希望を膨らませた。
愛されないはずの契約花嫁は、今宵も溺愛されています……!
〇おしまい〇
雲ひとつない青空の下、私とライアンの結婚式が執り行われた。
ウェディングベルの音が高らかに響く中、私とライアンは皆に祝福された。
私の妹のデイジーも、この式には参列している。
とても悔しそうにこちらを見るデイジーを見て、デイジーには悪いけれどとてもスカッとした気持ちになった。
そういうデイジーは、私とライアンを引き裂こうと公爵家に乗り込んでいたことが両親にバレて、無理矢理見合い話を進められているそうだ。
そんなに結婚したいのならデイジーにもさせてやろうじゃないかという親心からという話らしいが、デイジーにとってはたまったものではないようだ。
今までのデイジーのことを考えれば、それでも甘いような気がするが、自称人間関係に困ってこなかったというくらいなのだから、せいぜい彼女の力で乗り越えて行ってもらえばいいだろう。
そんな悔しそうな彼女の隣には、デイジーのことを気に入ったという見合い相手の小太りの男性が常に付き添っている。
家柄は悪くないそうだが、明らかにデイジーの好みではない。デイジーはその男性が視界に入るたびにシッシッと手でやっているが、全く効果がないようだ。
そんなデイジーの姿を見て私が思わず陰でクスクスと笑ってしまったところで、ライアンに話しかけられる。
「マリア何をそんなに笑っているんだい」
「あら、ごめんなさい。以前からは想像つかないくらいに幸せになっちゃったなって思って」
「幸せになるのは不安?」
「いいえ。とても楽しみよ。ありがとう、ライアン」
「どういたしまして。幸せな家庭を作っていこう」
「ええ」
「もちろん、毎晩君のことを愛すよ」
「もう、ライアンったら……!」
結婚パーティーの行われる様子を見ながら、私たちは静かに明るい将来の希望を膨らませた。
愛されないはずの契約花嫁は、今宵も溺愛されています……!
〇おしまい〇
4
お気に入りに追加
528
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(5件)
あなたにおすすめの小説
【完結】貧乏子爵令嬢は、王子のフェロモンに靡かない。
櫻野くるみ
恋愛
王太子フェルゼンは悩んでいた。
生まれつきのフェロモンと美しい容姿のせいで、みんな失神してしまうのだ。
このままでは結婚相手など見つかるはずもないと落ち込み、なかば諦めかけていたところ、自分のフェロモンが全く効かない令嬢に出会う。
運命の相手だと執着する王子と、社交界に興味の無い、フェロモンに鈍感な貧乏子爵令嬢の恋のお話です。
ゆるい話ですので、軽い気持ちでお読み下さいませ。
あなたを愛するつもりはない、と言われたので自由にしたら旦那様が嬉しそうです
あなはにす
恋愛
「あなたを愛するつもりはない」
伯爵令嬢のセリアは、結婚適齢期。家族から、縁談を次から次へと用意されるが、家族のメガネに合わず家族が破談にするような日々を送っている。そんな中で、ずっと続けているピアノ教室で、かつて慕ってくれていたノウェに出会う。ノウェはセリアの変化を感じ取ると、何か考えたようなそぶりをして去っていき、次の日には親から公爵位のノウェから縁談が入ったと言われる。縁談はとんとん拍子で決まるがノウェには「あなたを愛するつもりはない」と言われる。自分が認められる手段であった結婚がうまくいかない中でセリアは自由に過ごすようになっていく。ノウェはそれを喜んでいるようで……?
