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14.私の本当の気持ちは

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「デイジーの言っていることは、正確には正しくない。最初、契約結婚なんて嫌だって言ったのは間違ってないわ。だけど、こうして一緒にライアンと暮らしてみて、私はいつの間にかライアンのことが好きになっていたの」

 ライアンの気持ちは分からないが、少し驚いたような表情を浮かべている。
 私はさらに続けた。

「ライアンが好き。最初こそライアンのことをよく知らなかったからものすごく怖い人なのかなという不安もあった。けど、いざ一緒に住んでみるとものすごく優しい人だってことがわかったし、契約で決まった婚約者の私のことも愛してくれていることが伝わってきていたし、どうしてだろうと不思議に思う反面とても嬉しかったわ」

「……俺は不器用だから、いきなり自分の感情をぶつけてしまったことは、失敗だったかなと思っていた。けれど、マリアは決して嫌じゃなかったっていうことなんだな……?」


 ライアンにとってはそのことが一番気がかりに思っていたのか、私の話を聞いてとても安心したような笑みを浮かべた。

 それほどまでに心配させてたのかな?とも思ったけれど、ライアンの立場からしてみればそれが普通なのかもしれない。私はデイジーの話にライアンが洗脳されているのではないかと心配だったから、そちらばかりに気を取られていたが……。


「そうだけど、ライアンはデイジーの話を聞いても私のことを信じてくれるの?」

「あたりまえじゃないか。もちろん二人の話を聞いて総合的に判断しているところもあるけれど、実際に一緒に住み始めてからのマリアを見ても、マリアは嘘をつく子じゃないっていうのはすぐに分かるからね。デイジーも、君の妹だということを考えたら根は悪い子ではないのかなとは思うけれど、もしかしたら君を見て羨ましくなっちゃったのかもね」


 どうやらライアンには、デイジーの思惑まで全てお見通しだったようだ。
 そんなライアンは、私が思っている以上に私のこともよく見ていてくれているのかもしれない。

 それだけで、とても胸がいっぱいになるようだった。


「うん、私のことを信じてくれてありがとう。大好きだよ……」


 思わずライアンに抱きつくと、ライアンは私のことをしっかりと抱きしめてくれた。

 契約で決まった結婚だったから、決して愛されることなんてないと思っていたはずなのに、まさかこんなに自分のことを思っていてくれる相手だったんだとわかって、幸せな気持ちいっぱいにつつまれる。

 もう間もなく結婚式だ。

 初めてライアンと顔を合わせて結婚まで憂鬱に感じていたあの日が嘘のように、今は幸せな結婚を想像できる。

 この後は私とライアンは、本当の意味で深く愛し合ったのだった。
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