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第15話 百年経っても中身は気の弱いガキなんです
しおりを挟む翌日。目を覚ました潮くんは、お互いに裸のままなことに顔を赤くして慌てて着物を着ていた。
そういえば、潮くんの着てるのって死装束のままだ。このままじゃ可哀想だよね。
「潮くん」
「はい?」
俺はパチンと指を鳴らして、潮くんの服を変えた。
昔漫画で見たような、着物をモチーフにした衣装。青を基調にしたカッコいいコスチュームだ。
俺の着てる着物に似せてるけど、潮くんは動きやすい衣装をイメージしたつもり。
「こ、これは……」
「潮くんは生きてるし、俺と一緒で長生きするだろうから死装束のままは嫌でしょ?」
「……あ、ありがとうございます。凄く嬉しいです!」
「うん。よく似合ってるよ」
「見た目よりも動きやすいですし、とてもカッコいいです!」
喜んでくれて良かった。
いつまでも死装束なのが可哀想っていうのも理由の一つだけど、ずっとうっすい生地の着物でいられると俺がドキドキしちゃうんだよね。歩く時に素足がチラチラ見えちゃうし、胸とか透けるし。
「僕もアマネ様みたいな力を使えたりしますか?」
「あー、そうだね。潮くんは俺の眷属だし、神の力を宿してるから、使えないことはないかな」
「じゃあ、僕も雨を降らせたりできます?」
「いきなりは無理かな。あれはかなり力を消耗するし。でも水を操るくらいは出来るんじゃない?」
俺は水龍だから、その力を持った潮くんも簡単な水の操作なら出来るはず。
俺は桶に水を用意して、指先でクルクルっと操って見せた。宙に舞う水の塊に、潮くんは目を輝かせてくれている。
「おおー!」
「意識を水に集中して、指先に集めるような感覚、かな? 慣れれば操れる水の量も増えていくよ」
「はい!」
潮くんは桶の中の水をジーッと睨み付け、人差し指を動かす。だが水面が軽く揺れる程度で浮き上がりはしなかった。
まぁ最初からひょいひょい出来たら俺が泣いちゃう。そんなチート主人公みたいな展開、今は望んでません。
「むむむっ」
「そんな力まなくていいんだよ、リラックスリラックス。肩に力を抜いて?」
「力を、抜く……」
「そう。そんな力入れたら肩凝っちゃうよ」
俺は力んだ潮くんの肩を軽く揉んだ。
潮くんはくすぐったいのか、笑いを堪えながら身を捩ってる。
敏感なんだな。そういうところ見せられると、ついつい悪戯心が芽生えちゃうんですけど。
「潮くん、肩弱いの?」
「肩、というか……脇とか腰も触られるのが苦手で……」
「そうなんだ。ごめんね、いきなり触れちゃって」
「い、いえ。アマネ様になら、別に……」
おう。どうしてそう可愛いこと言っちゃうの。俺、我慢したんだよ。
それとも俺は試されているのか。
神として、大人の男として、余裕のあるところを見せろと試されているのか。
俺にそんなにものがあると思うな。
だがしかし、俺には余裕はないけど根性もない。
セックスの最中はそのときの雰囲気に飲まれて色々と意地悪もしちゃうけど、素面は無理だ。
潮くんの可愛さの前では何も出来ぬ。
「それじゃあ、もう一度やってみようか」
「はい!」
俺は潮くんの肩から手を離し、桶を指さした。
頑張ってる子に意地悪とか出来ないです。
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