婚約者が他の令嬢に微笑む時、私は惚れ薬を使った
葵 すみれ
恋愛
ポリーヌはある日、婚約者が見知らぬ令嬢と二人きりでいるところを見てしまう。
しかも、彼は見たことがないような微笑みを令嬢に向けていた。
いつも自分には冷たい彼の柔らかい態度に、ポリーヌは愕然とする。
そして、親が決めた婚約ではあったが、いつの間にか彼に恋心を抱いていたことに気づく。
落ち込むポリーヌに、妹がこれを使えと惚れ薬を渡してきた。
迷ったあげく、婚約者に惚れ薬を使うと、彼の態度は一転して溺愛してくるように。
偽りの愛とは知りながらも、ポリーヌは幸福に酔う。
しかし幸せの狭間で、惚れ薬で彼の心を縛っているのだと罪悪感を抱くポリーヌ。
悩んだ末に、惚れ薬の効果を打ち消す薬をもらうことを決意するが……。
※小説家になろうにも掲載しています
たった一度の浮気ぐらいでガタガタ騒ぐな、と婚約破棄されそうな私は、馬オタクな隣国第二王子の溺愛対象らしいです。
弓はあと
恋愛
「たった一度の浮気ぐらいでガタガタ騒ぐな」婚約者から投げられた言葉。
浮気を許す事ができない心の狭い私とは婚約破棄だという。
婚約破棄を受け入れたいけれど、それを親に伝えたらきっと「この役立たず」と罵られ家を追い出されてしまう。
そんな私に手を差し伸べてくれたのは、皆から馬オタクで残念な美丈夫と噂されている隣国の第二王子だった――
※物語の後半は視点変更が多いです。
※浮気の表現があるので、念のためR15にしています。詳細な描写はありません。
※短めのお話です。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません、ご注意ください。
※設定ゆるめ、ご都合主義です。鉄道やオタクの歴史等は現実と異なっています。
婚約者の隣にいるのは初恋の人でした
四つ葉菫
恋愛
ジャスミン・ティルッコネンは第二王子である婚約者から婚約破棄を言い渡された。なんでも第二王子の想い人であるレヒーナ・エンゲルスをジャスミンが虐めたためらしい。そんな覚えは一切ないものの、元から持てぬ愛情と、婚約者の見限った冷たい眼差しに諦念して、婚約破棄の同意書にサインする。
その途端、王子の隣にいたはずのレヒーナ・エンゲルスが同意書を手にして高笑いを始めた。
楚々とした彼女の姿しか見てこなかったジャスミンと第二王子はぎょっとするが……。
前半のヒロイン視点はちょっと暗めですが、後半のヒーロー視点は明るめにしてあります。
ヒロインは十六歳。
ヒーローは十五歳設定。
ゆるーい設定です。細かいところはあまり突っ込まないでください。
【完結】え?王太子妃になりたい?どうぞどうぞ。
櫻野くるみ
恋愛
10名の令嬢で3年もの間、争われてーーいや、押し付け合ってきた王太子妃の座。
ここバラン王国では、とある理由によって王太子妃のなり手がいなかった。
いよいよ決定しなければならないタイムリミットが訪れ、公爵令嬢のアイリーンは父親の爵位が一番高い自分が犠牲になるべきだと覚悟を決めた。
しかし、仲間意識が芽生え、アイリーンに押し付けるのが心苦しくなった令嬢たちが「だったら自分が王太子妃に」と主張し始め、今度は取り合う事態に。
そんな中、急に現れたピンク髪の男爵令嬢ユリア。
ユリアが「じゃあ私がなります」と言い出して……?
全6話で終わる短編です。
最後が長くなりました……。
ストレスフリーに、さらっと読んでいただければ嬉しいです。
ダ◯ョウ倶楽部さんの伝統芸から思い付いた話です。
王子様と朝チュンしたら……
梅丸
恋愛
大変! 目が覚めたら隣に見知らぬ男性が! え? でも良く見たら何やらこの国の第三王子に似ている気がするのだが。そう言えば、昨日同僚のメリッサと酒盛り……ではなくて少々のお酒を嗜みながらお話をしていたことを思い出した。でも、途中から記憶がない。実は私はこの世界に転生してきた子爵令嬢である。そして、前世でも同じ間違いを起こしていたのだ。その時にも最初で最後の彼氏と付き合った切っ掛けは朝チュンだったのだ。しかも泥酔しての。学習しない私はそれをまた繰り返してしまったようだ。どうしましょう……この世界では処女信仰が厚いというのに!
「君を愛す気はない」と宣言した伯爵が妻への片思いを拗らせるまで ~妻は黄金のお菓子が大好きな商人で、夫は清貧貴族です
朱音ゆうひ
恋愛
アルキメデス商会の会長の娘レジィナは、恩ある青年貴族ウィスベルが婚約破棄される現場に居合わせた。
ウィスベルは、親が借金をつくり自殺して、後を継いだばかり。薄幸の貴公子だ。
「私がお助けしましょう!」
レジィナは颯爽と助けに入り、結果、彼と契約結婚することになった。
別サイトにも投稿してます(https://ncode.syosetu.com/n0596ip/)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
妹にはもっと罰してよかったかもしれないけれど、
お姉さんが幸せならよかった❗
あらすじ、伯爵家になってますよー!
両親は妹が今回起こした出来事だけを問題視して、自分達の教育に問題があったことについては理解してないのでしょうか?
マリア自身が実家を離れ幸せになれたから不問としたのであれば、親よりもマリアの方が大人だったってことですかね…
(もしくは大人にさせられた、でしょうか)
結果としてマリアから意識的にいろんなモノを奪い続けてきた妹にざまぁな展開になったので安堵しましたが、途中、何度となく切なくなりました🥺